第4話:家族の安全
俺達家族は心を隠す事なく正直な気持ちで激しく話し合った。
俺も含めて家族の命に係わる重大な事態が勃発しているのだから仕方がない。
まして俺が冒険者になりたいと言いだしたり、エラが俺に付いてくると言いだしたり、両親が俺とエラを留学させたいと言いだしたりしたのだ。
更に急に俺に代わって公爵家を継ぐことになってしまった長弟レオや、養子に出る予定が急遽部屋住みなってしまった次弟テオが、意見という名目の文句を言うのだ。
「王都の屋敷を護る防御魔法陣を描いておきますから、定期的に魔力を補充してください、父上、母上」
「分かった、兵糧と武器も徐々に買い貯めておこう」
「分かりましたわ、魔力持ちの平民を集める事にしましょう」
父上は王家が、いや、オリビア第一王女が約束を破って、それも違うな、約束を破るというよりは狂乱して襲撃してくる危険を想定しているのだな。
母上も同じ事を危険視されているのだが、直接的な兵糧や武器ではなく、隠し玉的に使える魔力持ちを集めようとされているようだ。
「魔晶石を埋め込んだガーゴイルも置いておきますから、あまり準備を急いで目立たないようにしてください、父上。
非常時にはガーゴイル一体で並の騎士百騎分の働きをしてくれます。
王家に咎められるような兵糧や武器の購入は徐々に行ってください」
王女の危険性を認識してもらった上で、父上と母上の危機感をできるだけ解消する事が、家と家族を護るためにはとても大切になってくる。
王国軍が攻め寄せてきても大丈夫だと安心してもらえないと、父上と母上のオリビア王女への態度が悪くなってしまう。
そんなことになったらオリビア王女の事だから、法も論もなく父上と母上に襲いかかる事だろう。
「屋敷には二百体のガーゴイルを配置しておきますから、二万の王国軍が攻め寄せてきたとしても撃退できます。
父上と母上、レオとエラとテオには精霊達を宿した指輪と首飾りを贈ります。
精霊の守護があれば王城内で何があっても大丈夫です。
オリビア王女が相手でも危機感や反感を表さないでください」
「おい、おい、おい、それはいくらノアでも失礼な言い方だぞ」
「そうですよノア、私達がそんな迂闊な態度を取るわけがないでしょ」
確かに普段の父上や母上は迂闊に敵を作るような態度はされません。
ですが今日の言動を聞いていると、妙に国王とダブる所があります。
国王と同じカンリフ王家の血に流れている父上と母上には、非常識に子煩悩な遺伝子があるのかもしれません。
いや、今の俺の気持ちを考えると、家族愛が強すぎるのは確かだよな。
これは俺も色々と考え直さないといけないな。
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