第110話 拠点決定(仮)

 どうも、おはようございます。最近は専業主夫になってると感じる俺です。


 今日からはちゃんと登山家として活動しようと思っています。

 思い付きで行動をしても、それを一緒に楽しんでくれているこの子たちは本当にありがたい。俺の宝物。



 起きてきた子どもたちと朝食を食べ、スキンシップをしてから登山を始める。

 秋の登山は気持ちいい。しかし、紅葉している木が殆ど無いのが残念。

 もう少しだけ見た目から秋を感じさせて欲しい。




 ◇◇◇




 そこから五日間、特に大きなイベントも起こらない平穏な登山を続けた。


 解体が終わった肉を受け取ったり、プロジェクトの打ち合わせをしたり、ウチの子たちのファッションショーを楽しんだり......

ㅤさーせん、ファッションショーは大きなイベントだったわ。王女さんたちと一緒に大興奮しながら見てしまいましたよ。


 ファッションショーの後にこっそりハロウィンの仮装衣装と、クリスマスのサンタ衣装、トナカイ衣装をこっそり頼んだりした。見たかったから仕方ないよね。


 ダイフクはジャック・オ・ランタン、ツキミはヴァンパイア、ピノちゃんはマミー、あんこは魔女っ娘をオーダーした。


 俺?俺はジェイソンマスクかスクリームマスクでも付けるからええねん。




 まぁ、そんな事があったけど概ね平穏な登山を続けられた。


 とりあえず山がデカすぎてヤバい。あれから五日も彷徨って、ようやく中腹に差し掛かろうとしている。

 これぞファンタジー世界の山って感じ。それなのに酸素濃度とか、気圧とか......全く平地と変わらない気がする。


 俺のボディが完璧に適応しているのか、それとも本当に変わらないのかはわからない。この子たちにも問題は無さそうだから、今の所は平地と変わらないって思っておく。

 どうせ考えてもわからん。現代日本人の常識なんて通用しねぇんだもん。



 はい。まぁ現実逃避してたけど、俺の目の前には傾斜があり、所々段々畑っぽくなってる草原が広がっております。

 見つけた瞬間にお嬢様が全力ダッシュをキメるような草原。仮住まいとしては最適な場所かもしれない。


 ここだけ箱庭みたいな、何者かの手で管理されてるような......まぁ異質な場所だった。


 住むには良さそうだし、勝手に拠点にしてみるか。

 管理者とかがいるのならきっと接触してくるだろ。


「はーい、あんこ以外集まってー」


 すぐ集まってくれるお利口さんなウチの子たち。お嬢様は今、お転婆姫モードだから満足するまで駆け回りなさい。


「皆は此処の事どう思う?結構良さそうな場所だから、どっか良さそうな場所を見つけて拠点にしようかと思ってるんだけど」


 そう言うと全員賛成してくれた。


「ありがとね。という訳だし、せっかくだから君たちに良さそうな場所を選んでもらいたいんだけど......どうかな?此処が良さそうって場所を探してもらいたい」


 皆の目付きが変わり、頑張って探すよ!と言い残して駆け出していった。


 おーおーおー、張り切っちゃって可愛ええのぉ。そんじゃ俺は、お家になる物のサンプルを劇団員で作成するとしましょう。


 案1、キャンピングカー。

 寝泊まりできる環境を備えた車両。誰もが知ってると思われる。凝れば凝るほど優雅に暮らせる。


 案2、コンテナハウス。

 海上コンテナを利用した建築物。許可申請が必要なので注意。


 案3、トレーラーハウス。

 車輪が接地している牽引できる住居。車輪扱いで、キャンピングカーの強化亜種みたいな感じ。


 案4、ゲルテント。

 遊牧民が使う移動式テント。最近はグランピングとかにも使われているから有名かな?


 案5、グランピングテント。

 もう普通に住める豪華なテント。ワンルームなんかよりよっぽど快適。


 こんなもんかな?結構上手にサンプルを作成できたと思う。この器用さをあっちでも欲しかった。



 それにしても、ちょっと移動すれば山道、多分水場もある。いい場所やん。

 面倒なヤツの干渉が無ければ、ここに決めちゃってもいいと思えるくらい。あの子たちの意見も聞かないで決められないけど。


 草原に寝っ転がりながらアレコレ考えていると眠くなってきた。あの子たちが戻ってくるまで少し休もう。




 ◇◇◇




 毛布かけて寝てたっけ?気持ちいいなぁ......


 二度寝万歳......






 ◇◇◇




 目が覚めるとあんこが巨大化して俺を包むように寝ていた。その上に寝そべるピノちゃんと、もふもふ毛皮に埋もれているツキミとダイフク。


 なんだここは!?天国か!!


 危うく大声を出しそうになったけど、寝ているこの子たちを起こしちゃダメだ!と、俺の脳が警鐘を鳴らしてくれたお陰で無事に事無きを得た。


 気持ちよく寝れてたのはあんこのお陰だったのね。

 時刻は夕方くらい、少しひんやりした空気なのでわんこ毛布から出たくない。


 ツキミやダイフクに倣って、俺も身体をもふもふに埋めていく。


“もっふもふ”


 その一言に尽きる。


 どんな高級毛布や寝具にも勝るとも劣らない......いや、勝りまくっているあんこのもふもふ。

 前にもこうやって寝てる俺を包んでくれてたな。最高に幸せだ。


 どういう構造でこうなっているのかは全く知らないけど、体が大きくなる程に毛の量と長さが増しているので、どんどん沈み込む俺の身体。

 もうこれは性行為なんかよりも尊い行為なのではないのだろうか。愛する存在と一体化していく感覚に、得もしれぬ幸福感が俺を襲ってきた。


 まさに人類補完計画。ヒゲグラサンはこれを求めていたんだな......やってた事は全人類を巻き込んだ壮大なスケールの嫁ストーキングだったけど。


 あっ、毛皮ゾーンが終わった......あんこの温もりが気持ちいいなぁ。

 だいぶ気持ち悪い俺だけど、他に人も居ないし問題はない。こんな場面を誰かに見られでもしたら、俺はどんな手を使ってでも口を封じないといけないからね。


 この状態は最高に気持ちいいんだけど、呼吸が難しいのと、毛が口や鼻に......幸せなんだけど、どうにかして無呼吸、もしくは肺呼吸以外の方法を獲得できないかしらね......


 至上命題の一つとして心に刻みつつ、棚から牡丹餅的に降って湧いたこの状況を全力で愉しむ事に決めた。





 夢からはいつか醒める物。

 ヒトの夢と云うものは儚いものとはよく言ったものだ。もう数時間くらい味わいたかったけど、お嬢様の起床により唐突に夢は終わってしまった。


 残念だけど、起きていても違う楽しみがあるからいいけどね。

 もふもふから飛び出すツキミとダイフクが可愛かった。


 その前に本題を片付けなきゃ......

 サンプルを並べて、住むならどれがいいのかを聞いてみる。こういう時に意思疎通できるのはいいよね。




 ......どうやら俺が寝ている間に、出しっぱなしにしていたそれらを見て、俺の意図を正確に理解していたらしいマイエンジェルズ。


 意見は既に纏まっていた。



「どれに決まったの?」


 そう聞くとノータイムで一つのサンプルを提示してきた。


「これがいいの?多分一番狭いよ?」


『これがいい!』と全員がハモった。微笑ましいなぁ。


「じゃあコレにするね。実際に使ってみて、狭かったら言ってね」


 皆が選んだのはキャンピングカー。フォルムが珍しかったのか、単純に興味を惹かれたのか......


 ちょっとだけ作成に熱が籠っていたかもしれないけどね。......まさかそこを見抜かれたんじゃないよね?


 一目惚れだったのよ!!

 キャンプ場に停まっていたのを見て一目惚れ。お金持ちのおじさんに頼み込んで、車中を見せてもらったりしたくらい。


 魔力どんだけ持ってかれるかな?久しぶりの高価な大物。好きなだけ持ってけー!


 ......結構な勢いで魔力が減っていく。骨喰さんを喚んだ時みたいな禍々しいスパークは出ていない。

 ふふふ......喜んでくれたらいいな。




 あぁ出てきたよ......

 専用デザインのサンルーフ、エレガントな車体。

 素晴らしい......まさにモーターのついた家だ。


 いずれ金を貯めてコレを買いたいと思っていたけど......まさか異世界で手に入れられるとは。

 こんなオーバーテクノロジーな物を喚ぶのは自重していたけど、誰にも見られなきゃ問題はないか。


 心做しか皆も興奮しているように見える。わかってくれるかい?今日から皆のお家だよー!!

 気に入ってくれるといいな♪じゃあ中も見ていこう!





 ───────────────────────────────────


 ガッツリ車体名とか出していいのかわからないので、すみませんが誰か教えてください。


 それ次第で軽く書き直しも視野に入れてます。


 〇を入れてボカせばいいのか

 わかる人にはわかるようにすればいいか

 普通に出しちゃってもいいのか


 どうかこの愚か者にアドバイスをお願いします。

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