第24話 不思議なポーションと確信

 普通に寝過ごしました......さすがに昼までは寝ていないけどいつもより遅く目が覚めた。


 八時半になっていやがりました......


 まだ朝飯はやってるかな?


 現地飯も案外おいしいし、手料理ってのもイイモノなので、人里に居る時はなるべく食べたいとは思っている。


 すやすやな眠り姫を血涙流しながら起こして、食堂へと向かった。



 あ、まだやってた。よかったわ。


 今日は蒸したチキンのサンドウィッチとなんかのポタージュスープか。具材がよくわかんないけど美味しかったので間に合ってよかった!





 飯を食い終わってからは、いつも通り少しダラダラする。

 食後にすぐ行動を起こさなくてはいけないほど時間に追われていないので、こんな時間をしっかり楽しむ。




 三十分ほどダラけてた。

 さすがにそろそろ動くかと思い、先ずはポーション屋に向かう事にした。

 結局昨日購入したポーションは俺に使えなかったので、二度手間だけどまた買いに行かなきゃならんのです......



 まだちょっと眠そうなお姫様を抱っこしながら宿を出て、ポーション屋まで向かう。



 外に出て道を歩いていると、ギャーギャー騒いでる声が聞こえてきた。



 あー......アホが喧嘩していらっしゃる。



 痴情のもつれだろうか?マウント取られてタコ殴りされてる男が、人の女に手を出しやがってとか言ってる。

 ボコボコになった優男風のヤツと、左頬が赤くなってるワイルド系ゴリラ間男。


 それに座り込みながら「違うのぉ違うのぉ」と言い訳してるプリケツな地味女。



 現場は宿の前......


 ただの喧嘩ならうるせぇなとしか思わないんだろうけど、他人の修羅場って不謹慎だけどワクワクする。



 あ、警備かなんかが来た......お開きっぽいし、ポーション屋に行きますか。




 着いてすぐに、昨日と同じのを二本購入。


 効き目はどうでしたか?また買いに来てくれてありがとうございます!といい笑顔で言われたが、効き目はわからないので苦笑いしといた。


 他にも色々勧められたけどお断りした。まだ俺に効くのかを試してないし。


 だが面白い効果のモノもあるんだね。



 ▼再生ポーション

 抉られた肉を再生する

 しかし治りが遅いので重症だとかなり時間が掛かるか効果が無い

 部位欠損は治療不可▼



 ▼洗浄ポーション

 どんなにしつこい汚れもコレ一本

 ゴブリンやオークに襲われた女の子には必須とも言える

 アレらの子種は汚れカテゴリー▼



 ▼酔い止めポーション

 二日酔いや乗り物酔いにはコレを

 効き目は即効性もあり優秀

 しかし恐ろしく酸っぱい▼



 ▼被膜ポーション

 ぶっかけて擦ればあら不思議...火遊びにはコレ▼



 部位欠損を治せるモノはココには置いていないらしいですわ。

 そして......なんか最近の鑑定さん壊れてきてる気がする。


 あのポーションがあれば昨日の子は安心だ。

 だからラノベとかで見た事のある「私化け物の子を身篭っちゃった......お願い......殺して......」ってな展開にならないで助けられたんだろう。





 そんで酔い止めさんよ。恐ろしく酸っぱいってどれくらいなんだろうか......

 でもきっとどんなに足掻いてもあの劇物よりはマシだろうな。多分。



 もうひとつは完全にアレだな。アレとしか思えない。

 さっきの間男はコレをちゃんと使用していたのかね?



 さぁ気を取り直してランク上げに行きますか。はぁ......しんどっ。





 さぁギルドまでやってまいりましたよ(やけくそ)。どんくらいやればランク上がるんだろうか。


 ......圧倒的な力を見せつけるのが手っ取り早い気がするけど、厄介事も呼び寄せまくるよなぁ......


 あ、昨日のお姉さんがいた......


 名前何だっけ?鑑定さーん!


 ▼エミリー

 人族 22歳

 職業:ギルド職員▼



 あぁ!そーだった。エミリーさんだ。


 協力してくれるって言ってたしな......そっちに行こうか。



「あ!来てくれましたね!いらっしゃいませ。ランク上げ用に良い依頼を用意できてますよ」


 笑顔が眩しい......なんでこんなニッコニコ出来るんだよ、すぐにガス欠になるぞ......


 俺とは相容れない人種だわ。



「どーも。ほんとに用意してくれたんだ。ありがとう」



「昨日助けてくれた子たちはなんとか大丈夫そうです。ほんとうにありがとうございました!

 所要時間も少なかったので移動速度もあると思えますし、一人でオークの群れを倒せるんですから討伐系を見繕ってきました!どうぞ」


 この元気さが俺にダメージを与える......

 落ち着いてください。クール系の方が似合うと思いますよ。



「助かります。それじゃ......この二つを」



「はい!かしこまりました。それではお気をつけて」



 ......はぁ、俺ならあんな対応をしていれば一人対応しただけで死んでしまう。



 さてと......今回受けた依頼は、オーガ単体の討伐(複数討伐可)とグレイトエイプという猿三体の討伐を受けた。

 生息地が近いらしいから楽でいいね。方角も昨日とほぼ同じだし。出発だぁ......







 黙々と進んでいき、そろそろ目的地周辺です。

 んーなんか雨が降りそうな天気になってきている。嫌だなぁ......



 おっと。右前方の少し離れたとこに生物四体の反応があるな、そっちへと向かうとしましょうか。






 現場に着いてみると、オーガ三体がめっちゃ素早い蛇と戦っている。



 漁夫の利作戦もいいかもだけど、今日は接近戦、特に格闘をやってみたい。



 普通に蛇とオーガ二体倒した後に残った一体のオーガで近接戦闘やってみよう。



 という訳でオーガ二体をヘッドショットで即殺、蛇は闇糸を使って頭と胴体を分断した。まだ生きているみたいでビクンビクンしてる。



 一瞬呆けたオーガだったけれど、現状を把握できたようで、怒り狂いながらこっちへ襲いかかってきた。



 顔怖っ!と思っただけでオーガの戦闘には余裕で対応できた。

 後は俺の拳の威力を試s......



 ガードの上からのパンチで倒せた......ビクンビクンしてる......なんかごめんね。


 首を落として終わらせてあげた。



 多分発勁みたいに内部破壊したんだよなアレ。吹き飛ばずにその場で倒れたし......



 蛇は全部回収、オーガは角を回収し他は消し去った。


 魔石はって思うけど、資料室で調べた時に、ダンジョン内のモンスターや、強力なモンスター、魔力の濃いスポット以外のモンスターは魔石に価値は無いらしいので回収しないでいいと書いてあった。


 なんやかんやあって魔石が変質してるんだろう。



 一つ目の依頼が早めに終わったし、休憩がてらここらでポーションの実験をしてみよう。



 骨喰さん......で傷付けたら多分俺がやばいから、糸で腕を適当にサクッと傷付けた。

 痛かった。だけど普通に血の色は赤でちょっとだけホッとした。


 まずは飲んでみる......うん不味い。


 傷は塞がる気配がない。ポーションに即効性はないみたい。




 ~15分経過~


 うん。悪食さんこんにちわ!

 血は止まったけど傷は塞がらず。そこまで深くヤってないので自然に止まったっぽい。



 次も同じとこを切り、また血を出してポーションをかける。


 キズに沁みるがすぐには効かない。もうちょい待つか。




 ~15分経過~


 やっぱり治らない。結論として俺にヤクは効かない。毒も薬も。


 無駄な時間を過ごしてしまった......


 実験なんだけど、自傷行為をして30分無駄にしたって考えると悲しくなってきた。





 さーてこれではっきりしたぞ。


 ・身体能力は化け物、強化もできる


 ・魔力は化け物を超越


 ・スタミナも化け物


 ・武器も化け物


 ・相棒は天使


 ・毒殺不可、体内外からの薬物系全無効化(疑惑)


 ・暗殺ほぼ不可、俺以外の感知を突破出来るなら可能だとは思う


 ・精神干渉、精神攻撃は無効化


 ・闇魔法で前後左右問わず無差別に、ほぼ無制限に防御不可な貫通攻撃を乱射可能、連射性は無いが同時に六体まで不可視のピンポイント狙撃も可能


 ・闇糸で巨大な網目状のドームを作り全方位から斬れ味抜群の切断攻撃を展開可能


 ・自給自足できるので不可視の即死トラップ満載の要塞でいつまでも籠城可能


 ・寿命......何それ美味しいの?


 ・唯一の隙と言える睡眠時には龍さんと明王さんに護衛を任せられる



 ......


 ............


 ただの化け物じゃねぇか!うすうす気付いてたけど......実験してはっきりしたわ。


 多分内部崩壊する系も効かないかも......


 殺るなら超音波とか、不可視のレーザーとかか。




 うん。この世界に偶然やってきちゃったイレギュラーな化け物だよね。



 自分で言ってて悲しくなるけどほんとになんなんだろうね、この化け物は......



 うん、がんばって自分だけの土地を探そう......。

 可愛い可愛いウチのお嬢様と一緒に、穏やかな生活をするのさ。


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