講師アンケート

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。本日は講師アンケートを実施いたしますぞ。どうか忌憚なき意見をお聞かせくだされ」

「毎回、本当に突然だよな」

「なお無記名アンケートですから『先生に低い評価つけたら成績下げられちゃうかも?』という心配は不要でございます」

「受講生が1人の状態で、無記名の意味ってあるんだろうか」

「こちらが記入用紙でございます。各質問に1~10の点数をつけてくだされ」

「なあ、ちょっといいか、質問項目に『講師の服装・身だしなみ』ってあるんだが、お前はその……亀だから裸だよな……」

「そうですな」

「どう評価しろと!?」

「落ち着きなされ。浦島殿は、美術の教科書で、ダビデ像やミロのヴィーナスをご覧になった経験がありますな? そうです、つまり裸とは、もっとも魅惑的で美しい姿なのでございます。よって、裸で講義をするわたくしは10点ですな」

「暴論」

「次の項目は『講師の言葉づかい』でございます」

「お前の言葉づかいか。ちょっと癖が強いけど、まあ丁寧ではあるよな」

「では10点ですな。次は『講師の親しみやすさ』」

「良くも悪くも、話しやすい雰囲気はあると思う」

「では、これも10点ですな」

「次は、ええと……」

「10点ですな」

「まだ質問言ってねえし!」

「さあ、すべて記入しましたな? それでは集計いたしましょう。……なんと、100点でございます! 浦島殿、さてはわたくしのこと好きなのでは?」

「こんな亀助けるんじゃなかった」

「これでアンケートは終了です。お客様の貴重なご意見は今後の運営に活用させていただきます。ご協力ありがとうございました。こちらは粗品の玉手箱です」

「粗品で気軽に呪ってくるスタイル」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る