第112話 日曜大工

 この場所に二泊したけど、今のところ何も起きていないし、何かが起きる気配もない。この場所がこんなに整っているのは、偶然の産物であると考えていいかもしれないな。


 もし管理してる者がいるのなら、魔力をアホみたいに使った時に感知は出来ているはず。それでも来ないという事は、そういう事でいいんだろう。きっと。



 という事で、早速だけどこの場所を整備をしていこうと思います。大自然の中のほんの一角、人の手を入れるとしてもこれくらいじゃ影響はないよね?



 先ずはこの前作って好評だったプール、それと、皆大好き露天風呂を作っていこうと思います。

 ウチの子たちは朝飯を食べた後に自由にしてていいよと伝えたら皆お出かけしていったので、今は一人寂しくサンデー大工。



 ではプールからいってみよう。

 二十五メートル、五レーンくらいのサイズで作っていく。

 片側二レーンはツキミの顔が出るくらいの深さ、中央は大型犬サイズのあんこがギリギリ全身浸かる程度、もう片側二レーンは俺の二人分くらいの深さで。

 飛び込んだりできる方がきっと楽しいと思ったから。


 あとはプラン通りにブラックホールを動かしていく。いつも変わらない吸引力が素敵です。

 仕上げはお嬢様に頼めば完璧に仕上げてくれるので、俺は基礎になる部分をひたすらやっていく。

 穴掘りスキルなのに、地面の加工とかできるとか万能すぎるよね。

 第〇回、ドキッ!小動物だらけの水泳大会!とか開催しよう。そうしよう。

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 さて、お次は露天風呂。

 円形の大浴場と、水風呂、日替わりの入浴剤入りお風呂を作る予定。

 入浴剤入れる風呂は、浴槽を嵌めこもうと思っている。水風呂は劇団員を使用、大浴場は岩を削って作ろうと画策。

 上手く作れなかったら、その時は万能なあの方々に委託すればいい。

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 前回の登山の時に拾った大岩を取り出して削っていく。そんなん自分でやらなくても喚べるやんと思わなくもないけど、こういうのは自分で作った方が愛着が湧く。

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 なんということでしょう!

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 とはならずに、プロ目線ではうーん、この......ってなるかもしれないけど、素人目線からすればよー作ったなこんなんって感じになりそうな物が出来た。......気がする。

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 地面に深く狭い穴を開けて、そこへ排水する感じに仕上げる。山の上だから外に流れる頃には綺麗に濾過されていることでしょう。

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 この自然の中の露天風呂はきっと気持ちいい。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 木の風呂は組み方がよくわからないので断念......木材に変換して、難解なパズルを解こうとしているような時間だった。

 最後に浴槽を嵌め込む穴を作成して、そこにスポッと嵌め込む。一発でジャストフィットすると、気持ちよさがやばい。

 こちらにも排水溝を作ったので、一々取り外したりしなくても大丈夫だと思う。


 よっし、これで風呂場は完成。木材の組み立てとかはメイドさん達に頼もう。

 水風呂設置予定地に目印だけ付ける。

 風呂に水を流してみても不具合は無さそうだったので、これで風呂場はおしまい。


 水があるので足を浸けながら考える。お風呂セットが欲しいと。


 アラクネさんたちに頼む物をリストアップ。


 ・木の浴槽

 ・木の風呂桶

 ・簀子

 ・風呂用の椅子

 ・バスタオル

 ・浴衣


 これくらいかな?次に喚べた時に頼もう。材料と報酬には劇団員を渡せばいいだろうね。

 建築系のスペシャリストとかもいるか確認しよう。

 結構頼もうと思ってた事とか忘れてる事も多いから、今回からメモを取っておこう......思い出した時にも書けるし。



 森から出た時にはこんなになるとは思わなかったなぁ。懐かしい事を思い出したし、昼も食ってなかったから、昼飯がてら羊羹と緑茶で一服しようか。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 あっちにいた頃によく食べていた羊羹を取り寄せて食べ始める。


 小豆の風味、しっとり食べ応えのある羊羹、クドくない優しい甘さが口いっぱいに広がる。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

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 ばあちゃん家に絶対置いてあるような一口サイズの塩羊羹も美味しいよね。夏場によく食べてたら年寄りくせぇって言われたけど。

 言ってきたヤツは酢昆布愛好家だったから、どっちもどっちだろと思うけど。

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 思い出したら食べたくなったので、それも取り寄せて食べる。

 口に入れた瞬間に感じる塩味、その塩味が甘さをより引き立てる。ちょっと強いかなと思える甘さを、緑茶を飲んで流し込む。

 懐かしいなぁ......

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 さて、結構時間を使ったけど作業を再開しようか。精神状態もかなり落ち着いてきているし、いい休憩になった。

 栓を抜いたらキチンと水は流れていった。


 あんこが走り回っても大丈夫そうな広さに設定。そこに木の杭を等間隔に打ち込んでいく。




 だいたい五キロ四方くらいにはなっていると思う......時間がかなりかかったけど、杭の設置が終わった。久々にガチ労働した気分。


 続きは明日に繰り越し。明日はそこに、強化されたネットを張っていく予定。

 杭を打ちながらやればよかったと段取りの悪さを後悔するけど、そこはまぁ仕方ない。素人だもの。




 時間的に夕方だし、あんこたちも戻ってきてない。......酒でも飲むか。

 ハッピーアワーって事で。


 あんこに作って貰っておいた氷を四角くカット。

 そして冷やしておいて貰ったジンをグラスに注ぎ、スライスしたライム、そこにトニックウォーターを注いでいく。最後に軽くステアして完成。


 ジン系のドリンクは、宝石の名前が入ったジンで作るのがこだわり。

 貴族みたいなおっさんの描かれたジンでもいいんだけど、こっちの方が好み。


 自分に合った酒の種類や銘柄を見つけられると、店飲みや宅飲みが楽しくなるから、何か一種類でも見つけてほしい。


 ナッツをツマミながらおっさんみたいな事を考えてしまった自分に苦笑い。


 一杯目を飲み終わり、二杯目も同じくジントニックを作っていく。さっきよりも濃いめに。

 濃いのがいいならジンライムにしろよと思うかもしれないけど、今は炭酸のさっぱりした物が飲みたい気分なのです。




 飲み終わり、三杯目をどうしようか考えていると子どもたちが帰ってくる。

『ただいまー』と元気よく俺に突進してくるチーム甘えんぼの御二方。


 ......ただいまって教えたっけ?まぁいいや。


「おかえり」


 一拍遅れてピノちゃんも来てくれた。ダイフクは相変わらずツレない。


「お風呂にする?ご飯にする?それともわ・た・し?」


 ......家っぽい所も出来たし、お約束な事を一度してみたかったねん。フリッフリのエプロンを着けて、お玉を片手にやればよかったと少しの後悔。


 ピノちゃんが冷えた目で見てきたけど、あんことツキミ、ピノちゃんは俺を選んでくれた。


 はいはい。キミも混ざりましょうねー。

 こっそり糸を絡みつけて引き寄せ、そのまま強引に混ぜた。


 やめろー離せーなんて言っているが、きっと照れ隠しだろう。普段全然触らせてくれないから欲求不満なんだ。許せモチモチよ......

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 ガチで嫌がる素振りではないし、大丈夫でしょ。早く素直におなり。

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 一度撫で始めれば大人しくなるダイフクちゃん。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 野郎に触られるよりは女の子の方がいいんだろうけど、我慢してくれ。メイドを呼んだ時は好きにさせてあげてるでしょ。

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 デレ甘、デレデレ、クーデレ、野郎ツンデレと豊富なバリエーションの子たちと、夕食前の触れ合い。本当に幸せでしたよ。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ヒートアップしすぎて夕飯が簡素な物になったのは申し訳ない。明日は豪華にするから許してね!ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

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