第122話 予想外の破壊力
お前らの神がどうのこうのって話をしただけで、プッツンするとかさぁ......
刷り込みレベルで洗脳されているんだね。可哀想に。脳死信者共。
さて、今回の件で俺が得るべき教訓は、痛いヤツらは最期まで痛いって学んだ事だ。
絶対に笑ってはいけない宗教国家二十四時とでも言えばいいのでしょうか。
ひっきりなしに笑いの刺客が襲いかかってきています。コイツら初手からフルスロットルです。
武装解除させていたはずなのに、その事実を忘れてしまっている鳥頭。一応自らの意思で武器を手放したはずなんだけどなぁ......
「こんな空間に閉じ込めるだけでは飽き足らず、我らから武器を奪うとは卑怯者め!」
なんて事を真顔で言ってくんねん。
そして、ゴッテゴテの装飾おっさん......なんと、天使長なんて役職なんですよ!
見た感じもうすぐ還暦なおっさんが、「天使隊と使徒よ、天使長である我と共に神敵を討ち滅ぼそうぞッ」ってキメ顔で言い放ちやがるんだよ?
ここで耐えきれずに笑ってしまった。卑怯だよこんなん。デデーンって音が聞こえてきたと錯覚してしまった。
それでね、うん。一番キツかったのは、初めて聞いたんだよ。詠唱ってヤツを。
こういうのはゲーム内のかっこいいキャラがやるからサマになるのであって、おっさん共がやっても「うわぁ」てなるだけだった。
思い出が汚された気持ちになって居た堪れない。レ〇ード・ヴァレスとか、かっこよかったのになぁ......
ゴリラとか斧とかは、魔法を打つ時に名前だけを口にしてた気がするけど、もっとしっかり観察しておけばよかった。実はバレないように小声で詠唱したりしてたのかなぁ?
はい、現実に目を戻します。
物理天使がこちらを牽制しながら、後方の魔法天使が集団で同じ詠唱をしている。笑うなってほうが難しい。
て言うか、お前ら天使と名乗ってはいかんだろ。鎧を着たおっさんやんけ!
集団魔法とか儀式魔法って言うのかな?
光線っぽいのが何個も飛んできたけど、収納して終わり。闇の弱点である光魔法っぽいのでも、問題無く収納できたって事実は嬉しかったけどさ。
さて......空間隔離の効果が最大で十二時間継続するってだけで、逃がす心算や長々と生かしておくなんてしないよ。はい、汚物は消滅させましょうねー。
ブラックホールで吸い込んでおしまい。実に呆気なく終わった。
女とショタは逃げないようにそのまま空間内に残して外に出る。ガチの攻撃魔法を使っている所を、アラクネ達に見られたくなかったから別空間で残兵を処理した。なんかただでさえ怯えられてるっぽいのに、余計に怯えられたら嫌だ。
偽天使軍を見て荒んだ精神を、世間一般で言う天使と比較するのも烏滸がましい程に大天使なウチの子たちに癒してもらおう......
俺が外に出たのを確認し、やる事が終わったんだなぁと気が付いたみたいで、あんこたちがこっちに駆け寄ってきてくれている。
凄く長い時間触れ合えていなかった気分だ。早く癒してくだせぇ......物凄くモフみが足らなかったのよ。
◇◇◇
たっぷりと時間を使い、摩耗した心を修復していった。やはりこの子たちが居てくれないと俺はダメみたいだと再確認。
龍さんと明王さんも終わっていたみたいで、俺が落ち着くまで待っていてくれたみたい。暴れ回って満足したのか、彼等は清々しい面持ちで刀に戻っていった。
でもまだ完全に終わっていないんだよねぇ......つらたん。
最後の処理の為に、お嬢様とピノちゃんに俺の企みを説明&お願いをして、ある物を数個作ってもらう。
「ありがとうね。もうちょっとで全てが終わるから待っててね。これが終わったらいっぱい構ってください......あー、ダイフクだけはちょっと一緒に来てほしい」
大人しく着いてきたダイフクにやって欲しい事を説明した後、再び隔離空間内へ。
「ごめんねお待たせ。まず聞いておきたいんだけど、君達は国に帰還する方法はあるかな?」
「大規模転移装置というのがあるので、壊れていなければそれを使って帰る予定でした......使用するのに大量の魔力が必要なので......あの......」
「行きの分は自力で貯めて、帰りはアラクネの魔力でも使おうとした?」
「はい......」
「まぁそれは未遂だしいいよ。ハイ、これを付けておいてね。
それは俺の意図した行動をきちんとこなさないと所持者を苦しめて殺すっていう呪いのアイテム。それで頼みたい事は、君の国のお偉いさん達を、帰ったらすぐに一箇所に集めて今回起きた事を全て説明してね。二度とこっちに来るなって事も」
はい次、ショタくん。
「んで、男の子の方に渡したのは、強い衝撃を与えると十人くらいは一気に葬れる爆弾のような物だから。殺されそうになったら使ってね......女の指示に従わないヤツらや、君が嫌いなヤツはそれを使って脅したり殺したりしていいよ」
と言って、小ピノ玉が込められたあん氷を渡した。
女に渡した方には、大ピノ玉が圧縮された物が入ったあん氷。
こんだけ脅しておけばしっかり行動してくれるでしょ。さっきもしっかりやってくれたし。
それにちゃんと無事に国までは返してあげるからね。約束はきっちり守るんです。
「じゃあ転移装置まで案内して。魔力をサクッと貯めちゃうから」
案内された場所にはなんかデカい機械みたいな物があり、それは対になっている機械だそうで教国にもう片方があるらしい。
一度の使用に二十万以上の魔力が必要みたいで結構吸われたけど、まぁ余裕でフル充電出来た。
無事に彼女らを教国まで送り返し、後はダイフクウォッチングからのピノ玉起爆でミッションクリアだ。
魔王フォルムを解除し、あんこたちとイチャイチャしながら待つ事一時間。モフみと甘味があれば人類幸せになれるだろう。嫌いな人以外はきっと。
遂にダイフクから、偉そうなのがいっぱい集まったよと合図があった。爆発の瞬間を見させるのはダメージありそうだし、ここで千里眼を止めさせる。
「あんピノ爆弾、起爆ッ!」
と、ちょっとカッコつけて言ってしまった。まだ尾を引いているらしい......くそぅ。
あんことピノちゃんが、ばっちりやれたよーと教えてくれたので、撫で回した。
これでもう教国の驚異は去ったかな。ついでに大規模転移装置も壊せたと思う。
遠くの方に、ピノちゃんのだなーと確信できる白い火柱が上がっているのがここからでも確認出来た。
「皆本当にありがとね。離れてて寂しかったから、今からいっぱい俺を癒してください。お願いします」
愛すべき子どもたちと濃厚な絡みをしながら、王女さんや他のアラクネたちがいる方向へと戻っていった。
◆◇◆
転移で戻ってきた女使徒は即座に行動を開始する。一刻も早く、あの化け物の支配から逃れたかったのだ。
「ただいま戻りました。枢機卿様にお願いがございます。教皇様と教帝様に謁見の許可を頂きたい。重大な報告があり、事は一刻を争います」
戻ってきたのは若い兵士と、ボロボロの第十一使徒。いつものように舐め腐った態度ではなく真剣な態度だったので、枢機卿もただ事ではないと思い即座に行動に移る。
異例の早さで場が整えられ、一時間も経たずに謁見を行う事が叶った。
説明を上手くしていなかった事が幸いしたのか、重大な報告の内容が気になった枢機卿、大司教、その補佐など、エリートが大体揃っていた。
「さて、何があったのだ?お主ら二人だけで戻ってきて重大な報告があるとは」
「緊急事態故、無作法をお許しください。まず申し上げたい事は......我が軍は......全滅致しました」
「何を馬鹿なk......おい、ちょっと待て。お前、なんだその光は......」
「えっ!?私、ちゃんと言われた事を守っているのにッッ――
この日、人間界の残り四つの大国、それと周辺の小国等に大きな衝撃が走った。
一番離れた皇国からでも見える程の真っ白な炎の柱が、教国と思われる位置から立ち上っていたのだ。
柱の大きさは直径一キロ程だったので、教国全てが......とはならなかったものの、熱波と衝撃波により首都は壊滅し、教国内にも少なくない被害を与えた。
それについて、実行犯であり、主犯の人物はこうコメントを残している。
「こんなに威力が出るとは思わなかった。反省はしている」......と。
教国の首都は、使徒や天使、教団のエリート共や生臭坊主、悪徳商人らの巣窟になっていたので、ある意味人々が神への信心を深める事に役に立ったこの大事件は......後にこう呼ばれる事となる。
“神の裁き”
“神の御乱心”
“神の鉄槌”
一つ言える事は、こう呼ばれる事が民衆らに普通に受け入れられる程に、教国が腐った国だと理解されていた残念な事実。
悲しんでいたのは、敬虔な信徒のみ。悪事を働いていた事実など、そういった事はないと言い張るような教国の傀儡のみである。
この出来事の後、教国の跡地を支配下に入れようとする大国達や、教国に不当な扱いをされていた小国らが立ち上がり、人間界はここから大荒れの時代を迎える事となった――
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