第124話 限度額無制限
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※小人族の呼称をコロポックルに変更しました。
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結局なんやかんやアラクネの国のお泊まりを楽しんでしまった。
死ぬほど気持ちよく寝れたので、とてもスッキリしたお目覚め。前日の寝不足や疲れなどは全く残っていなかった。
朝ごはんにお呼ばれしているのでもう少ししたら準備をし始めないとダメなんだけど、ちょっと布団ちゃんが濃厚な絡みをしようと誘ってきていて、レジストする事が出来ない。無敵とも思える俺の耐性を突破してくるとは......メイドインアラクネ恐るべし。
これはアレだね、これだけ誘われているなら誘いに乗るしかないよね。据え膳食わぬは漢の恥と言う格言があるし。
全てはこの吸い付くような肌触りと、包み込むようなフィット感を生み出してしまったアラクネたちの罪深さの所為だ。俺は悪くない。
夢の中へ逝ってみたいと思うよね。ふふっふー。
心地よい微睡みに身体を任せ、瞼を閉じたその瞬間、静かな室内に鳴り響くノックの音。さながら死刑囚を刑の執行へと誘う刑務官の如く......無慈悲な音が聞こえてきてしまった。
「失礼致します。もうすぐ朝食のお時間となりますので、ご用意をお願いします。寝具に不慣れなお客様は高確率で二度寝をしてしまいますので、僭越ながらお迎えにあがりました」
二度寝阻止されたのは悔しいが、来賓の皆さんは布団ちゃんのお誘いから逃れられなかったらしいな!
「あー、ありがとう。用意するからもう少し待ってて」
起きたくないけど、迎えが来てしまったので仕方なく起きて着替え始める。フォーマルの方がいいかなと思い、夜スーツを着用。
あんこを起こしにかかるも眠そうなので、半分以上寝ているお嬢様の身体をブラッシングをして、身だしなみを整えてからお気に入りのリボンを付けてあげる。おねむなあんこがおしゃれさんに変貌してとってもラブリー。
続いてピノちゃん、そしてダイフクとツキミも同様に可愛いリボンを付けあげた。皆オシャレさんで可愛いよ!
意識が覚醒して、装飾されて可愛くなっている事にテンションの上がったウチの子たちを体中に纏いながら食堂へと向かった。メイドたちの嫉妬の目線が気持ちいい。
案内してくれているメイドさんと無駄話をしながら歩いていると、とんでもない情報を得た。
城内での一番人気はあんこ、二位からは大接戦でピノちゃん、ダイフク、ツキミの順らしい。
順位付けなんかしてんのかと思ったけど、まぁあんこ以外はほぼ均等に人気があるらしいから黙っておく。
あんこの一番人気は揺るぎないそうで、参考にと撮った写真のインパクトがヤバいらしい。
俺の中での順位と似てるからなんも言えない。付き合いが長い程、それに比例して愛が深くなっている。まぁこれは仕方のない事だろう。だが皆大好き。これは嘘じゃない。
「俺は皆が大好きだよ」
なんとなく口に出して言ってみる。口に出して言うことは大事。
私もー!とあんこが乗ってきてくれて、そこからは皆が入り乱れてきて天国だった。朝飯には遅れてしまったが、悔いはない。
報告が行っていたらしく、王族の方々からは冷たい視線を向けられた。待たせてごめんなさい。
◇◇◇
食後、部屋に戻ろうとする俺を呼び止める王様たち。
アラクネ国を出る前に、国の中を案内してあげると提案されたので、この誘いに乗ってみる。
この国の通貨を持っていなかったので、持っている物を換金してもらおうと思い、換金場所を聞くも突っぱねられてしまった。
王様が言うに、「この国での金銭のやり取りを永久に免除したとしても恩を返しきれない」って文句を言われた後、何やら家紋みたいなのが彫られた豪華な小剣を、王様から直接手渡された。
説明を求めると、買い物の時にソレを提示すれば王家支払いで買い物ができると説明があった。アラクネ国内限定の無制限の魔法の板切れver小剣をゲット。やったね(棒)
変なとこで小市民な俺は、きっとコレを有効活用できない。これを貰うくらいなら普通に金銭貰った方がよかった......と、内心ガクブルしている。余裕ぶっこいて翌月無事死亡って現象が何度かあったからね......ハハハ。
少額のお買い物や、飲み食い限定で使おう。
でも、人間相手にコレを渡されたら、破産させるまで使ってやろうと思えている俺は何なんだろうね。
......どっかで換金出来そうな場所を見つけたら、そこで溜まってる素材を捌こう。
◇◇◇
はい、やってきました大通り。お供はいつものメンツ+俺専属のメイド兼小間使いに決まっていたらしい敏感メイドちゃん。
王女が気楽に出歩いていいのかよと思ったけど、いつも気軽に拉致っている俺が言える事じゃないなと思ってスルーした。ダメならストップがかかるだろ。
大通りを歩きながら店を観察していく。
人間の国の王都で見るよりもよっぽどわかりやすい店構え、そして商品は高品質そうな物が揃っている。
王城にペット連れの人間が招かれているらしいと噂になっていたみたいで、結構観察するような視線が飛んでくる。
悪感情はないっぽいからただの好奇心。何故か王女よりも視線を集めているウチの子たち。
あんこたちに目を奪われた後に、「あ、あれ?王女様、ようこそいらっしゃいました」と急に慌てだす店員が面白い。王女さんよぉ......もっと威厳を出そうな。
大通りに並ぶ店を見ていって感じた疑問点がいくつかあった。
店の看板にハンマーの絵やスナ〇キンの帽子みたいな絵が描いてある店がチラホラ。商品は金属製の品や陶器など。
王女さんに質問をしてみると、陶器類や鍛治製品は輸入に頼っているらしい。ハンマーの絵はドワーフ製、帽子マークはホビット製だって。
自分らで作るよりも本職のドワーフ(鍛治)やら、
ホビットってなんか木工が得意そうなイメージを持っていたけど、陶器類作成がヤバいらしい。
・鍛治=ドワーフ
・陶芸、ガラス=コロポックル
・木工、彫金=エルフ
・布製品=アラクネ
・建築=
・美容=
詳しい説明を求めると、こんな感じですよって教えてくれた。
他種族とはほとんど交流の無い亜人種だが、交易の類いは魔族としているらしい。十数年に一度、大規模な交換交流とかもしているとの事。
知れば知るほど、人間共の見栄っ張り外交って無駄な努力なんだなぁと思う。
もう魔族と亜人が連合して人間の国を支配しちまえばいいのに。今よりもよっぽどいい未来が待ってそう......と思ったけどダメだな、魔族や亜人がストマックペインになりそうだわ。
王女さんの「何も買わないんですか?」って目線と、メイドたちの「せっかく無料剣をもらったんだから、ちゃんと使用したという事実を作ってください」っていうお小言に負けて、品物をある程度の数購入。
ちなみに値段は一切見ずに購入していった。値札を見てしまったら尻込みしそうだったんだもの。
ある程度買い物を済ませ、アラクネ国散策の後半は、アラクネ王女とメイド三人がウチの子たちをそれぞれ担当して歩いていた。時間経過で担当する子をローテーションしていくシステム。いつのまにか出来上がっていたんだよソレ。
めっちゃいい笑顔のアラクネ女衆......いいなぁ、俺だけソロで寂しい......
骨喰さんが自分が居るぞとアピールしてきているんだけど、君は癒し系の枠じゃないねん。気持ちだけ有難く受け取っておくよ。
この日俺が購入した品は、今後ありがたく使わせてもらいます。
召喚した品を使ってもいいんだけど、それだけだと味気ない気がしている。ご当地商品やその道のエキスパートが作った品は実にいい物である。
その中でも保温効果の付いた深皿や丼、魔力を流せば洗浄される皿とかには心躍った。
・保温深皿、丼
・自動洗浄皿、小皿
・魔導ル〇バ
・魔導マッサージチェア
・シーツ、枕カバー、枕
・櫛
・バスタオル
・スパイス類
結局この日はこれらを購入した。
実にいい買い物でしたよ。王様よ、支払いはお願いします。
帰り道はツキミちゃんが俺に抱っこをせがんできたので寂しくない帰り道だった。あんこは敏感メイドちゃんが気に入ってるみたいで悔しい......
メイドだけソロで不満そうにしていたけど、戦中にいい思いをしていたらしいから今回は我慢しとけと言って黙らせる。
それでもブーブーうるさかったので、骨喰さんを手渡そうとしたら今度はガチで黙った。
震えながら、「わがまま言ってごめんなさい......それだけは勘弁してください」だってさ。
俺以外が持つのは許さない感じらしく。プレッシャーが凄くて怖かったと教えてくれた。
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