第36話 朝の幸せと克服

 甘々べったりな時間を過ごした幸せな一夜が空けて翌日、俺にくっついてるあんことピノちゃんを抱きしめる。


 あー力加減間違えて起こしちゃったわ......起こしちゃってごめんね。




 ミスして起こしちゃったけど、朝目覚めてすぐの触れ合いはいいものでした。

 昨日の心のドロドロが浄化されていく。



 安心して寝れたみたいなので、もう不安にさせないように頑張るからね......ともう一撫ですると、手にスリスリしてくれた。




 その後はまったり朝食を食べた。相変わらずのビーフジャーキーと煮玉子。



 いつまで経ってもこれらに飽きる事はないみたいですね。幸せそうに食べてるのを見ると、別にそんなんどうでもいいかって思えてきた。


 さぁ好きなだけたーんとお食べなさい......君らの幸せが俺の幸せなんだから。




 それにしても最初に願った通りに水と火が使える子が仲間になってくれたのは素直に嬉しい。

 悲しい思いをさせないようにしなきゃな......


 と、なんかしんみりした事を考えつつ、俺はパンとコーヒーで簡単に朝食を済ませ、出発の準備をしていく。



 さぁ岩場フロアを攻略して行きましょう。探知した結果は森より狭いみたい。

 多分足場が悪いから、森よりも時間がかかる作りになっているんだろう。



 しかーし!山で鍛えた俺に死角は無いのだ!


 ひょいひょい進んでいけるんですよ!という訳でココはボーナスステージとなっております!




 ◇◇◇



 ほんとボーナスステージだったわ。



 胸元に収まっている御二方がフルオートで敵を倒していくので、俺はただひたすら進むだけでいいという楽チンさ。

 1日で67階層までこれました。



 ほんといいパーティだと思う。やっぱ人間なんていらんかったのです!



 感謝の意を込めてお風呂で楽しく家族団欒。洗われるのが気持ちいいんだねー。




 この数日でピノちゃんが完全に気を許してくたのがわかる。

 明日にはこの子が生まれたエリアに着くと思うので、湿原エリアは一階層ずつ、全てのモンスターを虐殺しながら進んでいこう。


 風呂から上がり、まったりと過ごしながら、そんな決意を固めた。

 やる事をやり終え、今日も皆で固まりながら眠った。





 ◇◇◇





 目が覚めたんだけど、首元にピノちゃんが貼りついていて、胸元にはあんこがヨダレ垂らしながら寝ている......幸せすぎて動けません。昇天しそう。




 30分ほど微動だにせずに幸せを享受していたのだが、お目覚めになられたのでボーナスタイムは終了。さぁ今から触れ合いタイムに突入ですよ。




 朝から賢者タイムになるところだったわ。

 ほぼイキかけました。





 簡単な朝飯を食べて身支度をする。


 準備を終えたので出発です。

 さぁサクサクと攻略して行きましょう!今日の俺は幸せオーバードースで無敵だ!



 ドーピングを施した俺は、昨日の俺を超越。


 スピードアップした俺は二時間で70階層まで到達した。


 さぁボス戦ですよ!骨喰さん今日はよろしくねー。


 さぁドアをオープン!





 ......oh…...


 また不思議生物きた。何これキメラ?

 鑑定先生お願いします。



 ▼アメミット

 70階層の守護者▼



 知らんよそんな生物は!誰だお前!


 ワニと思われる首から上、ネコ科の大きめな生物らしき身体と前足、後ろ足はもう、なんの生物かわからん。



 もっとファンタジーさを全面に押し出したキメラを下さいよ......ふざけんなちくしょう!




 なんか裏切られた気がしたので何もさせずに倒した。骨喰さんに5万くらいの魔力を与えて居合い一閃。


 またつまらぬものを斬ってしまった......



 先を急ぐので許してね。


 ドロップと宝箱はよく確認せずに収納。


 降りる階段内で休憩をとる。次の階層からは湿地帯ってピノちゃんが言ってた。




 ブーツだけは汚泥に耐性がある......が、ローブや服にはついてない。


 これが汚れたら俺は悲しいので、黄色い雨合羽を召喚し、左手に包帯を巻いて「憎い憎い憎い憎い...」と呟いた......






 なんて事はせずに、ローブが跳ねた泥を食らわないように雨合羽の上からクリップで留めた。



 ズボンとシャツはまとめ売りしてるような安物を召喚して着用。


 しかしもう......なんか肌触りがなんかもう許せない......

 人は一度贅沢を覚えてしまったらもう、生活水準を元に戻せないんですよ......



 装備の変更もしっかり終わらせたので出発。


 この湿地帯エリアが終わるまで、サーチアンドデストロイですよ皆さん!

 あんこさん!ピノさん!殺りますよ!!



 言うやいなや飛び出していくウチの子達。

 あの子達が向かっていない方向へ向けて......闇糸の網戸を上下左右の壁天井床に隙間無く作成。


 それをただ進めていくだけの簡単な作業。網目以下の生物だけは見逃してあげましょう。





 よし、こっちは終わったのを確認。

 あの子たちはどうしてるかな?と見てみたらまぁ地獄絵図。



 片方は湿地帯のはずなのに焦土が出来上がっている。


 片方は氷像の展覧会が開催中でございます。




 解凍されたら蘇生しないのかな?現在はコールドスリープしてます......的な。




 なので、氷像溶けたら生き返ったりしない?と聞いてみた。


 わからないから壊してと言われて、あんこは俺に引っ付いて休憩。

 魔力いっぱい使ったからチューチュータイムなのだろう。


 ピノちゃんはちょっと興奮している状態。よしよし頑張ったね。



 ピノちゃんを肩に乗せ、お姫様を定位置に。

 後は骨喰さんに斬撃を飛ばしてもらい氷像を真っ二つにして処理完了。



 これをあと9回か。ウチの子の為だし殺って殺ろうじゃないの!






 殺れば出来る!

 そう意気込み次の階層へと進む階段に向かう。



 楽しそうに次も頑張るっ!てテンションのあんこと、殺るよ!と凛々しい顔をしているピノちゃんのコンビを見て頼もしく思い笑顔になる。



 テンションが上がっているので興奮冷めやらぬ様子のウチの天使たち。休憩はいらないと仰られたので次の階層へと向かい、デストロイを再開。



 また殺っていきましょう!


 地面がぬかるんでいるだけで遮蔽物がほとんどなく、殲滅戦にはとても適しているので楽ちんな作業でございます。



 終わったかな?と視線を向けると、ピノちゃんのとこに1匹だけ残っていたので不思議に思いピノちゃんに聞いてみた。


 あの飛べない鳥野郎から執拗に軽い攻撃をされたり、隠れても隠れた場所だけ壊されたりしていたらしい。


 アイツにいじめられたので、俺に倒して欲しい......そうお願いをされてしまった。




 うふふふふふ......えぇ、任せていただきたい。その大役、見事果たしてみせましょうとも!



 ショック死しない程度に威圧をぶつけて絶望感をこれでもかと味あわせる。



 狩りゲーしてる気分だった野郎が、今はしっかりと狩られる者になってます。


 モンスター相手に善悪ってあるのかな?なくてもいいや。リーガルブレイド試してみよう!



 ダメだった時が怖いので羽根っぽい部分を浅く斬ってみた。



 俺には何もノックバックは無い。デバフが来る気配もない......



 よっしゃ!イケるやんけ!!



 逃げられないように、足を深く斬りつけ機動力を無くしてあげる。


 ピノちゃんと合同で黒い炎の弾丸を、お姫様には氷の弾丸を作ってもらい周りにびっちり浮かべる。


 ちまちま削るように撃ち出してもらおうとして待機させている。



 反応すらしないなコイツ......

 絶望しきって無表情な鳥野郎に向けて、体の先端からジワジワと削るように撃ち出していく。直ぐに致命傷なんて与えぬぞ!!



 俺は糸でヤツを拘束しながら、ちまちまと羽根を毟っている。




 羽根は全て無くなり、肉は弾丸で撃ち抜かれ抉られている。

 もうそろそろヤツは死ぬので、トドメはピノちゃんに任せる。



 ピノちゃんは白く輝くミニ太陽みたいのを創り出し、鳥野郎の体の中心へソレをぶつけた。



 うん。消し炭すら残ってない......ドロップ(強制的にさせた)の羽毛だけは、俺が避難させておいたので無事。


 体から切り離せばドロップ品として残るのがわかったので、これはいい発見だと思う。某狩りゲーみたい。





 ご褒美用の煮玉子とビーフジャーキーで天使たちを釣り、もふもふとすべすべを味わった。


 そのまま休憩に突入して構い倒した後に、昼飯タイム。


 ピノちゃんはちょっと精神的に疲れたらしいので次の階層では休んでいてもらおう。

 俺たちといれば安心安全って理解したのと、自信を取り戻したのでもうこの子は大丈夫だと思う。


 実際もう大丈夫!と言ってくれたし。



 ちなみに次と、その次の階層は龍さんと明王さんに任せて殲滅した。張り切って無双している御二方は頼もしかったです。


 75層へ進む階段の前で本日は終了にし、休むことになった。明日も頑張ろうね。

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