第76話 謎空間終
クソガキから手渡されたモノに意識を向ける。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
今のところ、コイツからは包みの布の重さしか感じない。コレは何なのだろう。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
『開けてみてください』
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
まぁ考えてもわからないので、言われた通りに開いてみる。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
中に入っていたのは、淡い紫色でスケスケなストールっぽいモノだった。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
『その薄布は、500年くらい前に星属性の精霊と、風属性のエルフの魔法使いが一緒に作り上げた物です。
魔力を込めると、星と風の魔法の作用で飛んだりする事ができますが、魔力の消費量がかなり多く、常人が使おうとすると魔力を根こそぎ奪われて干からびてしまいます。
ですが、そんな危ない品でもアナタなら有効に活用できると思って......』
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
うん。これはアレだね......ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
まさしく俺が探し求めていた物ではないか!!ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
まぁ、ここを攻略していけば普通に手に入っただろうけど、野暮なことは言わないでおこう。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
チラッとアイツを見てみると、これでどうにか......と祈るように俺の下す判決を待っている。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
精霊関係で最近いい事無かった所為で、このまま許していいものかと思えてくる。
......んー、だとしても一応釘だけは刺しておこう。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「これから悪戯する時はやっていいラインと、やってはいけないラインをしっかり見極めてやれよ。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
それと......お前のできる範囲でいいから精霊達に伝えろ。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
俺らに余計なちょっかいを掛けてくるなって」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
俺がそう言うと、首をブンブン振って了承を示している。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
うむ。わかればよろしい。
「善意や好意でならいいけど、悪意が見受けられた場合には......見つけ次第、即消していくからな!」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
『ッッ!!わかりました!!』
いいお返事です。ちゃんと心に刻んでおけよ。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
現在の俺に、ここを進もうとする気はもうない。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ここまでやった後に、進んで何かを奪っていけばただの侵略者だ。
コイツ個人の場所っていうならそれでもよかったけど、他にも居るって言われればねぇ......ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
うん。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
もう帰ろう。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
......いや、待て。聞き忘れた事があった。
「あぁもう普通にしていいよ、謝罪は受け取ったから。
それで、聞きたい事が二つあるんだけど、話してほしい」
『はい、話せることなら話します』
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「一つ目は、精霊の命を使ってここを再建したと言っていたけど、それはどういう事なんだ?ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
二つ目は、ウチの子に教えた技。何故ずっと泉に浸けていたんだ?」
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
『それはですね、寿命が近い精霊が自身の生命と魔力を変換して、自然に還っているんです。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
......自分なら死ぬ直前に水へ還って、この泉の水質を上げます』
じゃあ、あの山の精霊は自然保護の為に山に同化した。そしてあの森で拾った石は、森に還った精霊の遺品って事か。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
............。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
そうなると、クソ野郎テメェおいコラ!!
「じゃあなにか?お前はアレか!?ウチの子に死ぬ時は水になれって意味であんなんを教えたのか?」
ちょっと威圧が漏れてしまったらしい。ガキがビビっている。
『い、いえ!違います!!あの子は実体がメインなようでしたから、避難用にと......』
「......そうか、まぁ信じてやるよ。それであの訓練方法はなんだ?」
『水への理解を深めて、水に溶け込む......水そのものに体を変化させる為の修行みたいなものです』
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
なるほど......変な意図があっての事ではないのね。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「そうか、まぁ脅かして悪かったね。それじゃあ俺らは出ていくけど、悪戯するのはよく考えてからやるんだね」
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
魔法も威圧も取っ払うとその場にへたり込むガキ。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
少々やりすぎたかとは思うけど、いいお灸になったと思おう。
壁を解除して、ぐったりしてるお嬢様とその上で寝ているピノちゃんを回収。
ここから地上に帰るのはちょっとめんどくさい。なので、前に回収した帰還石を試してみようかな。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ここは元ダンジョンって言ってたしな。
ダメならダメで、諦めて普通に帰ればいい。
収納から帰還石を取り出して、魔力を込めていく。
お、ちゃんと外に出れた。
ピカッと光ったと思ったら外だった。
前回の様に内臓シェイクされたような不快さは無い。
一瞬で外に出れたってだけ。これはいいもんだな!
コレの残りは五つもある。
使う機会はそうそう無いし、無くなるのなら何回かダンジョンに入るって事だから、無くなるまでには追加が補充できるだろう。
入り口を隠していた岩を、一応来た時の状態に戻してからその場を立ち去った。
草原を駆けながら、今回の件についての一人反省会。
精霊関連の事は、あの山以外では全くいい思い出がない。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
本当にそれしかいい思い出がないので、ヤツらには絶対こちらから関わらないようにしよう。
思いもよらない場所にいるから、気をつけないと。
ヤツらは基本的に中身がガキ。本格的にヤバくなるまでは、自分こそ正義と思って自由に振る舞う。
相手のペースにさせていたら疲れるだけなので、会敵したらすぐビビらせるのが吉。
今回の事でそう学んだ。
そんなヤツらが慕う大精霊とかの上の方ならば、大分しっかりしてそう。
会う機会があれば、しっかりとした教育をさせるように頼もうか。もし会えたならば。
それとよくわからない場所では、あの子たちの行動には注意しておかないと。
普段は自由にしてくれていいけど、何かヤバい事をしそうな時だけは止めないとな。
うん、気をつけよ。
今回の件での収穫は、布とあんこのスキル、それとヤツらの対処法。
......あんこは水の体になれるようになったんだよな。魔力体を水と同化させるのか?
ここで、俺は閃く。
俺も似たようなが事ができるんじゃね......と。やり方はわからないけど、俺も魔力体になれるみたいだし。
あんこを叱った手前、速攻で俺が試すのはどうかと思うから、しばらく時間をあけてから試してみよう。
人外さに磨きがかかってきているけど、もし出来たのならきっと楽しい。
着ていた服がどうなるか......そこだけが心配だけど。
そんな事を考えていたら、もう一つ試したい事を思いついてしまった。
そちらも試してみるのが楽しみだ。
ちょっと暗くなってきた。
あれこれ思考するのはこれくらいにして、休めるところを探しましょうかね。
今日はもう、なんにもやる気が起きない。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
俺の体がモフみを寄越せとうるさい。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
この子もずっとスキル習得の為に頑張ってただろうし早く休ませよう。
しばらく進んで行くと、丁度いい感じに普通の木を見つけたので、今日はここで休む事にする。
非日常な所へ立て続けに行っていたから、普通な物にとても安心できる。
結局人間なんてのは、最後には普通なものに落ち着くんだよ。
普通が一番。特殊な環境なんて物珍しさで興奮するだけなんだ。
クッションを敷いてから、トラップを設置して木にもたれかかる。
俺のせいなのもあるけど、ぐったりしているお嬢様を撫でながら、この日はそのまま眠りについた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます