第127話 閑話:もしもシリーズ
・別の刀①
「鳴狐や小狐丸って名前からして堪らんよな......普段は獣スタイルで、必要な時は刀化してくれたら幸せになれる。擬人化ならぬ擬獣化してくれないかな。
きっと尻尾がもっふもふの可愛い狐さんになってくれるはず......もし獣モードになれなくても、美しい刀であるのは間違いない。......うし、喚ぶか」
来いッ!鳴狐ッ!小狐丸ッ!
魔法陣の中から現れた二振りの刀。
ふむ......いいじゃないか。
では鑑定さんお願いします。
なんと!俺の願望がしっかり反映されているではないか!!
......ぐへへへへ。今、真の姿にしてあげるからね。
鞘から引き抜き、刀に備わっている【獣化】のスキルを発動させる。
すると刀が発光を始めた。
さぁどんな結果になるかな?ワクワクが止まらない。
やがて光が治まると、二尾の銀狐とキタキツネの子どもと思われる狐がちょこーんとお座りしていた。
我世の春が来た......なんだこれは!心が浄化されるようだ......
これは......なんだ......なんなんだろうか......ただ一つ言えることは、辛抱たまらんってことだ!!
「おいでーおいでー。ほーら怖くないよーるーるるるるるー」
さすが俺の能力から生まれた子だ。警戒など一切せずに俺目掛けて一直線。
野生の狐ではなく、元が刀だからコックスという害悪の心配など、一切無い!
もふもふな毛が少し擽ったいが、それよりも気持ち良さが上回る。銀狐ちゃんはサラッサラ、キタキツネちゃんはふわっふわ。
うふふふふ......
ガブッ
「痛っ」
......あ、あれ?俺のフォックスちゃんたちは?まさか、今のは夢だと言うのか!?
お嬢様が寝ながら俺の首筋に噛み付いている。
......夢だよ?夢だから浮気じゃないよ。寝ながらでも不穏な空気を感じるとは、この子は可愛いなぁ......
......狐......可愛かったなぁ。喚んだら正夢に出来るか...............なんてわからないよね。うん。
だからね、骨喰さんカタカタしないでいいよ。怖いから。
・別の刀②
「五虎退って名前からして堪らんよな......」
~中略~
強い光が発生し、その光が消えると五匹の仔虎が身を寄せあっている夢のような光景が......ッッ!
たまらん......たまらんですよ!
これはアレを試すしかないだろう。子犬に群がられる人間の画。それの仔虎バージョン。
仰向けに寝転がり呼びかける。
「おいでーおいでー今日から君たちのパパだよー」
恐る恐るといった感じもあったが、こっちに来てくれる仔虎たち。その中でも好奇心旺盛な性格と思われる一匹の仔虎ちゃんが、俺の顔面に飛びついて来た。
全力でその子を愛でていると、警戒心が薄れたのか......それとも撫でくり回されてる子が羨ましくなったのか......理由はよくわからないけど、残りの四匹が一斉に俺へと群がって来てくれた。
顔面が幸せ......ぷにぷにの肉球とふわふわの体毛、凛々しさの皆無なプリティオンリーなフェイス。
めっちゃぺろぺろされて嬉しい。好き!
ガブッ!
......あっ......そっかそっか。また夢なんですか。
俺、欲求不満なのかなぁ......
狐さんと虎さん......可愛かったなぁ......
・別の刀③
あっ......(察し)
「またか、どうせこれは......また夢の中なんだろうなぁ」
「それならまた自由にやってみようか。カモン姫鶴一文字」
獣化は......ちゃんとあるね。よし、ではお願いします。
現れたのは美しい鶴。恩返ししてくれてもいいのよ。
機織りとかしてくれたりは......ないよね。でもなんだろう、反物とかを作ってほしい。
鶴の美しさに目を奪われ、触れようと手を伸ばす......がヒラリと避けられ、そのまま飛び立っていってしまった。
「つ、鶴ぅぅぅぅぅぅぅぅう」
ガバッ
夢か。うん、知ってた。
とりあえずアレだね。夢なんだったら良い思いくらいさせてくれよ。
ちくしょう......
・別の刀④
......はぁぁぁ。またですか。
まーた今回もいい所になったら夢から醒めるんですよね。
わかります。
じゃあもういいです。
今度はやべーの喚んでやる。全魔力込めてやる。どーせ夢なんだから。
さぁ来やがれ、千子村正ッ!
妖刀と言えばコレ!という程メジャー。お馴染み千子村正パイセン。
重心が違ってちょっとおかしく、床に置いているときに勝手に上を向く刀。
重心の位置が変わってるので、結果的に切れ味も良く殺傷能力がパない。
ヘタクソが使っても殺傷能力がやばい刀。
魅せられたり、徳川に仇なすと言われたりと逸話に事欠かない。
鞘に収まっていてもビンビン伝わってくるヤバみ......
本当に抜いてしまってもいいんだろうか?
まぁガチの妖刀でも、俺の精神耐性をぶち抜く力なんて無いだろう。
スラリと抜くと、禍々しいオーラと美しい刀身に魅せら......れ......る
――この日、異世界に魔王が降臨した。
・もしも助けた女性達に、剣鉈以外の武器を渡そうとしていた場合
女性でも扱えそうな物......鉈以外にいい武器ってあるのかな?
うーん......
お、そういえば、〇〇藤四郎って結構な数があったよな......確か。
藤四郎シリーズをこの娘達に渡したらいいような気がしてきた。
脇差とか短刀とかそっち系統だし、慣れてなくても斬れ味無双のゴリ押しでなんとかなりそうだし、すぐに慣れてくれそう。
骨喰さんもそうだったし、きっと強い刀達だと思う。骨喰さん程の能力を持たせると怖いから、使う魔力は絞ろう。
全員に行き渡らせるには数が足りない......一振りしか存在していない物を、複数用意とかって出来るのかな?
検証の意味も込めて試してみようか。
さぁおいでー骨喰さんの仲間たちよー!!
出てきたのは三十もの刀。
えっ......十作以上はあるって知っていたけど、まだありそうな気配があるし、もしかしなくても三十以上はあるの!?検証は出来なかったけど、これはこれで壮観だからいいか。
考えるのを辞め、なんとなくやばいんだろうなぁと思いつつ、大量の刀の名前を鑑定していく。
朝倉、前田、毛利、後藤、平野、樋口、真田、駒井といった苗字みたいな藤四郎。
秋田、信濃、博多といった地名のような藤四郎。
鯰尾、庖(包)丁、薬研、乱、厚、鎬といった有名処の藤四郎。
烏丸、三善、無銘、朱銘、親子、車屋、凌といった聞いた事も無かった藤四郎。
こぶ屋、小乱れ、蜘蛛切、岩切長束、大阪新身といった二文字以上の藤四郎。
どれもこれもカッコイイ。ポン刀ってどうしてこうも美しいんだろう。
でも何故知識にない刀も出てきたんだろうか......
そう思っていると骨喰さんが説明してくれた。
骨喰さんに引っ張られて粟田口の藤四郎シリーズが引っ張られてきたんだそうだ。
そんな事もあるんだね。この能力が完全に解明される日は来るのだろうか。
「「「「カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ......」」」」
......いや、怖すぎんだろ。
あん時よりも魔力込めてないからスペックは低いんだろうけど......
何これ?共鳴的なナニか?それとも全部意思持ってたりすんの!?
【危険感知】【自動修復】【斬れ味増加】がデフォで付いているから問題は武器としては申し分ないな。
......うん。これがあれば事前に危険を感知できるから大丈夫だね。詐欺師っぽい奴がきてもカタカタしてくれそう。
よし、コレを渡して早くおさらばしよう。オマケであの実も食わせてあげるから、君たちは強く生きろよ!
――実を食わせられたおかげなのだが、強い魔力を誇り、オーバースペックな武器を扱う乙女軍団が、急に王都に現れた。
快進撃を続ける乙女軍団の名が、人間の国に広まるまでそう時間はかからなかった......
────────────────────────────────────────
☆1000突破記念
没になったネタを放出。
ここまで来れるとは思っていませんでした。
皆様のおかげです!本当にありがとうございます!
これからもどうぞ本作をよろしくお願いします。もっと上手く書けるようになりたい......
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます