トロピカル・カクテル
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます。ところで浦島殿は、バーで女性をくどいた経験はございますかな?」
「あるわけないだろ」
「では、予習感覚でお聞きくだされ。ドラマなどで目にしたことがあると思いますが、バーでトロピカル・カクテルを頼むと、ストローが2本ささっている場合がございます」
「ああ、2人で飲むんだろ? あれ、見せつけカップルの象徴みたいな行為だよな」
「ブッブー、不正解!」
「えっ、どこが?」
「あれは、アベック用ではございませぬ。1人で2本使うのが正式な飲み方。赤面しながら2人で飲むカップルどもを目にすると、思わず冷笑がこぼれますな」
「お前、講師なのにブラックだよな。いや、でも、本当に? 俺が初心者だからって騙してないか?」
「事実でございます。その証拠に、1人で注文してもストロー2本で出て参りますぞ。かくいうわたくしも、最初は新種の嫌がらせかと疑いましたが、動揺して挙動不審に陥っておりましたら、バーテンダーがそっと耳打ちしてくれました」
「つまりお前も、最初は知らなかったわけか」
「誰だって最初は物事を知りませぬよ。失敗しながら徐々に学んでいけばよろしいのです。ちなみに2本同時に使うのは、砕いた氷を飲みやすくするためですぞ」
「なるほど、バーテンダーがそう言うなら事実なんだな」
「ただまあ、出てきたお酒をどう楽しむかは、本来は注文者の自由であるとも言えましょう。あえて知らない風を装って、2人でキャッキャしながら飲んで、それで仲が深まるのであればそれも結構でございます」
「だよな、結局は楽しんだら勝ちだもんな!」
「ふっふっふ。デートを楽しむくらいの余裕ができるよう、今後もわたくしと修行に励みましょうな」
「うぅ……」
「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
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