第33話 ホワイトアウトと白蛇
絶賛手詰まり中の俺と相手なのです。誰も聴牌せずに流局ですね。
まぁアホな事を考えてるけど......一応やろうと思えば手はあるよ?
爆破ポーションとか、暗黒空間とか、闇糸でバラすとか......
でも白蛇がキレイだから、傷を付けずに倒したいじゃない?
それで、その素材でなんか作ったら美しいと思うんですよ!エンジェル計画に必要そうなんだよ!!
なので傷つけずに倒したいんだよね。大きいし、色々とたくさん作れそうだもの。
......とは言ったものの打つ手がない。
んー?ほんとにどうしましょうかね。
蛇の特徴を考えてみようか。
蛇と言えば......ピット機関、脱皮、変温動物、毒、鶏肉みたいな味......
味はほんとなのかな?でもネズミとか丸呑みにしてるだろうし、食べたくはないなぁ......
あ、わざと呑まれて内側から突き破るとか......
やりたくないな。
ベットベトになっちゃって、あんこに抱っこを拒否されでもしたら立ち直れない。
それにコイツ、丸呑みしようとか絞め殺そうとかしてこないもんなぁ。
......そんな事を考えながら魔法をひょいひょい避ける。まぁ避ける避ける。
考え込みながら魔法を掌握しようとすると脳味噌が悲鳴をあげるので出来ない。
はぁ......他には......ピット機関や変温動物ってとこか......
確か、熱感知と気温変化に弱いってとこか。
これは試してみる価値はありそうだね!
無力化できたら御の字だ。俺が魔法をひょいひょい避けてるのを楽しんでいるお嬢様に頼んでみる。
「ねぇねぇ、水をブチ撒けた後に凍らせてくれない?それか、あの蛇の周囲の気温をめっちゃ下げて......」とお願いしてみた。
頑張るよ!と伝わってきたので感謝の気持ちを伝えながらなでなでした。
「わんっ」
と可愛い声がした途端、あの蛇の周囲がダイヤモンドダストに包まれた。
うちのお姫様の晴れ舞台!めっちゃキレイですよ!
いや違うな......ダイヤモンドダストなんて生易しいモンじゃないわ。どんどん見た目がやばくなってくる。
局地的なホワイトアウトだなアレは。
いやえげつないっすわ。傍から見てるとキレイだけど。
殺ったか!?と思ってみたけど死んではいないみたい。あの蛇の反応が消えてないので。
五分くらいそのままにして放置してみたけど、白蛇は全然死なないので解除してもらう。
ゆっくり止まっていってるのでもうちょい掛かりそう。
なので、今のうちにとりあえず近付いておく。
頑張ったよ!ってドヤってるお嬢様可愛すぎて頬ずりしちゃった。エンジェルすぎませんか?
威圧をそこそこ出しながら近付いていく。ローブからはみ出てる部分が寒くて痛い......こんなん出来るなんてウチの子は凄いなぁ♪
新しいブーツは凍った地面でも滑らない、まるで吸い付いてるかのように錯覚させつつもすんなり歩ける。
すごいなーほんと、アラクネの技術力は。
ホワイトアウトがやっと消えた跡地には、デカい蛇は居なかった。
代わりに、額に淡い赤と紫のグラデーションの宝石?みたいのがある片手に乗るサイズの白蛇が凍えていた。
......はい?
えーっと......コレがさっきの蛇だよな?鑑定してみよう。
▼妖魔蛇
イレギュラー個体が環境に適応する為にダンジョン内の魔力を用い独自の進化を遂げた
突然変異種であり新種の魔物で高い知性と用心深さがある
蛇型の魔物の幼体でアルビノ
死んだ瞬間に魔力、知識、経験を引き継いで転生の呪法を使い転生する▼
......
............
.........どうしましょうか......この子。
罪悪感が凄いぞぉ......
だって手乗りサイズだよ......頑張って大きく見せてたんだろうなぁって......
おぉぉぉぉ......
なんかほんとにごめんね......
そういえば鑑定した時に幼体って出てたよなぁ。
あの吹雪の中、火魔法で必死に頑張ってたから死んでないんだろうな......
なんかもうダメだ......可哀想になってきた。
......暖めてあげれば元気になるかな?
詳しめな鑑定が出てきたけど、倒したり、気絶させたりすれば詳細が鑑定出来るのか?いまいちよくわかんねぇ。
まだこの子が死んでないので、ホワイトアウト跡地から外に出てお風呂に入る事にした。
木の桶を喚び出して、そこにお湯を入れた後に湯船に桶を浮かし、そこへ白蛇を浸けてみる。
お嬢様は久しぶりのゆったりお風呂タイムにご満悦で可愛いです。
頑張ってくれたご褒美にいつもより丹念にモミモミしながら洗ってあげる。
ダンジョン内だけど周りには誰も居ないので、浴槽の縁に腰掛けて骨喰さんとお嬢様に相談をしてみる。
「この白蛇だけど......どうする?なんか可哀想でトドメを刺せなくなっちゃった......まだ子どもだし」
と言うと、お嬢様からは、
『この子とお友達になりたい!!』と伝わってきた。
骨喰さんからは、『好きにしなさい』と伝わってきた。
骨喰さんに一応のお許しを頂けたし、お嬢様はお友達にしたいと言っていたので、この子が起きたら意思を確認をしてみよう。
風呂から上がった後は、白蛇をアラクネブランケットに包み込み、何を食べるのかわかんないから皿の上にビーフジャーキーを置いておいた。
目が覚めて、食べれそうなら食べてね。
お嬢様にもビーフジャーキーをあげて、俺はカップラーメンを食べてその日は休んだ。
あんこは白蛇に寄り添って寝るみたいでちょっと寂しい......起きた時にあの子と話し合いしたいと言われてしまったので泣く泣く諦め、枕を濡らしました。
座って寝たから枕は無いんだけど。
◇◇◇
翌朝、目が覚めたら天使と白蛇が寄り添って寝ていた。眼福でございます。
白蛇の位置が昨日とはズレていて、皿の上に置いておいたジャーキーが無くなっていたので一度起きたんだろう。
あんこがつまみ食いしてなければ。
幸せそうに寄り添って寝ているので、それを見ながらコーヒーとサンドウィッチを楽しむ。
爬虫類は苦手だったけどこの子は可愛く思えている......
タバコを二本吸ったところで天使がお目覚めの様子。
おはモフを存分に堪能してから、事の顛末を聞いた。
・一度起きた白蛇に気付いて起きる
・何が何だかわからずに困惑してる白蛇と意思疎通を図ってみて、意思疎通が可能だったのでお話をする
・怯えていたので安心していいよって伝え、攻撃しちゃった事を謝ってご飯を食べさせた
・現状を把握してきた白蛇にお友達になろうと伝えるも、お友達ってなに?と友達がわからないらしく困惑しちゃった白蛇
・それだったらまずは仲間になってと伝えたら、虐めない?と聞かれたので虐めないよと伝えてずっと寄り添って寝ていた
・生まれてからずっと何かに襲われていて、必死に逃げていたら魔法が上手く使えるようになったので体を大きく見せていた
・逃げて逃げて、その先で縦穴を見つけたので必死に登ってここに辿り着き、前に居た場所より強いのがいなかったからここに滞在していた
これがこの子から聞いた事だってさ......
生まれてからずっと一人でダンジョンの中を頑張って生きてたのねこの子......
虐めないよ......これからおじちゃん達と一緒に暮らそうよ......
あんこもこの子とお友達になって仲良くしてあげてね......
......あ、俺のテイム能力ってどう使えばいいんだろ?あんこたんはわかる?
俺に甘えながら魔力貰ってたら急に『テイムに応じますか?』みたいなのが聞こえて、それに応じたらテイムされてたらしい。
うん、ファンタジーの謎だね。よくわからん言葉が聞こえたのかー......
とりあえずあの子が起きたら、俺らと仲間になって一緒に暮らそうと伝えてほしいな......
そう頼んだら任せて!ときた。ありがとね。
色々と解決したので、あの白蛇ちゃんが起きるまで暇だし、あんこと一緒に朝風呂する事にした。
嬉しそうにスリスリしてきてほんと可愛いなぁ......
あわもこにしてあげた。今回は豚さんフォルム。しっぽの作成にはほんと苦労した。
最終的に泡を凍らせて固定してくれて完全体に。かしこかわいいうちの天使!鼻はおもちゃの鼻。
ポラロイドカメラで撮ったので、今度アラクネ達に見せてあげよう。
そんな事をしていたら白蛇ちゃんが起きた。
あんこが近付いて行き、俺が思っている事を伝えてくれた。俺とはテイムされないと意思疎通は無理だから。
この子達のやりとり可愛いなオイ......
お?話終わったっぽいな。
しゅるしゅると俺に近付いてきたので、手を伸ばして掌に乗せてあげる。
口元でいいのかな?俺の魔力をあげながら仲間になってと念じた。
対抗してお嬢様も一緒にチューチューしだして鼻血出そうになったよ......幸せでした!
なんか繋がった感じがしたので、「これからよろしくね」って伝えながら撫でた。
蛇肌は不思議な触り心地で気持ちよかったです!
意思疎通が出来るようになり、俺からも話しかける。
性別を聞いてみたけど、性別はないらしい。
死んだら転生するって説明あったから、この子に生殖の必要がないからだろうな。
この額の宝石っぽいのがキレイでチャーミング。
この子の名前考えないとなぁ......
この子はこれから家族だし、ちゃんとしてあげないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます