第230話 デートの旅~ラブラブデート~
「ん、んんん......あんこがモチモチしてる......気持ちいいなぁ......下半身の方はフワフワしてりゅぅ......」
顔面を覆うモチモチしたあんこを撫で回す。上半身はモチモチ、胸に乗っている下半身の方はフワフワ。枕はサラサラ......
「ん? あんこがウチの天使たちの特徴を兼ね備えたハイブリッド毛皮のようになってる......? なんだ、夢か」
違和感を感じるも寝惚けた頭では深く考えられない。なので気持ち良さに身を任せてモチモチフワフワになってしまったあんこを撫で回して堪能する。
よーしよしよしよしよーし。あんこ以外の子に会えない寂しさからか素晴らしい夢を見ているんだね。HAHAHA。
もう少しだけ、この夢を楽しもう......
◇◇◇
「キュウッキュウッキュウッ!」
「メェェェメェェェ」
ぺちこんぺちこん、びたんびたん。
ふふふっ、遂に末っ子姉妹の幻聴まで聞こえるようになったか......禁断症状ですね、わかります。
......ハッ、ま、まさか、ウチの子はもしかして依存性があるのか......知らなかったよ。でも違法性はない。合法だし安全だからセーフだ。
顔面を覆っていたモチモチフォルムのあんこはもういない......悲しい。アレはやっぱり夢だったのか......
「キュウッ......キュゥゥゥゥゥゥ!!」
「ぬわーーーーーーっっ!!」
え、あれ? リアルウイちゃん?
「あ、おはようございますウイお嬢、しるこお嬢」
......あ、そっか。昨日はこっちに帰ってきてたんだった。良かった、幻覚や幻聴の症状が出るようなアブない成分はウチの子には無かったんや!
「よーしよしよし、可愛いのぅ可愛いのぅ。でもね、起こすだけの為に脳を揺らすのは止めようね。俺がイカれちゃったら目も当てられないからね」
「キュウッ!!」
「前もそんな返事してたと思うけど......うん、返事だけはいいよね。でもね、女の子がそんな過激な方法で人を起こしてはいけませんよ」
「キュッ」
「メェッ」
「よし、久しぶりってほど久しぶりじゃないけど、朝飯は俺が作ろう。お嬢たちは肩に乗っててね」
ふふふ......幸せだぁ。
この様子だと末っ子姉妹の目覚まし前のアレは夢じゃないな。モチモチが俺の顔に覆いかぶさって寝ていたんだろう。素直になれよ......ダイフク......
両耳から聞こえてくるご機嫌なお嬢たちの歌声が心地良い。幾ら払っても俺以外では体験出来ない特等席でのコンサートを聞きながらの朝食作り。朝から幸せすぎますぅ。
そんな幸せに浸りながら朝食を作り、比較的いつもより甘え気味なチーム辛辣とくっつきながら朝食を食べる。
その後は寝て起きたらお家に帰ってきていて困惑しているあんこに経緯を説明しながら朝風呂を堪能。そんな事をしていたんなら起こしてよと怒られたりもしたけど、プンスコ怒るあんこお嬢様のご機嫌取りをしながらのお風呂は幸せだったから問題はない。
帰り際にピノちゃんから野菜、鳥ちゃんズwithワラビからは狩った獲物を渡されて、感動した俺は少しだけ時間が飛んだ。天使たち全員がグッタリしてたけど、キング・ク〇ムゾンされたから俺が覚えてなくても仕方ないよね。ははっ。
「じゃあ行ってきます。お留守番よろしくね! またなんかあったらすぐに駆け付けるから安心してねー」
いつも通りフワモコサラサラなあんこを抱きしめながら宿へとワープした。
◇◇◇
宿へと戻ってきた俺は食堂へ行って今日の分のお肉を受け取り、貰ったばかりのピノちゃん野菜を料理長に預け、これも肉料理の付け合わせとかにお願いしますと追加オーダー。
ピノちゃんメイドの野菜を受け取った料理長の目が輝き、土もしっかり落としてないうちに齧り付いた。
うん、あれなんの野菜なんだろ......色以外はナスなんだけど......ふぅ、深く考えたら負けだな。ファンタジーなんだから。
「......食べてもいいけど、追加した分はちゃんと作ってね。それじゃあ俺は王都散策してくるねー」
ブルブルしだした料理長をスルーして逃げるように宿から出た。帰ってきた時に問題が起きていないことを祈る。
「あんこちゃん、今日こそは普通にデートしようね」
「わんっ」
「抱っこしたまま行く? それとも歩く?」
「くぅーん」
「りょ」
俺の胸を体でグリグリしてきたので、きっと抱っこされたままがいいんだろう。ペロペロしてくれてもいいんだよ!
「久しぶりに来て何があるか覚えてないから、これまた久しぶりのあんこナビで王都を回ろうか。俺はナビ通りに進むから、シアンロボの操縦よろしくね」
「わふっ」
「シアンロボ、発進っ!」
「わんわんっ」
ノリのいいあんこと共に進みだした。
◇◇◇
「わっふわっふ」
ノリノリなお嬢様の出す気の抜けた鳴き声が可愛い。この鳴き声を聞くだけでトカゲ一万体を数セット殺し続けられる。
「きゃんっ」
進みたい方向を伝える時は、可愛い
「きゅーん」
ようやくお目当ての場所が見つかったのか、俺のお腹を麗しいしっぽ様でパフンパフンしてきてくれる。これだけで人類を滅ぼせるくらい滾る。
「ふむふむ、従魔専門店か......興奮してきたな。早速入ってみよう」
「わんっ」
アレだろ、これは地球で言う所のペットショップだろう。会った瞬間にロックオンして追いかけてきて、水中に逃れても氷を撃ち込んでくるようなキチ鳥の名称ではないでしょう。
では、パラダイスにいざゆかん!
「えあろすみすー」
どこか懐かしさを感じるヤル気の感じられない店員の挨拶。店内は数名の店員がおり、ペットショップというには些か語弊のある巨大な檻や、殺傷能力の高そうな魔物がたくさん見受けられた。
「......ははっ、猛獣の多い動物園やんけ」
若干ヒキ気味な俺を余所に、楽しそうなあんこが俺を急かす。あっち! あっち! と、俺の手をぺちぺち。
「あっちに何があるの?」
「ひゅーん」
「お嬢様の行きたい所へお嬢様をお連れするのが、本日、私に与えられた役目で御座います。行きたくないわけでは御座いません。すぐに向かいます」
行きたくないの? と、悲しそうな顔で俺を見てきた。そんなわけないのです。ちょっとだけ気後れしただけです。
「ほらほら、悲しそうな顔しないで。行くよー」
「わんっ」
よかった、あんこが思ってるのと、俺が考えてるのはちゃんと違うよって伝えられた......
思ってたのと違って戸惑ってたのを、行きたくないと思われてしまったらしい。
「この先には何があるのかなー? 楽しみだねー」
「ふふんっ」
私は知ってるよ! ってドヤるあんこたん。教えてくれてもいいのにー。
置かれている檻の隙間を縫うように進んでいく。
『右だッ』
『左よッ』
『中ァ』
腕をぺちぺちと叩かれながら進む。進む。進む。三択の場合は両あんよでぺちぺちだったのが可愛くて萌えた。
「いらっしゃいませー。ようこそ従魔用品店『檻の中』へ」
「あんこナビで檻の迷路を迷うことなく進んだ俺が辿り着いたのは、先程までとは打って変わって、あんな迷宮の中とはとても思えないファンシーな空間だった......」
「くぅーん」
ごめん、ちょっとバグった。
普通は入ってすぐの場所に此処があるのが正解じゃないんですかね。なんで逆にしてしまったのでしょうか。あと、店名っすよ、なんだその名前は! 王都ってヤバい場所なんですね、謎が深まるばかりです。
「あんこが行きたかった場所が此処なんだね。うん、すっごいファンシーなペット用品売り場です」
「わんわんっ」
「まぁまぁ! とても可愛くてお利口さんなわんちゃんでございますね! どうぞごゆっくりお買い物をお楽しみください」
この店員......やりよる。さすが、たくさんの従魔に触れ合える場所の店員だけあって、見る目があるではないか。
「ありがとう、じゃあこの子と店内を見てくるね。聞きたい事があったら呼ぶから」
「かしこまりましたー」
「わんっ」
「わんわんっ」
「わふっ」
ほぅ......ほぅほぅほぅ。俺はあんこが選ぶ商品を買い物カゴに入れていくだけの男になっていた。
貴族のご令嬢に付き従う従者的なポジションかな? ふむ、悪くないぞ。
あんこはどうやら妹たちへの贈り物を選んでいるっぽい。カゴに入っていく商品は、どれも天使たちに似合いそうな物ばかり。
アレはピノちゃん用、こっちはツキミちゃんでソレはダイフク用かな?
真剣に皆へのプレゼントを選んでるあんこも鬼可愛いし、あんこからの贈り物を装着した皆の姿を妄想したら激可愛かった。
あんこは自分用の物は選んでいないようなので、選んでるあんこの横でこっそりとあんこ用の物を選んでカゴに入れた。
「ありがとうございましたー」
中々良い店だったぜ......思わず会員証を作ってしまった。これがあれば今度は迷路を通らずにあそこまで行けるらしい。
あんこはとても満足そうに俺の腕の中で胸を張っている。尊いぜ......
「よし、じゃあ次行ってみよー」
「わうっ」
あんこと俺のデートはまだまだ始まったばかりだ。本番はこれからだぜ!
──────────────────────────────
明日はワクチンぐさぁーの日なので体調次第ではおやすみするかもしれません。
病気とかにはあまり掛からない体質ですが、たまーに掛かる病気や、副反応、副作用とかそれ系統の物がかなり酷くなる体質なので、今から戦々恐々としています。
タバコ吸う人は効果が何十%減とかどっかで聞いたし、感染しなくなるではなく重症になりにくいって聞くと、別に副反応に苦しんでまで打たなくてもよくねって思ってしまいます。
いや、しっかりワクチン打たれてくる予定ですけども。
この作品を読んでくれている読者の皆様も、体調を崩さぬよう十分お気をつけください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます