花見

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。そろそろ花見のシーズン到来ですな。今はこういう状況ですから、酒を飲んで騒いだりはできませぬが、愛しい人と静かに花を見上げるのも味わい深いものでございます」

「俺は花より団子かなぁ。まあ今年は、屋台とかあんまり出ないんだろうけど」

「ええい、風雅の欠片もない……と申し上げたいところですが、腹が減っては何とやらですからな。屋台も花見の楽しみの1つでしょう」

「そうそう、今ので思い出した。俺さ、だいぶ前だけど、気になる幼馴染と屋台に行ってさ。確か夏祭りだったかなぁ、2人でかき氷を買ったわけ」

「ふむ?」

「俺はレモンで、千代はイチゴを買ったんだ。あ、千代って幼馴染の名前な? でまあ、俺が自分のかき氷食べようとしたら、千代が急に『あたしやっぱり、レモンの方がよかったなぁ。一口ちょうだい?(パクッ)』」

「で?」

「超可愛くない? 不意打ちだし! 間接キスだし!」

「ああ、いいっすねー(適当)」

「ちょっと亀! なんで棒読みなんだよ! 恋愛の話なんだから乗ってこいよ! せめて会話コントなんだから口調は維持しろ!」

「ふん! そんなの羨ましくないですぞ!」

「あ、俺がラブいネタ持ってたから、さては嫉妬しちゃったんだなー?」

「違いまする! 間接キスが何でございますか! わたくしは配偶者がある日突然夜逃げして離婚を余儀なくされた上級者ですぞ!」

「それ、自慢じゃなくね?」

「花を見上げながら幸せだった日々のことを思い出すと、何年経っても、愛しい気持ちと切ない気持ちで涙がこぼれて参ります。うう……」

「ちょ、悪かったよ。泣かせるつもりじゃなかったんだ」

「今のは噓泣きでございます。あっかんべー! ですが、今申し上げた内容は事実でございましてな」

「よしよし、大変な人生だったな」

「わたくしは亀ですから、正確には亀生ですな。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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