第41話 抗えない欲求と銀世界
先程の興奮が冷めやらぬまま、俺たちはそのままのテンションで96層を進むことにした。
いやぁこの子たちのテンションが高くてかわいくて......俺は幸せでございます。
めっちゃ周りに氷や炎を浮かべてキラッキラさせながら進んでいるのを見て、俺はだらしない顔になっている自信がある。
この階層からはオーソドックスな洞窟タイプ。
迷路みたいにはなっていない。分かれ道があっても宝箱がその先にある程度。RPGで洞窟攻略してる気分になっている。
比較的楽だけど、出てくるモンスターが無駄にデカい。
まぁそんなモンスターでも即撃ち殺すウチの子なんですが。
きっとこの即殺されてるモンスターでも、人里に現れてしまったら阿鼻叫喚の地獄絵図になるくらいの強さなんだろう。きっと多分。
そしてこの階層の宝箱からは、全く使えない装備品類ではなくポーション類が出てくるようになった。まぁ俺には効かないんだろうけど、最高級品がポコポコ沸いてくる。
でもやっぱこの世界にはエリクサーっぽいのはあるみたいなんだよね。
「人の手で作れるポーションでは最上級」って鑑定さんに書いてあったし。
そんな発見をしつつ、危なげなく先へと進んでいく。
楽しそうなウチの子たちの歩みを止めるものはいないのです。いてはならないのです。
そんなこんなで階段前に着いたけど、このエリアからは階段守りボスがいるんだね。
ガオーてしてるグリフォンらしき動物が氷の塊を浴びて終了。一切の躊躇もなく、あんこが圧殺した。
哀れなグリフォンらしきヤツはドロップ品のしっぽを残して消えてった。
この階層からはめいっぱいエリアを使わせるので時間がかかった......
そろそろいい時間なので今日はこれで終わりにする。
ダンジョンの壁を壊して直進しようとしてみたところ、エリアが作りかわってしまい無駄な時間を過ごしてしまった......ほんと底意地が悪い。
そして夕飯時になった......
俺は今、どうしても自分の欲求が抑えられない......
ここまで頑張ってきたから今日くらい......いいよね?俺ここまでずっと頑張ってきたし、こっち来てから一回も食べてないもん。
一度この症状が出てきてしまったらもう諦めるしかない......ある意味で禁断症状に似ている。
アレは嫌いな人以外は、この欲求には抗えないと思うの。
そう、俺はにんにくがガッツリ効いたジャンクな物を食べたいんです!!
今の気分は、ガッツリにんにくを効かせたこってり味噌ラーメンが食べたいのだ。
豚骨醤油でもいいんだけど、今は味噌ラーメンが食べたい。
あの子たちに臭いって嫌われたくないから、今まで我慢してきたんだけど......もうだめ。食いたい......
ブレスケアの有名なアレと、お口クチュクチュの液体を召喚して戦に挑む準備ができた。
ここまでやって避けられたのなら、今日は諦めて一人寂しい夜を過ごす覚悟である。
カップラーメンタイプのお花の名前の味噌ラーメンにお湯を注ぎ、表示時間一分前に液体スープを入れ、表示時間まで待つ。麺がスープを吸っておいしくなるんだよね。カップラーメンでしかやらないけど。
これは五分のタイプなので四分経ったら投入する。
そしてチューブより生じゃコノヤロウ!という事で、生にんにくをすりおろして待機。ネギチャーシューも召喚しスタンバっておく。
手がにんにくスメルに包まれているが名誉の負傷だ。
そしてお供には白飯。これで完璧......
ウチの子たちのご飯は既に与えてある。後は孤独に......そして自由になる。
濃厚な味噌ラーメンに、ネギチャーシューの辛味とコクが追加され、そこへにんにくの旨味とスメルが合わさる。
完璧だよね......涙が出ちゃう......
ㅤこれは涙?泣いているのは私?
懐かしい、美味しい......
麺を食べ終えたら、最後は背徳のラーメンライス。
炭水化物とノーガードの殴り合いじゃ!
食べ終えたら最後に一服。
これだよこれ。こういうのでいいんだよ。
ついにやっちまったぜ......という若干の後悔と溢れる出る満足感。
たまににんにくDAYをやろう。明日からまた頑張ろうと思えるほどに活力が湧いてくる。
とりあえずブレスケアをして......あんことピノちゃんに近づいてみる......そーっと。
ピノちゃんは気にならないみたい......よかった。
ㅤ手のにんにくスメルはわざと消してない。口臭いって言われるより、手が臭いって言われた方がまだギリギリ致命傷で済むから。
さぁ次は、本丸のあんこでございます......
......心臓が痛い。ここが分水嶺だ。
ここでダメだったら、多分明日も触れ合う事はない。
十万負けの最中、お父さんが降臨。
そしてお父さん図柄が揃ってからのレバオン時のドキドキ感に似ている。
名前を呼んで両手を広げて待機......ダメならあの子に急ブレーキがかかる。
そのまま飛び込んで来てくれた......
ぼくはにんにくを食べてもいいんだ!
にんにくの臭いは気にならないそうだ。
ただ、腐った臭いは嫌らしいので、きっと納豆はNGだろう。
外国人に日本人は気が狂ってるとまで言わしめるもんなアレ。
月イチでにんにくガッツリ食べよう。
その日はそこで終了。あぁ、俺はとても幸せだ。
◇◇◇
次の日には臭いが残っていなかったので安心した。自分では気付いていないだけかもしれないけど。
とりあえず臭い消しにと牛乳を飲み、その後歯磨きとブレスケアをしっかりしたので、もう平気だと思い込む。
冒険してる感が全くなかったダンジョン攻略も、多分あと残るは4階層。
だと思う......違ったら心折れるかもしれないけど、終わりが見えてきたと今は思っておく。
本日は2階層くらい進みたいので急ごうか。今日はお嬢様とピノちゃんは俺に装備されてのスタート。
このエリアも最初は楽しかったけど、だいぶ面倒くさいなと感じる......とにかく時間がかかる。
変わらぬ景色に同じ事の繰り返し......そしてわらわらと沸いてくるモンスター共。
肉体的にも精神的にも追い込むねぇ......コレ作ったヤツ性格狂っているぞ。
余計な事をせずに、サクサク正解ルートのみを選んで進む。
このエリアの宝箱は全部ポーションなのか?ポーションしか出ない......
サクサク進んで行けたので、三時間程経った所でそろそろ階段に着く。
まだ試していなかったノーマルな身体能力で戦ってみたいと思い、この階層の階段ボスで試してみようと決意。
危なくなったら魔法に頼るけど。
手を出さないでねとお願いし、階段を守る鬼らしきヤツと向き合う。
素の力でやりあうなら人型の方がやりやすいからこれは僥倖。
無意識に発動していたと思う強化も切り、ヤツと対峙する。顔は怖いが他に恐怖は感じない。
攻めてこないから、とりあえずこっちから仕掛けて殴ってみる。
弾けた。
ごめんなさい。
素の身体能力でも全く問題なかったですね。
......うん。これがわかっただけでもよかったよ。
さぁ次の階層に行こうね。見守ってくれてありがとう。ステータスとかでパワーとか確認出来たらよく確認するんだけどね......
ちゃんと数値で能力値を示して欲しい。
97層はこれでおしまい。今日中に98層を終えれそうなので、予定に支障は無さそうで一安心。
残った鬼の角を回収し、次の階層へ。
進んだ。えぇ、進みましたよ。
でもね......なんだこれ.........
ゴォォォォォォ......ビュォォォォォ......
という状況です......はい。一面の銀世界が広がっております。
なんでここで異常気象なのでしょうか......猛吹雪ですよ。
ピノちゃんはローブの内ポケットに避難。凄い速さで入っていった。
あんこは楽しそうに雪の上を走っている。
コタツでみかんとせんべい、緑茶とドテラを完備で拝みたい光景。
このままボケっとしてても仕方ないので、雪原に一歩踏み出してみたら沈んだ。
このブーツは滑ることはないけど、ふかふかの雪の上は歩けない模様......
よし。一旦避難して考えよう!と後ろを振り向いたら階段がない。
このエリアからは一方通行なんですね。ほんと性格悪いなここの主は!!
どうしようもないのでちっこいカマクラを作成し、お嬢様にカマクラの大きめなサイズを作ってくださいと頼んだ。
人が5人くらい寛げる、想定よりも大きいカマクラが完成したので、速攻で中へと避難し、七輪と炭を喚んで暖を取る事に。
ローブ内は快適だけど、はみ出てる部分がやばい。
こうなってしまったら、もうアラクネさんを呼んで装備を整えなきゃあかん。
その前に体を暖めておかなきゃ.....
とりあえず風呂に入ろう。末端が痛いくてヤバい......
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます