第183話 逆鱗に触れるべからず
えーっと......何故ダンジョン内に闘技場があるのでしょうか。
普通のダンジョン→ビーチ→北極南極→砂漠→エジプト→コロッセオ?
もう、わけがわからないよ。きゅっぷい。
ほらー、ウチの子たちが皆ポカーンとしてるじゃない。ウイちゃんはこんな時でもスヤスヤでかわいーねー。
《ゴォォォォォン》
急にダンジョンらしくない場所に来てしまってコンフュってる俺たちを正気に戻すように、金属を打ち付けるような音が鳴り響く。
「キャンッ......くぅーん......」
「キュゥゥゥッ!?」
長女が急に鳴ったデカい音にビビってしまって落ち込みだし、末っ子が音に驚いて飛び起きた......
あー......ほら、こっちおいで。ギューってしてあげるから、そんなに悲しそうにしないで。
《侵入者諸君、今から貴様等には我がコロッセオの猛者達と戦ってもらう。五体倒すごとに階段が現れる。
それらを全て倒し、我の下へやってくるがいい》
ほぅ......ふむふむ......
「ねぇ、この闘技場フロアはサクサク降りられるみたいだよ。皆は殺りたい? 特に意見が無かったら......ここは俺に殺らせてくれない?」
俺の言葉にフルフルと首を横に振ったウイちゃん以外の皆さま。
『何一人でスッキリしようとしてるの?』
『ワタシたちが何を言いたいのかわかるでしょ』
『ヤル』
......ここまで殺る気に満ち溢れているこの子たちを見るのは初めてかもしれない。
「考えている事は一緒なんだね......じゃあ、一階層ずつ担当を変えよっか。この階層の担当はどうする?」
『ヤル』
さっきからヤルとしか言わないワラビさん。きっとこれは殺るって言ってるんだろう。
「じゃあ任せるよ。全力を出して早めに終わらせてね」
『ヤル!!』
なんか不安になるから違う事も言ってほしいんですけどぉ......
「がんばえー」
『殺れ』
『殺っちゃえ』
モチモチと俺の癒しが物騒な事を言っている。うちの子をここまで殺る気にさせるとは......大したモンですよ。
《一体でいいのか? こちらは五体出てくるぞ》
『ハヤク、シロ』
《いいだろう......では覚悟するがよい!》
なんだろうこの茶番は......悪ふざけしているこの闘技場の管理者は死ね。一緒にダンジョンマスターも死ね。
現れたモンスターは、ミノタウロスオス、ミノタウロスメス、ケンタウロスオス、ケンタウロスメス、オーガ。そしてバトルフィールドを囲むように何か光るものが覆う。
どうやらお約束な展開で、決闘に使うフィールドは魔道具的なモノで守られているように見える......だけど、多分そんなんじゃ防げないよ。
内側からは外の様子が見えるように細工をした壁を作って観戦。魔法やスキルの自由度がかなり増したのはいい事だね。
想像通り、決着は一瞬だった。
敵の姿を確認したワラビは、全身にカミナリを纏って超スピードで突進した。それだけ。
とあるワラビのレールガン......ごめんなさい。電気的なナニかが作用した結果なんでしょう。自分自身を弾丸として発射した結果、俺らが居た位置以外はただの荒地になっていた。
ドロップの角や皮は放置して、ワラビを撫でてから現れていた下り階段へと向かった。
62階層、チャレンジャーはツキミちゃん。
巨大なコウモリ、巨大なムカデ、巨大なクモ、巨大なハチ、それと巨大なトレント。
ブラックホールに飲み込まれてしゅんころ。ドロップは気持ち悪いから放置。
ブラックホールも出来るようになったんだね。よーしよしよし。
63階層、チャレンジャーはダイフク。
ワーウルフ、ワータイガー、ワーライオン、ハルピュイア、マーマン。
ダイフクがピカッと光ったと思ったら、上半身が消し飛んだ死体が残っていた。
人型のヤツから出た毛皮とか気持ち悪いから放置。
眩しすぎてどんな攻撃をしたかよくわからなかったけど、ダイフクってすげー!!
64階層、チャレンジャーは俺。
クラーケン、巨大タコ、バカデカい白鯨、巨大ハンマーヘッドシャーク、巨大ウツボ。
タコ足とイカゲソを切り飛ばして回収してから、糸でバラバラに散らかした。
鯨肉のドロップだけ拾った。吸盤や触腕、皮とかは要らない。
65階層、チャレンジャーは再びワラビ。
巨大なコブラ、巨大アナコンダ、巨大なハブ、巨大なチンアナゴっぽいヘビ、それと邪悪さが溢れるマングース。
ワラビの角が光り輝き、その角でヤツらを切り刻んだ。かっこよかった。
ドロップのヘビ皮は回収、牙やマングースの肉は放置。食えるの?
66階層、チャレンジャーはツキミちゃん。
白ウサギ、茶色ウサギ、黒ウサギ、白銀ウサギ、赤ウサギ。
ジジィのダンジョンで見たルナティックラビィを思い出してげんなり。
ツキミちゃんはヤツらが動く前に頭を吹き飛ばした。可愛い姿のまま逝かせてあげて偉い!!
バニースーツ、うさしっぽ、うさみみ、毛皮、肉がドロップした。一応......ね。全て回収したよ。
67階層、チャレンジャーはダイフク......ではなく、あんこに乗ったウイちゃん。
ダイフクが気合い入れていたけど、キュウキュウ言っているウイちゃんの熱意に負けて順番を譲った。あんこはもしもの時の為に付き添った。
敵はイカつい装備をしたリザードマン? ......ドラゴニュート? まぁただのトカゲ人間ですね。
「キュウゥゥゥゥ」
と、可愛い声でウイちゃんが鳴いたら、目と鼻と耳から血を噴き出してトカゲ人間が死んだ。
俺を殺せそうな攻撃を見て、素直に褒めていいのかわからなくなったけど、あんこと一緒にドヤッてるのが可愛かったから撫でて褒めた。可愛いは正義。
ドロップは放置。トカゲ死すべし。
68階層、ここもまたあんことウイちゃんがリングイン。どうやら今度はあんこが頑張るようだ。
敵は全員デカくてムキムキ。ピンクゴリラ、白ゴリラ、黒ゴリラ、銀ゴリラ、金ゴリラ。某狩りゲーのゴリラを更にイカつくした感じ。黒と金はまんまあのサイヤ人ゴリラ。
「ガウッ」
いつもより凛々しいお声を出したあんこ。
ゴリラが一瞬光ったと思ったら砕け散った。......綺麗な花火だ。
ドロップのゴリラの素材は汚そうだから放置。頑張ったねー。よーしよしよし。
69階層、チャレンジャーはダイフク。
敵は大型あんこの倍くらいの大きさの赤黒い狼が五匹。
ダイフクが「ホー」と鳴いたら飛び出していった小さい五つの光球。
それが狼の口に入っていくと、狼の体が膨らんだ後に弾け飛んだ。こちらは汚ぇ花火だった。
光でどうやったらこうなるんだろう。よくわからないけど胸を張るダイフクを撫でた。ドロップは毛皮や牙。とりあえず全部回収した。
そんなこんなでやってきました70階層!!
チャレンジャーは俺......と思ったけど、ワラビがめっちゃ気合いを入れて立候補してきたので譲る。
ボスは一人のおっさん。
▼スパルタ
70階層のボス▼
グラディエーターというヤツかな?
「ガァァァァァ!!」
先手必勝とでも言いたげなおっさんの突進。
それを迎え撃つように突進するワラビがぶつかる......
..................。
......いやぁ。
とても酷い人身事故を見たよ。電気も纏わない、ただの体当たり。
持っていた盾は砕け散り、剣はもうね......爪楊枝のようだった。
轢かれたスパルタさんは爆散こそしなかったものの、手足はぐにゃんぐにゃんになっていて、頭も原型を留めていなかった。体が形を遺しているとは......さすがボスだね!
ワラビは悔しそうにしてるけど、十分凄いから気にすんな。ウイちゃんがキュウキュウ言ったらデレッとしたから、多分褒められたんだろう。よかったね。
ドロップは......手枷。なんか似たような物を見た事があるなー。
▼拘束の手枷
コレを付けられた者は体の自由を全て奪われる
手枷に付いている鎖を引かないと動けない
人の形をしているモノで手があれば効果を発揮する
付けられた者が死ぬか、外すかすると壊れる▼
なんで手枷だけで全身の自由を奪えるのでしょうかねぇ......原理はよくわからないけど、まぁコレ、かなり便利だね。
剣奴とかそういうのだから出たのかなぁ......まぁいいか。
階段が出たし、もうこの闘技場要らないよね。
アナウンスしていた奴が何処にいるのか知らないけど、あんこを凹ませ、ウイちゃんの安眠を妨害した罰は受けてもらうぞ。
「はーい、皆集まってー。絶対にこの壁から外に出ないでね。絶対だよ!!」
超極太の黒レーザーを俺の張った壁以外の場所を効果範囲に設定。
それを上に向けて......発射ッッ!!
うん、周りはスッキリしたね。多分闘技場エリアは全て巻き込んだでしょう。
「あー少しだけどスッキリした。ごめんね待たせて。下に降りて早く休もう」
階段周辺以外に何も無くなったのを見届け、次の階層へ向かった。
お疲れ様でした。
ご飯いっぱい用意するから楽しみにしててね!
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