第95話 洞窟のボス戦(笑)

 人は自分オンリーで、魔物をどんどん仲間にしていくスタイルで冒険をする俺。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 紫色のターバンとマント、神話に出てくるような片乳出しスタイルの白い布を羽織る格好、相手を眠らせるだけの不殺の剣を装備した方がいいんじゃないかと思えてきた。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ちゃんと装備を整えて、予算の少ない冒険活劇ごっこor有名RPGの五作目ごっこをやってみたくなったけど、新入りの子......特に白い子に睨みつける攻撃をされてしまいそうだから止めておこう。

 俺のパパンは「ぬわぁぁ」ってしてないし。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ふざけた事をやるんなら、せめてもうちょっと仲良くなってからだわな。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 さて、この洞窟も大詰めらしい。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 お嬢様が、この先になんか大きいのが居るよ!と俺に伝えてきた。警戒心など微塵も感じさせない堂々とした御姿は素敵ですよ。

 この先に何がいて何をしていようとも、この子たちには敵わなそうだし俺もリラックスしていよう。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 さぁあんこさんピノさん行きますよ。ちなみに鳥さんズは俺の肩の装備品になっている。

 ちょうどいい止まり木として有効活用されています。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 奥へ進むと一際デカい部屋があり、中にはバカデカいミミズっぽい何かがこちらを威嚇していた。



 かーんてーいさーん!お仕事の時間ですよー。


 ▼ワームドラゴン

 ワームみたいな姿をしているが、歴としたドラゴン種

 何処彼処も構わずに掘りたいだけ掘るので、土砂災害を引き起こす迷惑な種▼


 そっかぁ、こいつドラゴンなのかぁ......

 はじめてのどらごんがコレですかぁ......



 いつもより鑑定が饒舌。多分これは殺せというお告げかね。

 迷惑なヤツの時には辛口になるもんな。


 あんことピノちゃんが倒す?倒す?とソワソワしながらこちらをチラ見してくる。


「あんこさん、ピノさん、殺ってしまいなさい」



 鳥ちゃんズも興味があるようで視線をしっかりあちらへ向けている。


 どうやら前半分をあんこ、後ろ半分をピノちゃんが担当するらしい。


 前方担当のあんこは......

 なにしてるんだろうか。急にブルブル震えだしたミミズ竜。

 口らしき所から液体が噴き出している。


 ......あー、体内の水分を操作したとかそんな感じ?恐ろしい子っ!!


 後方担当のピノちゃん......ヤツのケツ穴らしき場所辺りが焦げている。

 そして全身の丁度四分の一くらいの所が発光している。


 うーわ......超高温の座薬をブチ込んだのかな?この子も恐ろしい子っ!!


 哀れミミズ竜さん......最後に座薬が破裂して下の方が大惨事でございます。


 上は洪水、下は大火事。これなーんだ?

 正解は、あんことピノちゃんに襲われたミミズ竜でした!!


 ちょっと胃とケツとタマがキュッてしてるけど、大立ち回りを繰り広げたお嬢様とピノちゃんを迎える。


 お疲れ様と声をかけてから撫でると、嬉しそうに顔を緩めた。

 正直たまらん!!これがギャップ萌えというヤツなのか!!


 鳥ちゃんズの情操教育には悪そうな戦い。

 白い子は俺にそんな攻撃とか仕掛けちゃダメだよ。良い子は真似しないでね!!


 一応竜種ということなので、役に立つかもしれないから惨殺死体を回収。


 この洞窟はミミズ竜の巣だったみたいだ。そこになんやかんやあって異物が住み着いていった感じっぽいね。


 一応大ボスは倒したっぽいので、もうちょっと詳しく探知して周囲の地形を確認。

 特に変わった箇所も無さそう。奥の方に外へ続く道があるようなのでそちらへと進んでいく。



 竜種ならなんか珍しいモノとか溜め込んでおけよ。探知してがっかりしたけど、ちょっとだけ宝物庫系を期待しちゃったじゃないか。



 道中黒い子が、ここ掘れホーホーと教えてくれた場所を採掘して、宝石の原石みたいのを採取しながら洞窟の外に出た。



 外へ出ると、谷底みたいな場所だった......

 崖と崖の間ってより、割れた山の間って雰囲気の場所。RPGなら隠しエリアへの入口があるんだろうなーって感じ。


 入口だった滝からはかなり離れているっぽい。とりあえず崩落してきたら嫌だからここから離れようか。



「行きたい方向があったら好きに進んでいいよ。俺はその後ろを着いていくから」



 そう俺が言うと、何やら会議を始める小動物たち。

 仲が良くて大変よろしい。




 第一回もふもふ大会議は案外長引きそうな雰囲気を醸し出している。

 何を話し合っているのか全然わからないけど、熱心に話し合っている。


 早くここから移動しようって言ったはずなんだけどね。


 タバコを吸いながら待つ事にする。会議の内容はあとで教えて貰えたりしないかな?




 ◇◇◇




 話が纏まったみたい。

 三十分くらいかな?大分会議が長引いていたみたい。


 見てて思ったんだけど、円卓みたいのを用意してあげたらもっと可愛い光景が見れそう。


 俺らを先導する役目はあんこらしい。なんかめっちゃ張り切っています。


 ピノちゃんは胸ポケットに収まるけど、サイズアップの影響で若干窮屈そう。


 鳥ちゃんズは自力移動するみたい。


 じぁあ行こうか。あんこナビよろしくね。



 ちょっと早めの移動スピードで進んでいくあんこ。

 どこへ向かっているのかなー?と考えていると、ピノちゃんが頭をひょっこりと出して解説してくれた。


 知的なキャラを目指してるのかな。交渉役だったり、通訳だったり、解説だったりと最近は大忙しだ。

 おしゃべりするのが好きっぽい。無口キャラだと思っていたからちょっと意外です。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 どうやら川の方へと向かっているらしい。川辺のお泊まりが気持ちよかったらしくて、あんこがまたやりたいとの事。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 さっきお話してたのは、順位や順番などの話し合いらしい。

 自由にしていいって時には、年功序列順に回していくそうだ。あんこ→ピノちゃん→黒い子→白い子の順で決まったって。

 ちゃんとこういう事を決められてこの子たち偉いわ。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 人間だとどこかしらに不満が出るからねー。

 ちなみに俺は、やる気ないから適当に決めてって言うタイプ。サクッと決まらない話し合いなんて不毛な時間。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 鳥ちゃんズの飛んでる姿と、走っているあんこの後ろ姿を視姦しながら移動を続けていると、水の流れる音が聞こえてきた。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 この前の川よりも水量は多く、水の流れる早さも結構勢いがあるみたい。

 川に出たら、その川を上流に向かって行く感じになるっぽいな。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 そうこうしてるうちに川が見えてくる。胸元のピノちゃんは黒い子を呼んだみたいで、黒い子は俺の肩に止まる。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 俺の肩に止まる黒い子と胸元のピノちゃんが話し合いをしている。なんか疎外感があって寂しくなる......目の前で内緒話はやめてくだせぇ。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 話し合いが終わったみたいでこれから何かをするみたい。

 黒い子がホバリングを始めると、ピノちゃんが胸ポケットから出てきて肩へと移動......

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 いや、ちょっと待とうか。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 楽しそうなのはわかるんだけど、完全に絵面がやばい。ピノちゃんが捕獲された獲物になっている。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 足でピノちゃんの体を掴んで飛び上がっていく黒い子と、ニコニコしながら楽しそうに捕獲されているピノちゃん。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 このまま巣に持ち帰られて餌になるんだろうな......って光景。

 楽しそうだからいいんだけど、もうちょっとだけ健全な見た目のものを考えてほしい。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 誰もいなくなって悲しいから、走っているあんこの隣に移動して一緒に進む。

 しっぽを振りながら俺を迎えてくれてありがとう......ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 川に着いたら今日は早めに泊まる準備をしていっぱいイチャイチャしようね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る