第96話 お手軽クッキングと話し合い

 ピノちゃんを足で掴みながらパタパタ飛んでる黒い子......うん、やっぱ獲物を捉えた様にしか見えない。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 白い子は呆れた目で黒い子とピノちゃんを見ている。お前はマトモな感性を持っているようだな。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 アイコンタクトを交わし、軽く頷き合う。

 この時初めて白い子としっかり仲間になれたような気がした。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 しばらく進むと川に到達する。川幅は前より狭く、水深は結構深くて流れは早い。

 水はかなり透明で、深い割に底まではっきり見える。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 大きめの魚が泳いでいるのも見えたから、後で釣りでもしようかと思っている。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 あんこはお散歩してくると言って離れていってしまい、ちょっと寂しい。

 黒い子とピノちゃんはお空の散歩を楽しんでいる。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 それはさておき、鳥ちゃんズの寝る場所はどうすればいいだろうか。

 止まり木?それとも普通にフカフカなのを敷いとけばいいのか?

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 白い子が都合良く暇してるっぽいから聞いてみようか。


 おいでおいでと手招きすると、面倒くさそうにしながらもこっちへ来てくれた。

 もうちょいデレてくれてもいいのに......

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

「君らの寝床を用意しようと思ってるんだけど、どんなのがいいとかの意見があれば教えてくれたら嬉しい」

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 白い子は少し考えた後に意見を出してくれた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ・止まって休めるような場所がほしい


 ・暗くて狭い場所もあれば嬉しい


 ・高さもほしい


 ・暗くて狭い所は柔らかいのが理想

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ふむ......一応全てを兼ね備えた物に心当たりはある。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 完全にその要望はキャットタワーで賄えるよね。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 大きめのキャットタワーをお取り寄せ。

 こんなんでどうかな?一応そちらの要望を大分反映出来ていると思うんだけど。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ


 ............ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ........................ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 いきなり目の前に現れた初めて見る物体を、恐る恐るながらも検分していく白い子。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 今は穴の中に入っていって中を確認している。入っていく時の様子が可愛かった。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 止まり心地を確認したりと、一通りキャットタワーを見て回った白い子が戻ってきて俺の肩に止まる。

 おぉぉ?なんか距離感が縮んだ気がする......


 穴の中にもう少し柔らかいのを置いて欲しいとリクエストがあったので、タオルを敷いてあげたらそれで満足したらしい。


 ほっぺをモフッと羽根で押された。多分感謝の気持ちを伝えているんだと思う。

 白い子は俺から離れて穴の中へ向かって行ってしまった。もう少し触れ合ってくれてもいいのにー......


 黒い子用のも用意しておこうか。コレが気に食わなかった場合は、黒い子の意見を聞いてそれに沿った物を用意しよう。




 家族が増えたので、今までのよりも大きいサイズのテントを用意。作業に慣れてきたのでテキパキと設営していく。


 中にキャットタワーを設置、残りはいつものあんことピノちゃんのスペースを作って完成。



 まだお散歩している子たちは帰ってこないし、白い子はキャットタワーで休んでいる。



 うん、のんびり釣りでもしようか。

 渓流釣り用の竿を用意。ルアーとかに食いつくのかわからないから、今回は餌釣り。


 芋虫とかは触りたくないので餌はイクラちゃん。

 無理そうだったら違う餌にすればいいや。




 先程大きめの魚がいたポイントへ移動、大きい石の上に腰掛けて糸を垂らす。


 一匹くらい釣れればいいや。ゆったりした時間を楽しもう。



◇◇◇




 ......全然ゆったり出来なかった。


 スレてないみたいで、まぁどんどん食いつくのよ。ここの魚たちは。


 物珍しい種類の魚は居なかったけど、前に捕った魚よりもサイズの大きいヤマメもどきやアユもどきをたくさんゲットできた。


 でっかいサーモンみたいなフォルムのヤツもいたけど、イクラに食い付いて来なかったからこちらは釣れず。


 秋鮭は食べてみたかったからズルをして糸で二匹ほど捕獲した。



 ▼グレイトラクス

 秋は産卵を控えていて脂のノリがよく、とても美味

 甲殻類を食べていないので身は白く、独特のクセも少ない

 生よりも火を通した方が美味しく、ちゃんちゃん焼き、ホイル焼きがオススメ▼



 ウッス。異世界の未知の寄生虫とか怖いから生食はしない。

 アイヌとかでも一度凍らせてから半解凍した状態で食うらしいし、日本みたいに刺身で食えるのは努力の結晶だろう。



 ......ちゃんちゃん焼きもホイル焼きも美味しいよな。

 一匹はホイル焼き、もう一匹はちゃんちゃん焼きにしよう。


 切れ味抜群の何にでも使える糸で手早く三枚におろす。

 片手で水を出しながら血を洗い流し、切り分けた身や他の部位を綺麗に洗っていく。

 その際に皮は剥いでおく。ホイル焼きにもちゃんちゃん焼きにも皮は特に必要性を感じないので。

 この皮は個人的に後で楽しむ用だ。


 残念ながら子持ちはいなかった。異世界イクラを味わってみたかったぜ。

 コイツが美味かったらもう何匹か捕獲するから、その時にきっと子持ちもいるだろう。



 さて、今日食べたい気分なのはホイル焼き。バターポン酢で味付けした物を食べながら酒を飲みたい。


 切り身に塩コショウで下味を付け、えのきとしめじ、千切りの人参とスライス玉ねぎ。

 アルミホイルに油を塗って具材を置いていく。

 調理酒を垂らしてから包んで準備は終わり。


 後は焼いていくだけなので楽でいい。たったこんだけの調理で極上のおかずになる。


 お次は俺の個人的な楽しみの準備。

 さっき剥いだ鮭の皮をよく洗ってから塩を振っておく。

 七輪を準備して火を熾し、鮭の皮を香ばしくカリッとするまで焼いていく。

 無限に酒が飲める凶悪なおつまみの完成。


 次いでにハツとカマも焼いておく。

 皆ごめんね......これらは独り占めさせてもらうよ。

 君たちがこの味を覚えるのはまだ早いと思うの。

 フフフフフ......作ってる時に個人行動していた君たちが悪いのさ。




 まだウチの子たちは戻ってきていないので、出来上がった料理は収納しておく。



 暇になってしまった。



 早く帰ってきてくれないかしら。


 ふぅ......しゃーない。

 骨喰さんと面談しましょうか。


 キレてないといいけど......



 収納から骨喰さんを取り出すと、案の定不機嫌オーラ全開でしたー。


 さぁ話し合いのお時間です。



「なんで収納されたかはわかってるよね?確かに俺も悪かったんだけどさ......」


 全面的に俺が悪い......と。

 そうか、反省の色皆無なのね......


「うん......確かに火種は俺が提供したよ。笑うだけならいいよ。

 でもさ、あそこまで煽る事はないよね?」


 今までの刀生、一番笑わせてもらった......あれはずるいとか言われても......


「確かに骨喰さん全盛期の時には、あんな事言う輩は居ないもんね!!その時代に厨二病患者がいたらビックリですよ」


 アレは厨二病って言うんだねーって......いや、そこは感心しなくていいよ!!

 結局また俺が煽られてダメージ受けとるやんけ......


「反省の色が見えないので、もう少し幽閉致します。どうもありがとうございました」


 ササッと収納した。

 何か言ってた気がするけど、急に耳が遠くなったからよく聞こなかった。


 煽り耐性のない俺も悪いけど、あそこまで揶揄ってくると普段使いには厳しい。


 最大の敵は刀とか嫌すぎるねん。


 上手く和解できる日は来るのだろうか......



 収納した途端に白い子が寄ってきて、何アレ!と聞いてきた。

 プレッシャーマシマシだったし、まだ対面してないから驚くのも無理ないよね。


「俺の愛刀だから害は無いはずだよ。ちょっとお仕置きしてる最中だったから少し不機嫌で、プレッシャー出しまくってたのよ」


 びっくりさせてごめんねと撫でる。すんなり触れられてびっくりしたけど、大人しく撫でられてくれた。


 黒い子も気付いたはずだけど、ピノちゃんが同行しているから説明してくれたと思う。


 それにしてもかなりビビったみたいだね。お触りタイムありがとうございます!!


 和解した後にしっかり紹介するからもう少し待っててね。


 あぁ......それにしてもこのモチモチ触感の羽毛たまらん!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る