第92話 魔法実験
誘蛾灯に群がってくる蛾のように、急にこちらへ向かってくるようになった洞窟のコウモリ共を、ひたすら大鎌で処理しながら進んでいく。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
こんなヤツらを倒していってもこの武器は強くなるのかね?
まぁ大鎌の練度を上げるのに役立ってくれてるからコウモリ大歓迎。
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さぁどんどん来やがれ!!
向かって来るヤツには容赦なんていらない。容赦する必要もないんだ。
ストレス解消の為に有難く殺らせていただきます。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
◇◇◇ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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............おかしい。
いくらなんでもおかしいだろ。
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この洞窟にはどんだけコウモリがおんねん。
そると、コイツらこんなに好戦的なのに、なんで今まで向かってこなかったんだ?
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まさか......あの煽り刀が、俺にバレないようになんかしてたんじゃ......
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......うん。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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コウモリさん、ちょーっと落ち着こうねー。こっちは考え事しているんですよー。
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威圧を漏らすとコウモリは一目散に逃げていき、あの煽ってくる刀を収納する前の状態に落ち着いた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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ハハハッ、確定だなコレ。
持ち主に黙って強力な魔除けの御守り能力を垂れ流す最強のインテリジェンスウェポン。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
エンカウントバトルをほぼ全て消し去るとか優秀すぎる......だけど、一度手にしてしまったら外す事を嫌がったり、こちらを脅してくる呪いの装備でもある。
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俺に黙って威圧を垂れ流していたのはいただけない。俺だって戦いたい日だってあるねん。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
このおちょくり刀には今日一日......もっと長くなるかもだけど収納の中で反省してもらおう。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
やけに魔物と遭遇しねぇと思っていたらそういうことだったのか。しっかし、よくもまぁここまでバレずにいたな。
どうやってたんだろうかと、少しだけ気になる。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
もっと精度を高くできるとわかったから、これから威圧を改良していこう。
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威圧を解き、洞窟探索を再開。
直接俺の威圧に当てられたコウモリは襲ってこないが、奥の方へと進むと新しいヤツらは襲ってきた。
寝ているあんことピノちゃんを起こさないよう、体の無駄な動きを省きながら慎重に大鎌を振るっていく。
起こさないように意識しなくても、静かに、滑らかに振れるようになってきた。
今の俺の姿はコウモリ共にとって、オーソドックスな死神。そう映っているだろう。
刀を装備したオサレな死神ではない。
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もう一端の大鎌使いになれたと思うので、大鎌を収納へしまう。
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収納を開いた時にちょっと嫌な波動を感じたけど、それは華麗にスルー。
大人しく収納されていなさいッッ!!俺の心の傷が塞がるか、しっかり反省したら出したげるから。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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さて、お次は魔法。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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試したかったことを消化していきますよー。
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一つ目、収納とは別の空間を作り出して、自動でカットするように作った糸と崩魔法のゴミ箱を設置。
そこへ入れると肉以外の部位は消滅......生きている物でも投入可って感じのイメージの魔法。
......コレは一応魔法でいいよな?
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素材とかをしっかり欲しい物の場合はアラクネさんたちに解体を頼む。
まだ試せていないからどうなるかわからないけど、成功したら面白くなるはず。
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飛んでくるコウモリの射線上に入口を開ける。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
いらっしゃいませー。
コウモリノ団体様ゴ案内デース。
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結果はどうなったでしょう。ドキドキの結果発表です。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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............魔術ノ発展ニ犠牲ハツキモノデース。
シアンの食欲がガクッと下がった。
シアンの精神がガクッと下がった。
シアンのSAN値がガクッと下がった。
シアンのヤル気がガクッと下がった。
サボりぐせになった。
センス×になった。
うん......モザイク必至な状態。
グロ耐性があってもなんかクるモノがある。
何故かバラバラに刻まれた臓物と内容物、血液だけが残った。
......い、生き物だったからかな?それとも数が多すぎた?
今度は一匹、それも死骸を入れてみよう。
一匹だけ糸で絞め殺し、さっきの空間へぶち込んだ。
それでもダメならコレは処刑専用の空間になる。
さぁ、結果はどうだ。
さっきのよりも細かく刻まれたミンチが出てきた。
......そうかそうか。これは高性能なミンサーだったんだね。
生き物をぶち込めばブラッドソーセージの中身が作られる。
肉塊を入れれば、多分綺麗な挽肉になる。
大失敗デース。
改良しようにも、改良の仕方がわからねぇからどうしようもないな。
皮だけを剥ぐバージョンならばどうだろう?
入ってきた物の表面だけを削り取るように崩魔法をセット。
さぁやってみよう。
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......魔術ノ発展ニ犠牲ハツキモノデース。
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八割方体を削り取られたモノが出てきた。これをやるのなら目で見ながらやった方が確実だわな。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
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楽をしようと思っちゃダメなんですかね。生活が便利になるような魔法は難しい......
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物騒なヤツならすぐ出来るのに。
最後は崩魔法の混ざった黒い闇針。
俺の予想では、刺さった箇所から身体の崩壊がジワジワ広がっていく......って感じのが出来たと思っている。
気分を出すために、腕時計から射出しているような感じでコウモリを撃った。
オヤ、気絶シタヨウデース。
ふむ......刺さってから効果が出るまできタイムラグがあったけど、概ね成功と言える結果だった。
三打数一安打で、併殺、三振、内野安打てところか。
キレイなヒットやホームランが欲しかったけど、難しいもんだなぁ。
とりあえずこの猟奇的な事件現場はさっさと隠蔽しよう。事件なんて無かったんだ。
来た時よりもキレイにしてその場を退散。血なまぐさい場所でも起きないこの子たちは、野性味が完全に抜けちゃっている。
時間を確認するとそろそろ夕方。今日はもう少し進んで良さげな場所を見つけたらそこで休もう。
コウモリをバラしながら進んでいく。
それにしてもコウモリばっかだな......なんて名前なんだろコイツら。
死体を確認してみる。
▼クリンチバットの死体
集団で纏わりつくように獲物を襲うバット種
麻痺効果のある牙で噛みつき、集団で一気に吸血する▼
だいしゅきホールドからのチューチューか......嫌すぎる。
うちの子なら大歓迎なんだけどな。
ここらへんに居るのがコウモリばっかなのは、コイツらのせいだな......
だいぶ間引いたけどすぐ増えそうだしもういいか。
生態系を変えるのはよくない。試したい事も試せたから威圧垂れ流して進もう。
その後は三十分程移動して見つけた、少し拓けた場所でその日は休むことに。
この前のワンポールテントを張り、簡単な食事をしてから早めに眠りについた。
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