第228話 デートの旅~歓待~
お嬢様の慰めは初めて見る物だった。俺にはしてくれなかった物を出すとは......ぐぬぬぬぬぬ......
大きくなってボディプレス。ここまでは俺もされた事がある。
だが、その後の事は俺もやられた事がない!! ずーるーいー!!
なにそれマジで羨ましい......おっきくなったあんこがそのまま転がって女の子たちを轢いていく。きっとあの攻撃の食らい心地はもっふもふのロードローラー、若しくはガソリンスタンドにある洗車する機械で生身を洗われるようなモノだろう......きっとガチで気持ちいいんだろうなー......
うぅっ、俺以外にあんこの初めてを奪われてしまった......悲しい......
轢かれた女の子たちは嬉しそうな顔で転がっている。くそぅ。
まぁいい、泣いてるままよりは全然いい。でも!! 後でソレ、俺にもやってね。
◇◇◇
時間が経って正気を取り戻していった女の子たちから色々な事を聞いた。
感想としては『どうしてこうなった』としか言えなかったよ。いや、本当にマジで。
初プレイなのに最初から全員攻略済みのデータが入っていたような、なんとも言えない気持ちになった。
まぁアレか。吊り橋効果が天変地異を起こしたようなモンと受け取って諦めよう。
何故俺が今こんな事を思っているのかというと......今、物凄い歓待を受けている。
NG無し、何をされてもおっけーって心意気な極上の女の子たちによるキャバクラプレイの真っ最中なのである。
でも悲しい事に多少の優越感は感じるモノの、俺自身はは全然ムラッとしていない。あっちにいた頃なら下心丸出しでワンナイトしようとしていたかもなのに。
機能はしている。だが、俺は可愛い女の子に囲まれるよりも、あんこたちに囲まれている方に幸せを感じてしまっているのだ。
なんだろう......動物園の触れ合いコーナーで小動物と戯れている時のような......いや、違うな。長期休暇で久しぶりに再開した姪っ子と戯れている時のような、菩薩のような気持ちになっている。
肉体関係を持ってもいいとは思わなくもないけど、誰かを選んでも角が立つだろうし、かといって全員と遊ぶとか正気の沙汰じゃない。そういう事をする、したいのなら、プロに金を払ってその場限りの遊びとして済ますのが一番。
まぁ見目麗しい女の子に囲まれて接待されるのは、極々偶になら悪くない。今日限りと思って受け入れよう。
あんこもこんな扱いされている俺に嫉妬すること無く、マジモンのお姫様かってくらいの接待を受けて嬉しそうだし。女の子の扱いは女の子の方がやっぱ上手いね。俺が体験させてあげられない事をやってくれてありがとうね。
......ふぅ、酔わない身体で良かった。
何十人もいる女の子たちから一人一杯ずつお酌され、お腹がタプタプになるまで飲んだが平然としている俺。肉食獣のような目をしていた子もいるからきっとヤリサーの新歓のような状態にしたかったんだろう。残念だったね。
さて、一息ついた所でこれからは商談のお時間でございます。
「今この商会ではあんこと畜ペンのグッズを売っていると思うけど、ウチの子たちはまだいるのよ。そこで、俺としては君たちにその子たちのグッズも作って欲しいんだけど......どうかな?」
「私たちにそのような重要な任を与えて頂けるのですか? 是非ともやらせていただきたいです」
「おー! 即断即決とは嬉しいね、じゃあ任せるよ。えーっと、これがウチの子たちの写真ね......可愛いでしょ?
白い蛇がピノちゃん、黒い鳥がツキミちゃん、白い鳥がダイフク、鹿っぽいナニかがワラビ、赤いアザラシがウイちゃん、黒い羊がしるこ、顔と手がいっぱいあるのが門番兼魔除けヘカトンくん、そして皆大好きあんこちゃん。これが俺の家族ね。可愛くて素晴らしいグッズをよろしくお願いします」
ウチの自慢である天使たちの姿を見て無言になる女の子たち。生産グループはもう既にスイッチが入っているのか、真剣に見ながらブツブツ言っている。
しるこについてはもう既に、クリンクリンバージョンと直毛バージョンにそれぞれファンが付いていた。直毛バージョンもいいよね、羊と言われれば???となるけど。
「えーっと、グッズ制作の責任者と副責任者は誰かな? 譲れない拘りがあるからちょっと話がしたいんだけど」
「「はい」」
「おー、君たちね......じゃあ――」
生産組のトップ2には俺の譲れない拘りを熱く語った。
あんこの毛並と可愛いさの再現
ピノちゃんのすべすべ鱗の感触
ツキミちゃんのフワフワ感
ダイフクのモチモチっぷり
ワラビは取り外し可能なパーツを
ウイちゃんの滑らかフォルム
しるこはバージョン毎の触り心地
ヘカトンくんはデフォルメ具合い
熱くなりすぎた感は否めないけど、人には譲れない部分ってあるよね。仕方ないのさ。
それと、クオリティを上げるための投資は惜しみなく行う。
生産グループにはこれまでのダンジョンで入手したドロップアイテム、最高の素材を惜しみなく使って製作に掛かりっきりになっても十年は耐えられるであろう資金、あらゆる角度から撮影した天使たちの写真......などなど。
クラン員全てにあの時に送った剣鉈とマントを、それと劇物を一つずつ。既に食べている子は全員幹部らしいので、他の子との差別化を図るためにまた食べてもらい、強化版剣鉈をもう一つ。ここに居ない子の分もちゃんと用意した。
戦闘班にはステアップ効果大の物を、生産班には器用さアップ大の物、商会班にはスタングレネードみたいな物を。
そしてクラン全体へのプレゼントとして、あんこかピノちゃんが起爆しなくても爆発させられるように改良したあんピノ玉の中サイズを十個。面倒すぎる敵対者には遠慮なくぶち込んであげなさい......フフフフフ。
こちらへの報酬としては、最高級のグッズの提供、珍しい食材や香辛料、嗜好品の確保、商会利用時の料金を永久無料などを約束させられた。
最低でもワンクール毎くらいに商会に訪問する事を約束し、転移ポイントとして商会内に俺の部屋を用意して貰って登録した。これで面倒な入場時の行列に並なくてもよくなった。
いい感じに話が纏まり、皆が悶え苦しみ終わった辺りで、王都滞在中のもう一度の訪問を約束して本日は解散となった。アラクネ御一行以来の他人との関わりに御満悦のあんこを女の子から
王都に来てから何度目かの、デートの予定だったのにどうしてこうなった......を頭に思い浮かべながら、宿に戻って飯を食べた。
その際に本日分の肉料理を受け取って俺の収納に移した。
飯をたらふく食べた後なのに、暴力的なまでの匂いに思わず食べそうになってしまったのはご愛嬌だ。
お風呂に入って存分にイチャイチャした後は、お布団の中であんこが寝るまで撫で回した。楽しそうにしてる姿を沢山見れて今日も幸せだった。
......さて、寝る前に恒例のあっちの監視をしましょうかね。
............
..................
「............ふぁっ!?」
◇◆◇
side~ミステリアス商会~
「皆さん、今日はお疲れ様でした。我々の悲願であったシアン様との邂逅を、無事とは言えませんでしたが果たす事ができました」
「はい」
「......それと、いつも目障りだったゴミクズの邪魔が素晴らしき日にもありましが、そのおかげであの御方の素晴らしさを再認識させて貰えたので、感謝はしませんが最期に役に立ってもらったので良しとしましょう。
迎撃も想定以上の数だったのにこちらには被害は皆無でした。よくやりましたね」
「ウチで開発している武具も凄いですが、幹部の皆さんの武器が凄かったですからね。それにしても......シアン様が武器を私たちに直接下賜して下さるなんて夢のようです」
「はい、今日は本当に良き日でした。完璧な御方だと思っていたのですが、お可愛らしい一面もあって......そして素晴らしい力も見せてもらえて......」
「力と言うと、あのゴミの死体や血が、跡形も無く消えたのはシアン様のお力だったんですか......?」
「えぇ、あんこ様を中心にあの黒い煙が噴き出していたのを見たので間違いありません。どうやって消したのかは全くわかりませんが......」
「凄いですね......それくらい出来なきゃ先輩方をクソ貴族の元から救い出すなんて出来ないでしょうし......はぁ、今日の思い出だけで数年は頑張れそうです......」
シアンが帰った後、彼女たちは夢見心地で今日あった事を語り合っていた。
「直接お話するだけではなくお酌まで出来るなんて昨日は思っていませんでした。幸せすぎます」
「あんこ様以外の家族も紹介して頂けましたし......これはもう私たちの商会はあの御方公認と思っていいのでしょうか?」
「えぇ、いいと思います。詳しくはもう一度来て頂いた時に聞いてみますね。それと、生産班は明日から気合いを入れて頑張って下さい。我々も全力でフォローしますので」
「「「はいっ!!」」」
そう遠くない未来、王都中......いや、人間界に天使たちのグッズが溢れる事になったのは言うまでもないだろう......
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サブタイの数字を消して、なんかそれっぽいのに変更します。今後また変えるかもしれませんが御容赦下さいませ。
ㅤ誤字脱字、変な文章の箇所についても気付いたらご報告お願いします。
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