第200話 再会と紹介

 ピノちゃぁぁぁぁぁぁん!!


 ヘカトンくぅぅぅぅぅん!!


 あと牛。


「ただいまぁ!!」


 俺らの帰宅を察知したのか、隠蔽されているエリアギリギリのところまでお迎えに来てくれていたピノちゃんとヘカトンくんを抱きしめる。


「こんなところまで来て待っててくれたんだね。好き。可愛い。愛してる。あー、久しぶりのピノちゃんのすべすべお肌......癒されるぅぅぅぅ。ヘカトンくんもありがとね」


 わたしたちも忘れるな!! と言いたそうなあんこたちも突撃してきて、パラダイスになった。ありがとうございます!


「......長期の単身赴任とか、子どもが幼いうちに離婚しちゃって、中々会えない親御さんとか、お盆やお正月とかの長期休みでしか孫に会えない祖父母とか......こんな気持ちなんだろうか......」


 ある程度大きくなってわかったよ......おじいちゃんおばあちゃん......過剰とも言える甘やかしはこんな気持ちが溢れたからなんだね。

 違うかもしれないけど......多分似たような気持ちなんだとは思う。


「シャーシャー言っちゃって......どうしたのかなー? なんだかんだピノちゃんも寂しかったんだね。嬉し......なんで噛むのかなー?」


 痛くないけど噛まれた。んもう、ツンツンするの早いよー。


「まぁ元気そうで安心したよ。あのね、ピクニックとかできる場所のフリーパスチケットを手に入れたから、今度ピノちゃんとヘカトンくんも一緒に行こうね」


 ピノちゃんがあんこたちの方へ行っちゃったから今度はヘカトンくんのターン。撫でてあげると嬉しそうにする。おーよしよし。


「いつもありがとう。お留守番もありがとね」


 拠点まで歩きながら久しぶりの子たちとスキンシップ。途中でウイちゃんを紹介したらすんなりと受け入れられた。

 末っ子はいつの世も甘やかされるもの。興味が俺からウイちゃんへと完全に移った事により、俺が手持ち無沙汰になる。


 一歩引いたところで子どもたちの成長を見守るおじさんみたいな雰囲気を醸し出しているワラビがいたので、ふっかふかの胸毛に飛び込んですりすり。

『きゅうにどうしたの?』と戸惑うワラビを無視してふかふかに癒された。寂しくなったんだからしゃーないねん。諦めてモフられてくれ。


 予想外のイベント発生で時間は掛かったけど、無事に俺らはお家まで帰れた。俺が寂しがる以外にも驚かされる事があったけど。


 その後はドロップの海産物で料理を作り、全員で温泉に入ってわちゃわちゃし、全員で雑魚寝した。

 やっぱりピノちゃんとヘカトンくんが居てこそのシアンファミリーだよね。あー幸せ。




 ◇◇◇




 翌日、早めに目が覚めた俺は、久しぶりの拠点を散歩する事にした。


 屋敷を設置する場所の選定をする為でもある。温泉アザラシのウイちゃんがいつでも好きな時に入浴出来るように、新しい屋敷は温泉に直通できるようにするべきなのかなーって。


 ......老舗の温泉宿みたいになるけどそれでもいいよね。なるべく早く移動したい。

 キャンピングカー周辺が植物がわっさわっさしていたからだ。俺の想定していた以上の惨状はピノちゃんがハッスルした結果らしい。



 ちょっと植物が生い茂りすぎて、林じゃなくて森になってるから心が落ち着かない。

 桜とかの日本植物エリアは離した位置にあって、そっちは心が落ち着くからまぁトントンだろう。


 ピノちゃん、これ以上植物を育てたいなら要相談だからね。



「んー......よし、やっぱり屋敷は温泉周辺がいいかな。キャンピングカーは別荘的なアレ、ヘカトンくんハウスは詰所的なアレって事で」


 大体のイメージを固めた俺は景色を眺めながらお家に戻り、まだぐっすりな天使を抱きしめて二度寝を楽しんだ。




 ──────────────────────────────


 ☆キャラ紹介☆

 ※多少ネタバレあり


【シアン】


 転移してからは果物と木々が生い茂る変わり映えしない景色で色々狂った。

 人間よりも動物が好き。人間面倒臭い。

 異世界の激レアアイテムを初期スポーン地点で労せず入手したせいで、イマイチ価値があると思えていない。現在は食わせれば苦しむ顔を見れる物と思っている。


 仲良くなった相手に頼まれたとしても、関わった事のない相手は救わないと決めた。※アラクネ関連から

 悪意を向けられたら躊躇いなく相手を殺す。


 トカゲ(竜含む)は抹殺対象。探知範囲に入ったら......

 ネコ科の動物には嫌われるので、死ぬまでに一回でいいから懐かれてみたいと思っている。



【あんこ】


 まろ眉と青い目がチャームポイントのシベリアンハスキーで、小型~特大サイズまで体の大きさを弄れる

 シアン一家の長女で、皆の頼れるお姉ちゃんだけど甘えんぼ枠

 生後一年ちょい。かなり精神面が成長したが、家族以外は基本どうでもいい

 リード付けての散歩にハマった



【ピノ】


 額にワインっぽい色の宝石が付いた白蛇

 シアン一家のナンバー2でもうすぐ2歳

 しっかり者枠のトップだが、素直に甘えるのが恥ずかしい

 一家の中で一番冷酷

 料理の手伝いと植物を成長させるのがマイブーム



【ツキミ】


 オレンジの目が綺麗な黒いコノハズク

 シアン一家の次女で実は一番の甘えんぼ

 戦闘能力は多分一番低いが、隠密能力はトップ(特に夜)

 辛い物が好きだけど、あまり食卓に出ないのがちょっと不満



【ダイフク】


 モチモチ羽毛&お肌の真っ白なミミズク

 シアン一家の長男だが、自分の中ではピノが長男と思っている(ピノは無性)

 しっかり者枠で素直になれず、恥ずかしさが限界突破すると突っつく

 戦闘能力は低いが覗き能力は神で、ツキミとコンビを組むとヤバい

 女好きのむっつりで男にはドライ



【ヘカトンくん】


 ヘカトンケイルの小型置物が劇物により魔改造された新生物で、顔が50個、腕が100本あり、見た目の可愛さは皆無

 シアン一家の次男だが、ダイフク理論により三男と思っている

 しっかり者枠の中でも一番のしっかり者、元が防犯対策アイテムなので、索敵能力と狙撃力は群を抜いている

 50の頭は全て独立していて、セルフで多重思考できるやべーヤツ

 飴ちゃんが大好きで、声が出せないので筆談をする賢い子



【ワラビ】


 上半身はシカ、下半身はウマ、悪魔っぽい羽を持つキメラ

 シアン一家の三男だが、ダイフク理論で四男と思っている

 しっかり者枠だが、頼られたりすると喜んで暴走するクセがあり、ちょっと過激派

 貴重な飛行枠&乗り物枠で、家族なら喜んで乗せる

 劇物のせいで美味しい物への執着心が芽生えた



【ウイ】

 血の池温泉の色が染み込み、全体的に赤く染まったアザラシ

 シアン一家の三女で末っ子、皆のアイドル

 甘えんぼ枠だが、生まれたてなので今後どうなるかは皆の教育次第

 幼いだけあって、善悪は余り理解しておらず、スキルも相俟って残酷さは群を抜いている

 温泉とアジ、家族大好き



【ミートブル一族】


 美味しさが仇となり、シアンに拉致されて魔改造されたウシ

 一族の解放を願いあまりに、力への執着心が高まりすぎて求道者みたいになっている

 シアンに挑む前に次代への種を残していくので、個体数は減らない

 ミートブル一族だけでアラクネ国家を滅ぼせるくらいには強くなっている




《他の人達》


【アラクネ王女&メイドたち】


 あの事件後は王をボコり、クソな貴族共を血祭りにあげたあとは、引きこもって少しずつ羊羹を食べていた

 あの時の事は反省しており、叶うことなら誠心誠意謝りたいと思っていた所に黒い柱を見て行動を開始した



【謎の生き物たち(クラン名)】


 シアンが貴族襲撃の際に、気まぐれで助けたヤク漬け女性達が集まったグループ

 似たような境遇の女性を支援したり、仲間に引き入れたりで冒険者組が40、生産組が30の大所帯となっている

 冒険者の中では紛れもなくトップの集団、個人個人では多くはないが上がいる

 もう一度逢いたい、しっかりお礼を言いたい気持ちが強いが、狂信者も多い

 未だに畜ペンが何の生き物か討論している



【豚野郎から救われた女性冒険者コンビ】


 事件後は酒場で働いていたが謎の生き物たちと接触し、現在は生産組で雇ってもらっている

 モンスターと戦う事はトラウマだが対人は平気なので、生産組の仕事以外に冒険組の新人育成や店の用心棒などもしている

 あんこの姿を見た事があるので、その情報を狂信者達に流した



【四カ国合同調査部隊】


 烏合の衆

 悪辣な山に挑んでいる



【ハイエルフの長とその一族】


 黒い柱事件後、春を待って原因調査に赴くも一部が隠蔽空間に飲み込まれて失踪、未知の存在に恐怖して撤退を決意

 里を棄てての移動も同時に決意した

 失踪した者達はその後保護されて返された



【???】


 魔物の領域のどこかにある勢力で怠惰に過ごしたいと思っている人達

 似たような勢力が複数あるらしいが詳細は不明

 実力差をわからない脳筋共が多いっぽい



【草野さん】


 転移者&ダンジョンマスター&シアンのあやつり人形

 シアンがダンジョンに来ていない間は普段通りだが、シアンがダンジョンに来たら傀儡となる

 シアンとはまた別の日本っぽい所から転移してきたらしい

 ダンジョン内の魔力で偶に産まれる特異体のモンスター以外、全てのモンスターが自我を持たないので寂しさに耐えきれず一部精神がイカれた

 マトモに対応していれば話し相手くらいにはなってくれていたのに......



【亜人国家】


 引きこもり集団



【精霊達】


 シアンの近辺には近付かないようにしている

 自我が薄い者や野良は普段通り



【アホ鴉】


 不思議な小屋近辺で自由気ままに生活中



【スライム達】


 ヤバい存在に怯え、出歩く数が激減





 ──────────────────────────────


 200話まで来ました。いつもありがとうございます。


 力不足を痛感しながらも、ここまで来れました。本当にありがとうございます。


 ここまで読んでくれている皆様のおかげです。これからもどうぞよろしくお願いします。


 あ、そうそう。秋になりましたね。

 これから食べ物がより一層美味しくなる季節です。期間限定のスイーツや秋の味覚を楽しんでくださいませ。

 オススメの甘味等あれば、ぜひとも教えてください。

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