第51話:希望職種
最初の移民は大陸連合魔術学院領と領地を接している国から募集した。
もう既に大陸連合魔術学院領にいる貧民は全て雇っている。
彼らには冒険者や傭兵としての訓練と農民としての作業をさせていた。
だが穀物促成栽培に成功してからは、ほとんど農作業だけに専念してもらっていて、冒険者や傭兵としての訓練すらできなくなっていた。
「今日までありがとう、よくやってくれた。
だが今日からは冒険者や傭兵として働いてもらうことができるようになった。
もちろん農民として働きたいのなら無理に冒険者や傭兵になることはない。
好きな仕事をすればいい」
俺は以前から雇っていた者たちに話をした。
冒険者や傭兵の方が農民よりも収入は多いが命懸けだ。
そもそも俺は彼らを助けたくて雇っているのだ。
命の危険がある冒険者や傭兵に無理矢理させる気はない。
だが命の危険を冒してでも多くの収入を得たい者もいる。
そんな彼らに無理矢理農民をさせる気もないのだ。
「「「「「はい、ありがとうございます」」」」」
配下の者たちが気持ちのいい元気な返事をしてくれる。
これも冒険者や傭兵の訓練をしている成果だろう。
「ただ農民を選んだ者たちにも、自衛の訓練は続けてもらう。
俺や傭兵団の者たちが遠征している時にモンスターに襲われる可能性がある。
その時のためにも最低限の戦闘力は必要だ。
もちろん新たに来る連中にも冒険者や傭兵の基礎訓練は受けてもらう。
希望する者は冒険者や傭兵になれるようにする。
だが農民を希望する者は、この中にいる農民を望んだ者が指導者に成るのだ。
彼らを生かすも殺すも君たちしだいなのだ、頼んだぞ」
「「「「「はい」」」」」
新たな貧民を迎える準備は整った。
新たに近隣諸国から集めた貧民たちは、最初に俺が訓示して心を引き締めた。
その上で極力希望に沿った仕事に割り振った。
とは言いながら選べる仕事は冒険者と傭兵を筆頭に農民が主だ。
だが俺が造る農地は一つの独立した城塞都市ともいえ場所になる。
当然だがモンスターや隣国の軍隊の襲撃を受けて籠城する事もあるだろう。
その為には籠城中も自給自足ができるようにしておく必要がある。
だから刀鍛冶や野鍛冶はもちろん各種職人が多数必要なのだ。
最初は一人前の熟練職人をスカウトしてこなければいけないが、彼らに貧民を弟子をとってもらって新しい職人を育ててもらうのだ。
「ノアお兄様、意外と冒険者や傭兵を希望する者が多いのですね」
「そうだね、思っていたよりも多いね。
だけどそれも仕方がないかもしれない。
今まで彼らは多くの権力者やその配下に痛めつけられてきたんだ。
もう二度とそんな連中に虐げられたくないという想いもあるだろう。
家族を護りたいという想いも大きいだろう。
衣食住が保証されて戦う力も学べるのなら、せっかくの機会を逃したくないのかもしれないね」
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