第39話:大陸連合魔術学院理事長

「う~ん、素材自体をお渡しする事は構わないのですが、平理事ですか」


「いやいやいや、理事というのは大変や役職なのですよ、ノア殿。

 学院生の入学に関して色々と便宜を図ることができるのです。

 前理事長のベネディクトはやり過ぎましたが、ほどほどのやっても結構な利益を手に入れることができるのですよ」


 学院長は理事の利点ばかり強調するが、欠点もある。


「学院長、理事には学院のためにお金を集めてくるという役目があるのではないですか、それをちゃんと言っていただけないと卑怯ですよ」


「いやいやいや、ノア殿ならそれくらいのお金は簡単なに集められますよ。

 なんならお金ではなく属性竜素材を学院に寄付していただいてもかまいませんよ」


 思っていた通りだな。

 学院長は俺が狩った属性竜素材をできるだけ多く手に入れたいのだ。


「別に属性竜素材をずっと持っておきたいわけではありませんから、お金の代わりに素材を渡すことに何の問題もありません。

 ですが属性竜六頭と平理事では価値が釣り合いませんよ」


「いやいやいや、大陸連合魔術学院の理事といえば相当な地位ですぞ。

 使節として大陸各国に行けば伯爵相当の待遇で迎えてくれるのですぞ」


「まあ、なんて不敬なことを申されるのですか。

 ノアお兄様は由緒あるハザートン公爵家の公子なのですよ。

 その気になれば何時でも王家を滅ぼして戴冠できる方なのですよ。

 そんなノアお兄様に伯爵程度の地位を与えようなんて、大陸連合魔術学院の学院長がどれほどの偉いのかは知りませんが、失礼過ぎます。

 ノアお兄様、こんな失礼な話はお断りください」


 エラが本気で怒ってしまった。

 美味しいワインと料理でいい雰囲気だったのが最悪の雰囲気に一変してしまった。

 タロン殿とキーラ夫人が露骨に俺とエラの方を見ないようにしている。。

 執行導師達も黙って下を向いている。

 エラの怒りが最高の交渉になったくれた。


「これは取り返しのつかない大変な失礼をしてしまいました、エラ嬢。

 確かにハザートン公爵家の公子閣下に伯爵相当の役職は失礼過ぎました。

 では常任理事という役職を新設しますのでどうでしょうか。

 ノア殿のために新設する全く新しい役職をつくるのですよ」


「そのような訳の分からない新しい役職などノアお兄様には相応しくありませんわ。

 あの愚かなベネディクトよりも下ではありませんか。

 どうしても素材が欲しいと言われるのなら、ノアお兄様を理事長にしていただかなくては、私は納得できませんわ」


 俺が何もしなくてもエラが交渉してくれる。

 エラが望むのなら多少は面倒でも理事長の役職についてもいいかな。

 それに俺が理事長になったら、大陸連合魔術学院を憚ってカンリフ王家もハザートン公爵家に手出しできなくなるかもしれない。

 だがオリビア王女は逆に妬んで暴発してしまうかもしれないな。

 今までは放置していたが一度オリビア王女を調べておいた方がいいかな。

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