好きなタイプ
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます。ところで浦島殿は、どのような異性が好みですかな?」
「おっ、傾向と対策ってヤツか?」
「はい。一口に恋愛と言っても、異性に何を求めるかは十人十色でございます。受講生の性格や行動パターンをしっかり把握し、それに合わせた講義をするのがベテラン講師というものですぞ」
「そうだなー、ありきたりだけど、俺は幼馴染とか好きかなぁ」
「ふむ、どういうところがいいので?」
「ほら、単なる悪友だと思ってた女子が、意外と女らしい一面見せると意識しちゃうじゃん? 遠足で手作り弁当持ってきたり、取れたボタンを簡単そうに縫ってくれたり。あとはそう、夏祭りで浴衣を着てこられた時はドキッとしたなぁ」
「なるほど、浴衣がお好きなのですな。ちなみに、浴衣と水着ならどちらがお好きで?」
「水着だな(即答)」
「身も蓋もございませんな。なお今後の正確な対応のため、お客様の今の発言は録音させていただきました」
「コールセンターかよ」
「これを乙姫に聞かせたら、姫はおおいに悲しむでしょうなぁ? なにせ姫と浦島殿は幼馴染ではありませぬし? 一緒に夏祭りへ行ってキャッキャウフフするとか無理ですし? いやぁ、玉手箱に込める呪いも増量するというものです」
「くっ、今の発言はなかったことに……!」
「録音データを消して欲しくば、わたくしの銀行口座に100万円振り込んでくだされ」
「まさか亀に脅迫されるなんて」
「なければ100円でもよろしいですぞ」
「安っ!」
「もちろん今のは冗談でございますが、離婚協議が泥沼化すると、会話を録音されることは珍しくありませぬ。ですから、後々誰に聞かれても困らぬよう、発言内容には常に気を配りたいものですな」
「初級編らしからぬ生々しいアドバイスだな」
「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
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