第236話 デートの旅~事後処理と褒美~
殺るべき事は全て終わった。
SAN値がゴリゴリ削られるような惨劇の現場を残して......
「それじゃあ罰ゲーム班の皆さん。これからはマグロ拾いのバイトのお時間です。終わったらコレを皆で均等に分けてくださいね」
部屋の外で待機させていた人達に事後処理を任せて女王様と共に部屋を出る。
「あ、俺はまだこの屋敷の敷地内にいるからサボんなよ」
そのまま庭に出てあんこを窮屈な空間から解き放って遊ばせる。その隙に俺は女王様に向き合う。
「とてもスムーズに終わったよ。ありがとう。それで......なんか欲しいモンある? 大体の物は用意出来ると思うよ」
俺の問いに女王様は口をパクパクさせた。おーけー、何が欲しいか全然わかんねぇ。
お腹が空いてる......とか?
「ご飯が欲しいの......かな?」
フルフルと顔を横に振る。違ったらしい。
女王様は右手の指でを輪っかを作り、ナニかを握るような素振りを見せて口を開いた。
............これはアレか。フェ〇チオがしたいって事なのかな?
ドSな女王様なのに、フェ〇チオがしたいってのは妙だな......手コキで無限射精ならわかるけど......恥ずかしいけど、女王様がソレを望むなら仕方ない。
シテ貰えれば勃つでしょ。
「男に二言は無い......君がソレを望むなら俺はソレに応えるまでだ」
ベルトを外して逸物を露出させる。
排泄以外の用途で使用するのは、約一年半振りくらいだ。
「これだと君のご褒美にならない気がするけど、や、優しくしてね......」
女王様を見ると戸惑った表情になっており、顔を赤らめてチラチラとコチラを見ている。なんか思ってた反応と違う......なんでそんな初心い反応をするのさ。
俺は間違えたのか? でもさっきのジェスチャーは間違いなくコレしかないだろ。
「......しゃぶりたいって事じゃなかった?」
......オドオドしながらコクンと首を振る。
ご、ごめんなさい。あんこを解き放っていてよかったです。
......んー、だとすると何だろ?
あっ!?
「まさか、喋りたいってこと? 言葉を教えて欲しいとか、文字を教えて欲しいとか、そっち系?」
俺がそう言ったら目をキラキラさせながらコクコクと頷く女王様。なんだろうか、とてもウチの子みが出てきている。見た目はゴリゴリの女王様なのに。
「なるほど......なんか教育的な魔道具とかあったかな? 無かったらその願いを実行するのはお家に帰ってからになるけど」
教育プランを考えながら闇鍋状態になっている収納を漁る。中に入っている物はなんとなく理解できるんだけど、物が多すぎて探すのが一苦労だ。
ソート機能や検索機能欲しいな......バージョンアップしないかなー......しないかなー。
そう上手くいかないよね。もっとご都合主義になってくれてもイインダヨー。
五分程収納を漁っていると、ちょうどいい物を発見。これを使えばきっと女王様の願いは叶うハズだ。
▼セイジセージ
別名賢者の草
知識が詰まっている
香辛料にもなる
生のまま食べれば、知識レベルを一段階あげる事が出来る
人工栽培不可、入手経路不明の幻の植物▼
栽培可能なら量産するんだけど、なんか使ったり植えたりするのが勿体なくて収納の肥やしにしていた。いつかピノちゃんが栽培可能になるのを待っていたってのもあるけど。
まぁいいか。使っちゃおう。
女王様との意思疎通が円滑になれば、拷問時に色々と手間が省けるもんね。デメリットととして俺に毒舌無双をしてくる恐れアリ。
......恐怖を感じたら帰ってもらえばいいか。革命とか起こさないでね、マジで。
「ちょうど良い物があったよ。これを食べれば知識レベルがあがるから、きっとすぐに喋れるようになると思う。......多分」
そう言って女王様にダジャレっぽい名前の草をあげた。嬉しそうにしている女王様を見て抱いていたドSなイメージが崩壊したけど、プレイの最中は間違いなく女王様。なるほど、これがギャップ萌えか......
騙し討ちで劇物も与えてみたい衝動に駆られるけど、反撃が怖いから自重。SとSがぶつかり合う事ほど不毛な事は無いからね。
あ、食べた。
あの草は香辛料になるって書いてあったし、刺激物っぽいよね......あ、女王様が涙目になってる。ちょっと可愛いやんけ。
辛かったのかな? はい、あんこたんの聖なるお水をあげる。激レアな一品だから特別だよ。
さて、危なくない葉っぱをキメた女王様は頭を抑えて踞った。最初はまだスパイシーな葉っぱの後味にヤられているのかと思ったけど、どうやら違うみたい。
あ、アレか。脳がグレードアップされていてその負荷でぐわぁぁぁってなってるっぽい。わかるよ、俺も探知の範囲を広げた時に苦しんだからね......バァンしそうになる苦しさはわかるよ。
涎を垂らし、涙を流しながら悶える女王様。ボンテージが食い込んでてなんか妙に色っぽい。
しばらく悶えていた女王様は「あー」とか「うー」とかの喃語を口にしだした。発声器官もそれとなく最適化されたらしい。
......うん、ポンコツ女王様になってしまった。このままにしておいたら夜になってしまうから時間が足りなくなる。という事で一度お帰り願おう。この続きはまた、時間がある時にね。
「このままじゃキツいと思うから、この先はまた今度ね。今日はありがとう、お疲れ様」
女王様が退場してからはあんこたんとイチャイチャして時間を潰した。走り回ったりボール遊びをしたからとってもご機嫌になっていて可愛い。デートの邪魔をされてイライラさせられたけど、まぁ終わりよければすべてよし......かな。
その後はげっそりしているお掃除班が血の染みを落とせなくて泣きそうになりながら報告をしてきた。マグロは全て麻袋に詰められ、執務室の外に纏められていた。
......よく、頑張ったね。これからは真っ当に生きるんだよ。と言ってある程度の金を渡してから解放した。
「あんこちゃん、最後にこの屋敷を綺麗にするよ。起爆は任せるからね!」
「きゃんっ!」
あんピノ玉(大)を屋敷の中心にセットし、外に爆発が漏れないように空間を隔離。学者エリアを全壊させた時のように全てを覆う事はせず、天井側だけを開けた。
隔離を止めた時に起こるかもしれないバックドラフトみたいな二次被害を起こさない為の配慮だ。上に爆発が行くのは問題無いよね......きっと。
では行きましょう。
せーのっ!!
「えくすぷろー「わんっ」」
この日、王都に白い光の柱が立ち上った。
◇◇◇
上機嫌なお嬢様と宿に戻って料理長の出す料理に舌鼓を打つ。相変わらず美味しい。
本日の分を受け取りながら世間話をした。ロリぺド侯爵失踪事件、それに伴う集団幻覚、貴族のお嬢様が一般人を脅して返り討ちにされたとか。
王都って怖いとこなんですねーと当たり障りのない返事を返して本日は解散。ふむ、あれだけ派手に殺ったのに、俺のやった事ってバレてないみたいだ。
なんでだろ。誰かが裏で情報操作してる......とか? まぁいいや。都合が悪くならなければ問題はない。何処の誰かもしらないけど、ありがとう!
「今日はいっぱいはしゃいで疲れたからゆっくりお風呂に浸かろうか。たっぷりマッサージとブラッシングしてあげるからね!」
「くぅーん」
真っ白な浴槽に真っ赤な温泉を注ぎ、優雅なバスタイムを満喫した。珍しく大型犬サイズになって甘えてくるあんこ。
ふふふ、コレはブラッシングのし甲斐があるじゃないか......唸れ俺の指テク! この可愛らしいお嬢様をトロントロンに蕩かしてやろうではないか!
◆◇◆
「うふ、うふふふふふふ......」
この空間に戻され、気分が落ち着いて現状を理解してからずっと笑うのを止められません。気持ち悪いのは理解していますが、この空間には私しかいません。だから何も問題は無いのです。
今日という日を私は生涯忘れる事はないでしょう。それほどまでに素晴らしい一日でした。
次にお呼び頂けるのはあの方が御自宅にお帰りになられた時になるって仰っられていましたね。ふふふ、次があるってわかるのは嬉しいですね......
どれくらいの時間があるのかわかりませんが、その時までには絶対言語をマスターしますわ!
あの方に今後とも使って頂けるように拷問術も鍛えていかないといけませんね。あぁ、これからもっとあの方の命令でたくさんの豚を調教できると思うと、昂ってしまいます......
「うふふふふふふ」
早く次が来て欲しいですね、楽しみですわぁ。
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