第234話 デートの旅~女王様の愉悦~

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 ※拷問描写があります。苦手な方はご注意ください。

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 本来魔法で生み出されたモノには自我など存在しません。新たな生命を魔法で生み出す事が出来るなら、それはもう神の領域ではないでしょうか。


 普通は術者の意思で操るか、予め設定しておいた行動しかすることが出来ず、術に込められた魔力が尽きたら消えます。


 それに、前回使用した時と全く同じ術を同じ様に発動しようとも、全く同じ物が出る事などありません。


 一度使用すればそこまでの使い切りなのです。全く同じに見えてもガワだけが一緒な別物なのです......


 ですが、何故でしょうか......私にはそうであった時の記憶が残っていました。私の体は消されても、未だに存在や自我は消えていません。


 エルフの男の爪を剥ぎ、生皮も剥ぎ、甚振り、弄び、屈服させ、鞭を振るい、悦に浸っていた......あの、とても甘美な時間が昨日の事のように思い出せます......

 ですが術者様が戻ってきた時に感じた物足りなさと悔しさも覚えていました......もう少し、もう少しと、一秒でも長く豚を虐めていたい......生まれてきた悦びを感じ、私の役目を果たしていたい......と。


 そう願いましたが、あの方は容赦なく私を消しました。あの容赦の無さは素敵でしたが、私は攻める方が好きでございます。

 願わくば、もう一度......この先もあの方の命令で豚を締めたいと、そう消える直前に祈りました。


 その所為なのでしょうか、肉体が消えた後も魔力で充たされた不思議な空間の中を、自我を保ったまま意識だけでずっと揺蕩っていました。




 再び肉体を得て顕現する事が出来た今となってはよくわかりませんが、永劫とも、一瞬とも思える時間の感覚のない不思議な空間の中......揺蕩うだけでやる事も無いので、何か出来る事は無いかと考えていると、あの時に頂いた体が戻りました。


 再び肉の器を得てそれからはただ只管、不思議な空間内で己に与えられたスキルという物を磨く日々を過ごしました。


【鞭術】【剥ぎ取り】【痛覚操作】【感覚拡張】【緊縛術】【拷問術】【ドS】【ドM】【刺突武器】【口撃】


ㅤこちらが私に与えられていたスキルになります。


 私に最初から装備されていた武器は、バラ鞭、一本鞭、馬用鞭に、魔力で発現させられる縄と釘や針。

 魔法で生成された私が、スキルや魔法を使える意味がわかりません。ですがきっとあの方にとって意味のある事。【口撃】だけは使い方がわかりません。噛みちぎる......とかでしょうか?


 いつかまた顕現させてもらえるその日を夢見て、スキルを磨く毎日でした。



 この日も何時ものように日課とした鞭を振るっていました。ですが、この日は私が待ち焦がれていた変化がありました。


 不意に私の足元に魔法陣が現れ、あの方の魔力が私に注がれていきます。


 歓喜に身体が震えました。

 またあの方に使ってもらえる。

 また怯える豚を甚振れる。

 また情けなく無様な姿を見れる。


 早く顕現したい......その気持ちでいっぱいになり、顕現するまでの時間が永劫にも感じられました。



 そんなやきもきとした時間は終わりを迎え、ようやく待ち侘びた時が訪れました。


 血の香りと生臭さを感じた私の目の前には、薄汚い雌の死体と従者らしき死体が数体、怒り狂い、今にも敵に飛び掛かろうとしている豚が一匹。


 あの方はどうやら、この豚を私に任せて下さるのでしょう。背後にはあの方の強大な力を感じていますので、きっとそのはずです......



 えぇ、何も仰らなくても私は全て理解しました。私めにお任せ下さい。


 前よりも残酷に、残忍に、それでいて華麗にあの豚を躾てみせますわ......!!




 ◇◇◇




 ......なんか前に喚び出した時よりも威圧感や雰囲気がやばい。それと、物凄く活き活きとしていらっしゃる。

 女王様って召喚じゃなくて魔法だよね? クラヤミ擬きの時も思ったけど、魔法って意志を持つモンなの?



 ......うん、考えてもわからん。女王様に全て任せよう。そうするだけで全てが上手く回るでしょう。

 言葉は通じるのかな? 見た感じ通じそうだけど......一応声掛けておくか。


「あー、出来たらでいいんだけど、こいつがこれまで行ってきたヤバめの悪行、隠してある財産の場所、何も悪さをしていない使用人の名前を聞き出しておいて。それをこの紙に書かせて......うん、大丈夫そうだね。頼んだよ」


 ......頼み事を伝えている時にめっちゃ妖艶な雰囲気を出しながら返事っぽい吐息を吐いていた。早く豚をブタせてくれって事なんだろう。


 ......ごめんなさい、では後はお好きにどうぞ。


「さ、屋敷内を探検しに行こうか」


「わんっ」


 うわっ......悲痛な声が聞こえてきた。あんこのお耳を塞いでさっさと離れよう。




 ◆◇◆




 執拗いようですが、私は今歓喜に震えています。

 再び顕現させてもらえ、餌も与えてもらえた。そして、頼み事までしてもらえた。


 これが喜ばずにいられるでしょうか。


 あの方の魔法にすぎない私に、一言命令すればいいだけなのに、それをせずに頼む......と。


 スキルでも解る通り、私の中にはサディズムとマゾヒズムという一見相反していると思えるモノが混在しています。ですが可笑しい事ではありません。

ㅤSとMというものは、実は表裏一体でもあります。切っ掛けさえあれば簡単に反転しますわ。気の強い女はア〇ルが弱い......みたいなものです。


 それから、愛の無いサディズムはただの暴力、ただの拷問です。あの方風に言うのならDVと言うのでしょうか。

 やられる側の気持ちを理解できなければ、拷問官と変わりありません。それではいけません。なので、しっかりやる側、やられる側の気持ちを理解しなくてはならないのです。


 ですので、私は命令されるのも好きです。


 私を創った創造主であるあの方、あの方に私は何をしても勝てません。あの方の前では私なぞただの卑しい雌豚なのです。

 雌豚へ向ける愛などなくとも、あの方から頂けるモノはその全てをご褒美です、食らえば即死の一撃でも喜んで頂戴する所存です。


 ただ一言、「ヤれ」と言われれば絶頂しながら何でもやります。ですが......「頼む」と言われるのも悪くないですわね。


 ですので今の私のモチベーションは最高潮です。絶対に与えられた役目を果たしてみせます。待っていてください。




 与えてもらった魔力を使用して黒縄を発現させ、豚の手首と足首繋げて縛り上げ、無駄に豪華なシャンデリアに引っ掛けるました。


 海老反りの形になり吊るされた豚の開いた口から情けなく垂れるその舌に、部屋にあった蝋燭の火で炙った五寸釘を打ち込みます。

 熱した釘が刺さった舌、釘の当たった唇からジュゥゥという音、肉の焼ける臭いと煙が立ち上りました。


 目から涙を流し、口からは悲鳴と涎を撒き散らす豚を見て、はしたなくも興奮してしまいます。もっと私に悲鳴を聞かせなさい、もっと私に苦悶に満ちた表情を見せなさい。


 吊る事を目的とした縛り方をされていない豚は、そんな状態で無理に動いたからか肩と股関節から小気味よい音を鳴らし、床との距離を縮ませていい声で啼きました。



 嗚呼、この後はどう責めてあげましょうか......


 そう考えた時、私は気付きました。


 話しをする事が出来ません。念話も、文字を書く事も......唯一可能なのが声を聞くだけな事に......



 ど、どうしましょう!?


 あの方に頼まれた事を完遂できません!




 仕方ありません......こうなってしまえば私に出来ることは一つしかありません。


 死なないよう徹底的に管理しながら、この豚の心を圧し折り、言われた事に素直に従うように仕上げる事です。あぁ......不出来な私をお許しください......お手数をお掛けしてしまいます......




 爪に熱した針を何本も刺し、神経が多く通っている箇所にも同様に刺します。敏感な部位や、弱点とも言える部位に刺す時は反応が大きくて楽しいです。


 腹を開き、飛び出た内臓をソーセージのように捩り、腹の中へ戻します。その際に肋骨を数本折って回収し、開いた腹は針を使って綴じます。抜いた肋骨は邪魔ですね......雌豚の死体にでも刺しておきましょう。ええ、部屋の中が一気に華やかになりました。

 貴族のマダムがコルセットを巻く時に楽になるとか、ウエストを細く見せる為とか......そんな理由でやる事もあるそうなので、試しにやってみましたが、意外と楽しいですわね。


 私だけ喋れないのは不快なので最期にはこの豚も喋れなくする予定ですが、今はこの豚の悲鳴を味あわせて貰います。八つ当たりかもしれませんが御容赦を。


 では続きを致しましょう。


ㅤ全ての歯を抜き、転がっていたナイフで歯茎を切り開き、部屋の中にあったアルコールを塗り込みます。


 薬液などがあればもっとよかったのですが、無いものは無いので妥協しながら。


『あはぁ......♡』


 いい、いいですわ。


 ただの小汚い豚だったモノが、どんどん洗練され、エレガントな豚に変わっていきます......このビフォーアフターが堪りません。


 責める手は止めません。流れる様に次の行動へと移ります。


 豚に有るまじき色の肌を丁寧に剥ぎ、表皮にたっぷりと塩を擦り込んでいきます。献上品か何かでしょうか。部屋にあったので使わせて頂きました。このお塩は貴族様の役に立ちましたよ。誇りなさい。

 塩を擦り込まれた生皮を裏返し、脱がせた皮をまた着せていくと、無駄毛や産毛、それにお塩がいい感じに内側の肉や神経を刺激していきます。いい声ですわね。


 綺麗な内側の皮を表向きにした物を纏った豚は、とてもエレガントなピンクの豚になりました。爪の先や耳、乳首や陰茎、睾丸、肛門などは釘や針で装飾も施され、いつでも出荷可能と言える程に仕上がりました。


 豚の啼く声や顔がとても甘美です。


ㅤですが、もっと、もっとです。


ㅤもっと悲鳴をお聞かせください。


ㅤあの方がお戻りになるまではまだ時間があるようですので......豚、休むにはまだ早いですわよ。


 折角の貴族屋敷なのです......何処かに拷問部屋とかあるのでしょうか。あるのなら是非とも案内してほしいものです......そちらを使わせて貰えればもっと楽しめますのに。




 ◇◇◇




「はーい、この家の関係者及び使用人さんたちー全員集合してくださーい!!」


 この敷地に出るのは不可能だが、入るのだけは可能な壁を作って土地をまるっと包み込みながら、屋敷内にいる人間に向けて、メガホンを使い屋敷の庭から声を掛ける。


 何事か!? といった声が聞こえてくるが無視をして、出てきた側から縛って転がしていく。


 いやー出てくる出てくる。物陰から気配を消してこちらを伺う暗部の様な輩も釣れるので楽しい。


 三十分程で全ての人間を捕縛完了。さて、アホ貴族の全てを根こそぎ奪ってやりましょうか。

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