第30話:閑話・狂気・オリビア第一王女視点
「また失敗したですって、何度失敗するの。
近衛騎士、こいつを殺してしまいなさい。
役立たずに生きている価値はないわ」
「はい」
「やめてくれ、やめろ、いい加減にしやがれ腐れ女。
俺を殺したらもう誰もお前の依頼を受けないぞ。
いや、今度はお前が俺の仲間に殺されるぞ。
それでなくても、お前は俺の仲間を何人も殺しているんだ。
いくら王女が相手だって、もう犯罪者ギルドも黙っていないぞ」
「なにをしているの。
こんな小汚い犯罪者の話など気にせずにさっさと殺しなさい。
犯罪者ギルドが逆らうようなら近衛騎士団が皆殺しにしなさい」
「王女殿下、いくらなんでもそれは危険過ぎます。
犯罪者ギルドは暗殺の専門家です。
敵に回せばこれほど怖い連中はいません。
失敗を償わせるのは当然ですが、攻撃は止めてください」
「怖いの、それでも私の近衛騎士隊長なの。
もういいわ、あなたは首よ首。
近衛騎士団から追放よ」
「分かりました、私はこれで下がらせていただきます」
「キィイイイイイ、なんて生意気な。
追放では生ぬるいわ。
処刑よ、処刑しなさい」
「まぁ、まぁ、まぁ、まぁ、落ち着いてください、王女殿下。
近衛騎士隊長は危険な辺境に追放しますから。
もう何人も近衛騎士や侍女を処刑してしまっています。
これ以上殺すとさすがに国王陛下も殿下を処分しなければいけなくなります。
だから殺すのではなく死ぬように仕向けるのです」
「分かったは、トレーシー城伯。
今日だけは貴男に免じて許してあげるわ。
昨日の貴男はとても素敵だったのも」
「お褒めに預かり光栄でございます」
「今日のお相手も貴男にしようかしら」
★★★★★★
「殿下、オリビア王女殿下、近衛騎士隊長を追放するとは何事ですか」
「なによ、うるさいわね。
たかだか侍従の分際で私を咎めようとするなんて、不遜過ぎるわ。
そこの騎士、この侍従を殺してしまいなさい」
「いい加減になさいませ、オリビア王女殿下。
もう国王陛下の我慢も限界でございますぞ。
オリビア王女殿下の台所領はもう返済ができないほどの借財が重なっております。
国王陛下が国庫からお貸しになった金額も返せる額ではありません。
妹君達からも殿下を処分をするようにという声が出ておるのですぞ」
「なによ、妹達がそんな事を言っているの。
殺しなさい、近衛騎士、妹達を殺してしまいなさい。
私がこの国の女王になったら、お前達を貴族に叙勲してやるわ。
だから妹共々弟も殺してしまいなさい」
「近衛騎士、国王陛下のご命令だ。
オリビア王女殿下は狂気の病に、いや、悪魔に取り付かれてしまわれた。
取り押さえて北の塔に幽閉するのだ。
グズグズせずに直ぐにやれ」
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