第250話 害獣の最期

 ......死屍累々。


 それしか言えない。うちの子たちマジぱねぇっす。


 圧倒的な力で瞬く間にクソネズミの群れを殺処分し終えた。人型のネズミは今となってはただの山中のオブジェと化している。


 一番偉そうなヤツは埋まってる。鼻から上だけ出した状態で埋まってる。


 いやー......ね? 一際偉そうなネズミ男が、蹂躙の途中でネズミを食べだしたのを見た時はさすがにドン引いたよね。

 やたら殺る気満々だったモチモチに音速で無力化させられてたけど。多分アレは食えば食うだけパワーアップする......って感じのスキルだと思う。けどさ、だとしてもさ、自分が連れてきた手下を食うなよって思うねん。


 余りの気持ち悪さに俺嘔吐いちゃったもん。一緒に見てたツキミちゃんは、可愛らしい悲鳴をあげて俺の胸に顔を埋めた。


 きっとモチモチはそんな俺らのリアクションを見て、非常食が無くなって人型のネズミを食べ始める前にヤツを処分してくれたんだと思う。むしろそうであってほしい。


 殺る事を殺って満足したらしいモチモチは、俺の胸に顔を埋めてプルプル震えているツキミちゃんをモチモチな羽根で撫でて慰めている。何それ羨ましい。俺にもやってくれ。


 モチモチがツキミちゃんを慰めているのを羨みながら待機していると......ヘカトンくんとワラビも帰ってきた。どうやら死体の処理までやってくれたらしく、周囲の掃除をしてからこちらにやってきた。


 この子たちは偉いなぁ......強制されてたりはしない? あぁ、自発的にやったのね。よーしよしよし。偉いですねー。



 ......さて、それじゃあ此処に来た目的と此処で何をしたいのかを聞きましょうか。ストレス解消をした後に。


 ふざけんなよテメェら。夜中に他人の家に押しかけやがってよォ。迷惑でしかないよね、君たち。


「夜襲とかってさぁ、もう古いと思うんだよ。普通に来れないの? 馬鹿なの?」


「シャァァァァァ!!」


「......ぴ、ぴのちゃんどしたの!?」


『コイツらなに?』


「ソレ、俺も今から聞こうと思ってること」


 あ、これ、ピノちゃんブチ切れているわ......そう俺の直感がそう告げてくる。怖すぎわろた。


『早く聞いて』


「はい」


 夜中にこんなヤツらが攻めてきていたとわかれば不安よね。......シアン動きます。


「モザイク案件の野郎はそのままで、二番目に偉そうなそこのお前。うん、そう。お前だよ。お前ら、此処に何をしにきた? そしてお前らは何?」


「......此処の全てを奪いn......」


『はァ!?』


「わっほい!?」


 えげつない程に低い声を出したピノちゃんにびっくりして変な声が出ると共に体が跳ねてしまった。威圧と殺気が漏れ漏れで怖いですぅ。オムツ早く付けて。


『この人が大切にしている物や、自分が育てている植物とかも全て奪うつもりで此処に来たんだね......ギルティ』


 この人って俺の事ですかね、旦那ァ?


 嬉しいですぅ。ピノちゃん好きぃ!


『やれ』


「......はい」


『『『『はい』』』』


 ピノ園長がお怒りです。お前ら覚悟しやがれ!! 後、その言葉俺にだけ言ったんじゃないのね。ダイフクもツキミちゃんもヘカトンくんもワラビも......全員ブルッて返事してるのに少しだけほっこり。


「まだ何も聞けてないから一応殺さないように手加減してね。力加減ミスってもいいけど、偉そうなのだけは残すんだよ」


『早く』


『『『『「はい」』』』』


 こうして、正座している愚物への制裁が始まった......


 俺らがビンタとかをしているその横で、ピノちゃんがボスっぽいヤツを掘り起こして殴りまくっているのを確認。



 あ、やべ......力の調整難しい......



 ......うん、何で俺らがコイツらの体に気遣わないといかんねん。自分で言っといてアレだけど、イライラしてきた。


 手勢を集めて侵略しにきた。そんなヤツらに気を使わなくていいよね。


 よし、死ぬか死なないか......そのギリギリを攻められるように訓練しよ。




 ......殺伐とした制裁の最中、ガッデムと言いながらビンタをする俺。目指すは年末の風物詩となっているアレ。


「貴様ら脆すぎだろうが!!」


 ストレス解消にはならない。ストレスが溜まる。だが止めない。


 クソほどいるこのネズミ共を使って、いい感じの力加減を覚えるんや!!




 ◇◇◇




 そして、冒頭に至る。


 百以上は余裕で殺してしまった。だが、いい感じの力加減は覚えられない。


 デコピンで死ぬとか......監督、おかしいですよ。


 ピノちゃんはあれからボスネズミを攻め続けて、ボスネズミ男の顔面がもうギャグ漫画みたいなことになっている。


 でもまぁ、この仕打ちは残当。あの子が活き活きとした表情で毎日せっせと愛情を持ってお世話している農園を簒奪しようとしたってだけでギルティもギルティ。慈悲は無い。


 死ね。


 この世に生まれて来ちゃった事を後悔し尽くして、思いつく限りの懺悔の言葉を垂れ流して、なるべく残虐に死ね。


 多分俺がうっかり農園で転んで、作物にダメージを与えちゃったらあの子は烈火の如く怒ると思うの。そんな子の宝物を奪おうとした。


 そして、あの子は俺らの中でも一番愛情が深い。下手したら俺よりもこの場所や俺たちを愛してくれているからね。





 うん、赦せないよね。


「ピノちゃんピノちゃん。そいつらの罪状は?」


『死刑』


「知ってる。怒ってるのはわかるけど、君たちのゴッドお肌の最大の敵である寝不足になるからそろそろ終わらせようか。最期に事情を聞くからちょっとだけ我慢しててね」


 使い道のほとんど無いお高めなポーションをピノちゃんが拘束しているネズミ男にぶっかけて回復させる。


「おら、もう話せるだろ。さっさとお前らの素性と此処に攻め入った目的を話せ。いいか? 余計な事は言うな。端的に聞かれた事だけを話せ」


「ふざっ......」


 まだ抵抗しようとしてるクソゴミの指先を切り落として威圧する。


「あのね、俺はいつでもお前を、お前らを......死んだ事にすら気付かないように殺せるくらい、お前らと差があるんだよ。夜中に他人の家に来て、俺らの全てを奪うとか言うクソ。それが二回目な訳だから、いい加減お前らを根絶やしにしようと思ってるの。わかる? だから早く聞かれた事を話して。次は指を切り落とすから」


「............ア゛ァァァ」


「シンキングタイムなんて存在しないんだよ。言え」


「......暴食、名は無い」


「ほーん、それで?」


「......強欲と憤怒が殺られたっていうから、報復の為に......」


「報復かぁ......それで? 報復が何で此処を奪うって事にまで発展すんの?」


「......所有者が死ねばそこは空白地帯。全てを奪われても問題はないだろ」


「そうだねー。んで、返り討ちに遭うって事は考えなかったの? お前らのパワーバランスはしらないけどさ、配下を連れて攻めてきてるヤツを二匹殺してんだから、そこん所はどう思ってんの? まさか考え無しに攻め込んで自分は大丈夫って思ったわけ?」


「......クッ」


「......えっ、嘘!? 本当にそう考えてたの? マジで!? うっわ......ヒクわー」


「......黙れぇぇぇ!!」


「やれやれ、これだから脳筋は......君、確か暴食だっけ? 大方考え無し食いすぎて食糧を食い尽くし、新しく自然や食糧が豊富な場所を求めてって所か。ネズミはすぐ増えるし雑食だからね、まさに害獣」


「......拘束を解け!! ぶっ殺してやる!!」


「ウチの子に勝てないのに俺になら勝てると思ってんの? 馬鹿なの?」


「人間如き俺の敵じゃねぇぇぇ......ッエエア゛ァァァァ!!」


「ピノちゃん......俺の為に怒ってくれるんだね......優しい......好き。ウチの子の可愛さと優しさ心強さがとどまるところを知らなすぎて、生脚ヘソ出しマーメイド」


「足がァァァ......ァァァア」


「......折角嬉しさが天元突破してたのに......うるせぇなぁコイツ。おい、これ以上騒ぐならお前を殺して正座してるヤツの餌にすんぞ。それが嫌なら残りの七大罪の居場所を吐け」


「わ、わかったから......もうやめてくれ......吐くから助けてくれ」


「なら早くしろ。いい加減眠いんだよこっちは」


「あぁ......傲慢、嫉妬、色欲、怠惰は――」






 ............聞いた。聞いたけどコイツ使えねぇ。さすが脳筋。


 年一か緊急時にのみ集まって会議。それ以外では会わない。この脳筋ネズミは基本飯の事しか考えてないから普段の居場所とかは知らないそうだ。死ね。


 怠惰以外は敵対するのは確定、近いうちに色欲と傲慢は来るらしい。絶滅しろ。


 このクソネズミ共は最速でここに向かう為に、真っ直ぐ自然を食い散らかし進んで来たので此処までの直通の道が出来上がっていると報告してきた。もうね、可能な限り苦しんでから死ねばいいのに。


「それでは皆様、お疲れ様でした。迷惑ばっかり掛けてくれましてどうもありがとう。それではささやかながら、お見送りをさせていただきます。二度と輪廻の輪に紛れ込まなよう伏してお願い申し上げます」


 敬礼をしながら皆に指示を出す。よほど腹に据えかねていたのか、俺が敬礼をした瞬間にピノちゃんがボスの四肢を切り飛ばした。


「じゃあ早く終わらせて寝ようね」


 この後、天使たちは一匹一匹丁寧に息の根を止めていった。ストレス溜めすぎだったみたい。


 今度から適度に発散させる機会を作ろうと思いました。



 ──────────────────────────────


 操作ミスで先走ってあげちゃいましたすみません。途中でしたので一旦下げてまして、何時も通りの時間に上げ直させて頂きました。混乱した方がいましたら申し訳ございません。


 明日はコロナワクチン二回目なので、死んでる可能性大です。無事なら更新するかもですが、体調次第で翌日も休むかもしれません。御容赦ください。


ㅤそれはそれとして、かっぱえびせんのビールに合う何とかの塩とニンニク味っての食べた人いるでしょうか? アレ、めちゃくちゃ美味かったんですけど、再度買いに行ったらもう売ってなくて泣きたいです。箱で買えばよかった......

ㅤペヤングのにんにくMAXと共にまた食べたい物上位にランクインです。通年販売してくれ!!(心の叫び)



 はい、愚痴ってすみませんでした。いつも読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

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