第215話 Gの後処理
ウチの子のプリチーさが荒れた心を癒してくれる......やばい......好き。
あの気持ち悪いコックローチという虫を見た後だと、余計にそう思える。
ふわふわもこもこ......なんて素晴らしいんでしょう!! ヌルヌルテカテカ黒光りなんかには絶対に勝てない素晴らしさがそこにはある。とりあえず夜が明ける頃にはこの山の中にあの黒光り共は居なくなっている事でしょう。いや、ほんとマジで、闇ル〇バよ......頑張ってヤツらを殺し尽くしてくれ。
◇◇◇
一夜明けて......いつもの朝のルーティンをこなし、存分に癒されてから、昨日の出来事について振り返る。
「ふむ......なんであのクソゴキブリにウチの完璧な隠蔽がバレたんだろうか。ねぇ、あんこはその理由わかるかな?」
「くぅん?」
あざとかわいい小悪魔ちゃんがコテンッと首を傾げる。わからないのねー。わからないならそれでもいいんだよー。
そんな事よりも、いつそんなあざとい行動を覚えたのさー!! キュンキュンしちゃったじゃないっ!!
「あんこでもわからないならもうお手上げだね。じゃあもう気にしない事にするよ。現実世界に居た頃から、ゴキブリはもうわけのわからない存在だったからね、気にするだけ無駄だよね」
小悪魔お嬢様にメロメロになって考える事を放棄した。これはもう仕方のないことだよ。うん。わんこが嫌いじゃなければこんなの抗える理由がないねん。
「くぅん」
あんこが甘える。俺幸せ。
コレはもう宇宙の法則。これが乱れる事なんて未来永劫ないのだよ。
「ピノちゃんたちはこの件について何か気付いた事があったりするかなー? 俺は全く気付いてないから、気付けてなくても何も問題はないよ。君たちの視点からの意見も聞いてみたいだけだから」
『熱源感知とか?』とピノちゃん。
『第六感とか?』とダイフク。
『ゴキブリの中に隠蔽に長けてるのが居たとか?』とツキミちゃん。
『捨て駒の眷属を突撃させて安全を確保してるとか?』とヘカトンくん。
『触覚が有能?』とワラビ。
「キュキュキュー」「メェーメェー」と末っ子姉妹。可愛い。
なるほど!! 種族の特性や、個々の得意分野を活かした意見ありがとう!!
ゴキブリってピット器官的なのあったかな? あの不思議生物だし、それっぽいのは搭載してても可笑しくはないか。第六感は多分エグいレベルで搭載してるよねきっと。
ウトウトしてる時に部屋の中を飛んでいる蚊と、神出鬼没なゴキブリの危機回避能力はヤバいもん。
隠蔽に長けている個体がいる、触覚が有能......これも有り得る。ヤツらはヤバい。
無限に増殖していく種族特性を活かしたゴキ海戦場......コレも有り得る。罠を張る事に特化している種族とかは簡単に詰みそう......南無阿弥陀仏......
ふむ。とりあえず一つずつ検証していこうかな。アイツが気付いた理由さえ解れば、後はどうにでも対策を立てられる。
俺以外の天使たちを外に出し、御神体を操作して俺以外の天使たちの許可を取り下げる。実験の為とはいえ、物凄く心苦しい......
早く終わらせy......
..................答え出た。はい解散。
「天使たちの許可を再設定......よし、完璧。早くあの子たちを迎えに行こう。いやー......こんな簡単に解決するとは思わなかったでありんす」
お外に出しちゃったあんこたちを走って迎えに行くと、再び入れるようになっていた事に気付いた皆が駆け寄ってくるのが見えた。もう二度と離さないからね!!
「ごめんよぉぉぉぉ!! 解決しました。お手数をお掛けして申し訳ございません」
駆け寄ってきた子どもたちに押し倒されてベロンベロンされる幸せ。顔中ベットベトになるが、気持ち良くなると濡れるのは自然の摂理なのだ......ふふふふふ......
「さて、超高速真相解明したワケだけど、この短い間に何があったかを説明しようと思います」
限定的とはいえ、やっぱり自分のお家に入れなくなるのは寂しかったらしく、どうしようもなくベットベトにされてしまったので、温泉に浸かりながらの報告会。
「ヘカトンくんの予想が的中していたよ。ゴキブリが隠蔽空間に結構な量侵入していました......ははは......先遣隊が消えた辺りで、捨て駒を大量に呼び寄せて第二陣を突入。ソイツらが消えた場所の前で止まって俺らを呼びだしたっポイね」
いつもなら外の声は聞こえないはずなんだけど、聞こえてきたのはなんか理由があるだと思う。ヤツ特有のスキルかなんかだろうけど、汚物は消毒しちゃったからもう確認しようがないので諦める。
そんな能力があったとしても、この中の事を確認出来ていなかったし、侵入も出来ていなかったから警戒する必要はないと判断。
「今回はたまたまそんなヤツが来ちゃっただけだからこれからも気にしなくてもいいと思う。そんで、これから俺が居ない時とかにそんなヤツらが来た時は、個々の判断で処理しちゃっていいよ。でもこれだけは約束して......絶対に一人でやらない事。負ける事は絶対にないと思うけど、戦いに絶対はほぼ無いから、最低でも二人一組でやる事!! いいかな?」
七大罪系は皆だけでも余裕だと思う......だけど、状態異常は通っちゃうからソロでは絶対に挑ませない。ここは譲らん。
ソロ+見守り要員って感じで挑むのは可。もしもの時の備え大事。
過保護な事を知っているからなのか、俺の意見は驚く程すんなりと受けいられた。
「予想でしかないんだけど、悪臭を放つ相手とか、東屋に入ったあの時の無気力状態のような症状にしてくる相手とか、魅了してくるヤツとかがいるから、十分注意するんだよ。俺、君たちが魅了されて寝返ったとかになったら絶望して死ぬから......本当に気をつけてね......」
状態異常になった時の事を思い出したのか、顔を顰める我が子たち。そのお顔も可愛いからもっと見せて!! 俺だとそんな顔させられないから結構レアなの!!
魅了されて......って話をしてる時は、何故か思いっきりジト目で見られた。解せぬ。
『ネコなんかにデレデレして襲われてたクセに......』
......デレデレなんてしてないよ。ほんとほんと。やだわー。HAHAHA。
「......ごめんなさい。ネコに飛びかかってこられるなんて初めてで、浮かれてしまいました。その節は......ほんと、申し訳ない......」
反省してますんで、過去の痴態を思い出させないでください......ぐぅぅぅ......アレ、トカゲの策謀なんだったんだよな......次に遭遇した時はまたぶち殺してやる......
「まぁうん、もうしませんのでお許しくださいませ。ネコは敵ですので、次はもうそんな事は起こり得ません」
『......デレデレしていいのはわたしたちだけだからね!!』
「イエスユアハイネス」
まだあの時の事を根に持たれていた事に驚いたが、同時に愛されている事も再確認できたので大満足。それと、ゴキブリ共の謎もほとんど解けたのでスッキリ。
もちろん隠蔽空間に迷い込んだゴキブリの群れは、ウイとしるこの経験値として美味しくいただきました。
ウイちゃんの怪音波の凄まじさを再確認しつつ、しるこの闇魔法の練習台になってくれたのでよかった。最初は伸ばした毛で殺そうとしていたので全力で止め、闇魔法のレクチャーをした感じ。
色合い的に合っていたのか、闇魔法の扱いが凄く上手で教えがいがあった。
糸を出せるようになって、それを毛の周りに纏うようになったしるこ。某幼稚園児の飼い犬の一発芸を仕込むと音速で理解する賢いしるこ。
ウチの子たちの間でわたあめの一発芸が流行したのが思わぬ収穫だった。あんことしるこが行うわたあめのクオリティが凄かったと言っておく。
......スペック的に一番高クオリティになるなと期待していたダイフクは、ただの大福になってしまったのが少しだけ悲しかった。
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魔王について
・この世界に魔王システムは無く、過去にこの世界に迷い込んだ厨二病転移者が闇堕ちして魔族側へ付き、自身の配下に七大罪の名を与えた事から始まった
・その転移者は表舞台に出るのを拒み(コミュ障)、真の魔王として影で君臨し、表では七体の配下が魔王と名乗った
・その名残りからその時に一番強い魔人が自称真の魔王として君臨し、その下に自称魔王な魔人が七体
その下の魔人は次世代の七大罪魔王に下克上してやろうと日夜牙を研いでいる
おまけ
故ナイトメアコックローチさんの解説
何代目かは不明な強欲の魔王
繁殖力、環境適応力、生命力が異常に高かった事が幸いし、雑魚虫の時期を乗り越え、力を得てからはスクスクと育つ
ある程度育ってからはお亡くなりになるまで
苦労をあまりしなかった為、あんな性格に
所持スキルは【異常繁殖】【眷属召喚】【お前の物は俺の物】【指揮】【貪欲】他
【
欲しい物がある場合、心の底から欲しがる物程自身の戦闘力が増加する
最高で十倍にもなる結構エグいスキルで魔王の地位を死ぬほど欲しがったので下克上を挑んだ時は十倍で発動した
【貪欲】
普通は消化出来ない物でも食えるようになる
雑魚時代、食う物にも困っていたが何がなんでも生き残ろうとして生えたスキル
悪食さんの遠い親戚的な感じ
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