第24話:アーミーアント

「気を抜くなよ、今回の相手は単独なら中級程度だか、集団になると特級や超級にランキングされるアーミーアントだ。

 油断したら数の圧力で殺されてしまうのだぞ」


 傭兵達の総隊長となっているニコラスが苦学院生に色々と教えている。

 所属はサイモンの傭兵団なのに魔境ではニコラスが教える。

 かなり変則的な雇い方になっている。


「風魔術でも土魔術でも構わないが、硬い外骨格は狙うな。

 狙うのは骨格と骨格の間にある柔らかい部分だ。

 相手が大きいからといってビビるな。

 一気に切り裂いて動けなくするんだ。

 こんな風にな」


 ニコラスはそう言うと、風のように素早く猪のような大きさのアーミーアントに近づいて、柔らかい部分に正確に槍を突き刺している。

 ニコラスは貴級の冒険者として稼いできたから、装備も貴級の高価なものだ。

 苦学院生にそんな高価な装備はないのだが、魔術で戦う分には大丈夫だ。

 

「やった、サクサク狩れるぞ」

「これで今晩の食材が確保できたぞ」

「魔蟲は美味しいからな、楽しみだよ」


 アントは魔蟲の中ではあまり美味しくないのだが、苦学院生には普段食べる事のできない高価な食材なのかもしれないな。

 

「大きいからな、全部自分の魔法袋に入れようと思うなよ。

 できるだけ全員が同じだけ魔法袋に入れて保管するようにしろ。

 最悪の場合は味方を見捨てて逃げなければいけない事もあるからな」


 情け容赦のない厳しい言葉だな。

 確かに強力な魔獣や魔蟲に襲われた時には味方を見捨てる事があるそうだからな。


「ニコラスさん、アーミーアントの大軍が近づいてきます」


 斥候役が本気で慌てているな。

 まあ、五千以上のアーミーアントが近づいているからな、それも仕方がないな。


「どれくらいだ、逃げた方がいい数か」


「はい、直ぐに逃げてください。

 総数で五千を超えているかもしれません」


「五千だと、そんなに多いととてもじゃないが生き残れないぞ。

 全部倒したら王級に認定される数じゃないか。

 逃げるぞ、逃げて学院に報告するぞ」


「そんな必要はありませんわ。

 それくらいの戦闘アリ、ノアお兄様なら簡単に全滅させてしまわれますわ」


 これこれ、そんな目立つ事はしたくないのだよ、エラ。


「魔術・武術の等級であり魔獣や魔術の強さの等級」

初級:王侯貴族に徒士として雇われる戦闘力

中級:王侯貴族に騎士として雇われる戦闘力

上級:王侯貴族に騎士長として雇われる戦闘力

特級:一般人の最強、騎士団長や将軍になれる戦闘力

超級:一般人の限界を超えた戦闘力

貴級:無条件で貴族に叙勲される戦闘力

王級:独力で王国を建国できる戦闘力

帝級:独力で帝国を建国できる戦闘力

神級:神と互角に戦える戦闘力

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