第204話 迎or肉
案の定と言うかなんと言うか......
あんこは囲炉裏の付近がお気に入りらしく、囲炉裏の周りを縄張りって主張してきた。わんこっぽくて可愛いけど、水・氷属性なんだよね?
ピノちゃんは梁とか柱。木の洞っぽいのを作ってあげてもいいかもしれない。
ダイフクとツキミちゃんは押し入れの中。器用に襖を開けて入っていく。ダイフクは座布団の上、ツキミちゃんは布団の上がお気に入り。ネコの通路みたいのを作るか聞いてみたけど、それは必要ないって。
ワラビは縁側近辺。サイズ的にそこしか無理そうなの。すまない......いつか馬房みたいのを作れたら作ってあげてもいいかもしれない。
ヘカトンくんはいつも客間で寛いでいる。客間でのほほんと飴玉を舐めている。和むわー。
ウイちゃんは風呂場でぷかぷか。こっちは冷水であんこに頼んで作って貰っていた。お湯に浸かりたい時は温泉に向かう。
最近は移動のコツを掴んだみたいでキュッキュッ言いながら移動している。壁の一部を加工して温泉までの直通の滑り台を作ってあげた。
とまぁ、皆のお気に入りはこんなもんでございます。いやーいい仕事したわ。
俺は床の間エリアに陣取った。特筆すべき点などない。野郎の部屋なんて寝て寛げるだけでいい。
夕飯は囲炉裏で魚を焼いて、ボタン鍋を作って食べた。囲炉裏なんて見てしまったらこれをやるしかないじゃない。
憧れの田舎暮らしwithもふもふいっぱい。夢が叶った......後は煩わしいクソ共に邪魔されずにただただゆっくり生きるだけです。
愚かな生き物は魔王城のあるエリアに来てはダメだからね。
◇◇◇
家を建ててから一週間が経過。
皆の理想を聞きながらプライベートスペースの充実をさせていく日々を過ごした。
何処でそんなもん覚えて来たのか知らないけど、あんこが庭に犬小屋を設置してとおねだりをしてきたり、ツキミちゃんが鳥籠をおねだりしてきたり......
まぁ、おねだりされたら応えない訳にはいかないので設置しましたけど......なんでそんなのを希望するのよ。
たまにヘカトンくんが犬小屋で休んでたりするのも謎。ダイフクを鳥籠に入れようとしてみけど、散々抵抗した挙句、最後は太陽フィストで俺の目を潰した。
いつかのワラビの目潰しよりからはマシだったけど、しばらく何も見えなかった。くそぅ......
金銀の鯱の置物は温泉に飾った。ちょっと色が変わってきた気がするけど、それは温泉の成分の所為だろう。シルバーとか、金属類は温泉で変色したりするし。
そんな訳で家に物凄く馴染んだウチの子たち。各々お気に入りスペースでまったりする時間がとても増えてきた。
うん、結構一人の時間が増えたんだよ。
ちょっとだけ寂しい。
だからね、ダンジョンから帰還してからずっと試してみたいなーと思っていた事をやろうと思います。
周囲に悪影響を及ぼす可能性があるので、ここからは慎重に行動します。
用意するのは隔離空間、黒羊の毛、そして転生の小箱。
俺が用意したものを見れば、勘が良くない人でもわかるよね。何をしたいのかが。
......さぁやろうか。この空間の中ならきっと被害は外に出ないはず。
箱を開けます。
毛を入れます。
魔力を流して起動します。
......最初に煙が出てきて、続いて箱が膨張、柔らかい素材で出来ているのかよってくらい膨らむ小箱。
大丈夫なのか心配になってきたけど、中型犬になった時のあんこくらいのサイズにまで膨らんだ所で煙が落ち着く。
最後はかなり強い光を放った小箱。きっとお役目を果たしたって事......だよね?
光を何度も食らっていたので咄嗟に目をつぶった俺。なんだろうか、モチモチとキメラに調教されている気がする。
光が収まってから数秒、目をつぶって光を直視するのを回避したのにチカチカしている俺の目も、ようやく通常に戻ってくる。
そんな俺の目が捉えたのは、ダンジョンで相対した時よりも禍々しさやクトゥルフ感が大分減っていた黒い羊。思わずガッツポーズしてしまったけど、これはまぁ仕方ないよね。可愛いんだもん黒羊。
それでは鑑定っ!!
▼アストラルシープ
現世とは異なる位相に住む羊
クセが少なく、タンパクな味▼
大分名前が変わっているけどお目当ての黒羊。アストラルって事は幽体とか精神体とかなんだろうけど、そんな不思議生物相手でも味の説明をする鑑定さんは狂っていると思われる。なんでそんな生き物の味を知っているんでしょうか。
............まぁ鑑定さんへのツッコミは置いておこう。黒羊はテンパってる俺を見ても攻撃しようとしていないから、無闇に手を出さなければ敵対関係にはならないはずだ。
めぇーめぇー言ってて可愛い。この子、テイム出来るのかなぁ......テイムに失敗して敵対しちゃった時は、残念だけどジンギスカンになってもらわないといけなくなる。だからお願い......テイムさせてください。お願いします。
俺が動いたらピクってしたけど、警戒されてるのかな? ほーら怖がらないでいいんだよー。
「ヤギとかヒツジって何を食べるんだっけ......手紙や紙を食べるのはさすがにフィクションだろうし......草とかがいいのかなぁ......うん、わからん。とりあえず何かあげてみよう。......最初はキャベツとかでいいかな?」
考えてみてもさっぱりわからないので片手にキャベツ、もう片方の手にはレタスを持って近付いていく。
急に動いた俺と、急に現れたキャベツとレタスに驚いていたけど、ヒツジちゃんの目は俺の手に乗った緑色の玉に釘付けになっている。
よし、これならイケそう。多分。
ゆっくりと近付いていくが、どうやら葉物野菜パワーで警戒心が皆無になったらしい。これは嬉しい。
どうやらこの子はレタスの方がお好みらしく、レタスの方に視線が固定されていた。可愛い。アストラル体でもレタスが食えるのかわからないけど、とりあえずあげてみよう。話しはそれからだ。
触れそうな距離まで近付いてからヒツジちゃんの目の前に座り、レタスを一枚ちぎってお口の前に差し出す。
ふんふんとレタスの匂いを嗅いで、食べたそうにしているんだけど一向に食べようとしない。何故だ!!
フリフリと動かすと首が動く。可愛いけど食べようとしない......解せぬ。
ならばと、わんこにするように食べていいよーと許可を出す。だがこれも失敗。
これで手詰まりなのか......いや、まだ他に何か手はあるはず......
◇◇◇
どうしよう......思い付く限りの事は試したのに、この子全然食いついてこない......
サラダっぽくちぎって皿に盛り付けたり、ドレッシングをかけたり、他の野菜も合わせたりしたのに......
ウイちゃんなら目の前でアジをフリフリしたら速攻で釣り上げられるんだけどなぁ......
まぁいいや。最終手段だ。怖がらせそうでいやだからやらなかったけど、八方塞がりだからこれしかないだろう。たぶん。
お願いだから、怖がらないで下さい。
ウチの子たちにやった通りに指先に魔力と思いを込めていく。魔力を集め出した時にやっぱりビクッとさせてしまったけど、逃げ出そうとはしないので一安心。
だけどかなり警戒の色が強くなったのは悲しい。悲しくて胸が痛い。
「怖がらないで......俺の家族になってくれないかな? 種族は違うけど、君と同じで可愛い子たちがいっぱいいるから......どうかな? それに皆とっても優しいし、君が気になっているこのレタスも好きなだけあげるよ......どうか怖がらないでこの魔力を吸ってくれないかな」
これでダメならピノちゃんを連れてきて説得を頼むか、ラム肉になって美味しく頂かれるかになる......別の種類だけど、ヒツジは一度倒してるからこの子まで倒したいと思えないの。頼む......チューチューするんだヒツジちゃん。俺の指をその可愛いお口でぺろぺろチューチューして。
少しでも安心してもらおうと目を閉じて待つ......
......五分くらいだろうか、正確な時間はわからないけど多分それくらい経過し、ようやく指先に待ちわびた感覚が訪れた......
薄らと目を開けると、恐る恐るという感じは拭えないモノの、俺の指先から魔力をチューチューしているヒツジちゃんの姿が......!
よかった......あぁっ......可愛いよぉ......
ヒツジちゃんが吸い終わるまで、狂喜乱舞したい気持ちを金剛の如き精神力で何とか耐える。耐える......絶える......
ケフッと可愛いゲップをして指先から口を離したヒツジちゃんが、めぇーめぇー言いながら甘え出したのを見て、ようやく抑え付けていたリビドーを解放する。
「これからよろしくね」
この後めちゃくちゃもふもふした。羊毛はそれはもう素晴らしいモフみでした。
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ウ〇ダーとポ〇リを常備していて本当に助かりました。お休みしてしまい申し訳ございません。なんとか復活できました。
皆様は賞味期限、消費期限の管理はしっかりしましょう。あとはしっかりとした火入れとかもですね。
今回の私はカレーで当たりました。一晩置いたカレー、実はアレ危ないらしいです。
しっかりとタッパーなどに移して保管した方がいいと怒られました。お気を付けください。
これからも頑張っていきますので、どうかよろしくお願いします。
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