亀と浦島の恋愛講座

常木らくだ

2021年3月の講義

始まりました

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます」

「ってお前が講師なのかよ! 人間の俺ではなく!」

「はっはっは、どうかご安心を。昔から亀は万年と申しましょう? そこらの人間より世知には長けておりますぞ」

「そっか、それなら安心だな」

「ですが万年はさすがに嘘で、亀の実際の寿命は70年~80年でございます(ウミガメの場合)」

「なら、あの言い回しは125倍に数字盛ってるわけか」

「関西人がやりがちなことですな。ところで話を進めますが、浦島殿は異性にモテた経験はございますか?」

「(黙って首を振る)」

「それで藁にもすがる気持ちで、かくも胡散臭い恋愛講座に参加したわけですな。いやはや、惨めですなぁ! わたくし失笑を禁じ得ませぬぞ!」

「突然の受講者ディス。っていうか俺、昔お前のこと助けたよな? それが命の恩人に対する態度か?」

「あれは浦島殿が勝手に助けただけで、わたくし、助けて欲しいなどと頼んではおりませぬ」

「くっそー、可愛くないなぁ」

「それでは可愛く申し上げます。べっ、別にアンタに助けてもらって嬉しくなんかないんだからねっ!(照)」

「やめろ、気持ち悪い」

「気持ち悪いって言う方が気持ち悪いんだからねっ!」

「わかった、わかったよ。頼むからその口調はやめてくれ。オス亀の赤面ツンデレアタックとか斬新すぎる」

「わかればよろしい。とにかくこの講座を真面目に受講すれば、卒業する頃には浦島殿はモテモテですぞ」

「俺は別にモテたいわけじゃなくて、付き合いで参加しただけなんだが」

「合コン参加者の大半はそのように弁解しますな」

「まあとにかく、講座を始めてくれないか?」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

「終わるのかよ!」

「字数の都合ですぞ」

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