婚姻届

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。本日のテーマは婚姻届でございます」

「いや待て、彼女もいないのに婚姻届って」

「おっと、わたくしとしたことが、うっかり上級編のテキストを読み上げてしまいました。浦島殿には少し早かったですなぁ、これは失礼!」

「お前、絶対にわざとだろ……」

「まあせっかくの機会ですので、このまま話を続けますぞ。婚姻届とは、説明するまでもございませんが、結婚する際に市区町村役場へ提出する書類でございます。提出時にはこの他にも戸籍謄本、本人確認書類、印鑑などの持参が必要ですな」

「印鑑は、やっぱり実印だよな?」

「いいえ、100円ショップの雑な印鑑で構いませぬ」

「マジで?」

「マジでございます。ですがまあ、2人の思い出の書類ですから、立派な実印を丁寧に押して写メの1つでも残したらよろしかろう。フン!」

「なんで突然キレるんだよ」

「提出先は、夫か妻の本籍地または住所地でございます」

「あれ? 俺の友達で、ハネムーン先の沖縄で出したって奴がいたけどなぁ」

「はい。実のところ、必要書類さえ揃っていれば、住所地以外でも受付はしてくれますぞ。ただし婚姻届には、証人2名の署名押印欄がございます。ですので、2人だけでいきなり市役所へ飛び込んでも、その場で記入して即提出するという荒業は不可能でございます」

「戸籍に関わる正式な書類だもんな。その割に印鑑……」

「証人2名は赤の他人でも構いませんが、通常は親や兄弟に書いてもらうケースが多いでしょうな。というわけで、ハネムーン先で提出する場合は、事前の書類準備が必須ですぞ」

「なるほど、今回の講義は役に立ったよ」

「喜んでいただけて何よりでございます。それでは次回は、離婚届について紹介しましょうぞ」

「え、不吉すぎる(汗)」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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