第21話 王都到着と疲労感
嫌な事件の被害者になり、そのまま不貞寝をした俺です。おはようございます。
昨日のアレでテンションがアホほど下がっているので、寝起きの体に糖分を詰め込んでいき、カフェインで流し込む。
それを何セットか繰り返していく。
今日の朝はコレだけでいいや......これをすると何故か頭と心がスッキリする。
糖分は心を潤してくれる、カフェインは心を落ち着かせてくれるという事にしておく。
虫事件で思い出した、まぁ思い出し方がかなり失礼だとは思うけど......俺の中で蜘蛛はそっち系のカテゴリだと思っている。
すっかり忘れていたけど、アラクネ達はどうしてるだろう?今は暇だし、喚んでみようかな......
そう考えたてみたけど、やっぱりもう少し放っておく。もっと落ち着いてる時に喚ぶことにしようと思う。
なんか色々と作ってくれてるかもしれないから近いうちに。
それと、こんな朝っぱらから呼び出されたら俺なら怒るもん。
そんな事を考えながら甘味摂取作業をしていると、マイエンジェルがちょうどよく起きてきた。
朝のモフモフと触れ合いをしてから、ジャーキーを食べさせてあげる。
そこから準備を整えて、王都に向けて出発した。
昨日俺が不貞寝しちゃって寂しかったからかな?
今日は甘えんぼモードのマイエンジェルがずっとべったりとくっ付いている。体をスリスリ擦り付けてきてくれてすっごい可愛くて癒されていく......
ごめんね、不甲斐ないダメな男で......
ある程度歩いたところで、視認できる範囲内に人の姿が増えてきた。
きっと王都への正規ルートに入ったんだと思う。
無駄にでっかい外壁が見えているし、道もそれなりに整備がされている。
......えっ多くね?この距離からでもわかる人の密集体が存在していた。
あー、もう人が多すぎてげんなりしてきちゃうよ......
30分ほど歩いて辿り着いた入場の列に並ぶ。
列と言ったけど、列には見えない。集会みたいな感じ。
......密はやめましょう。早く解散して!ディスタンスをアレして。
通じるわけがないので黙って待つしかないかぁ......この量の人数を捌くのにどんだけの時間がかかる事やら......
かなりの時間待ちそうだよなぁ......ファス〇パスみたいのを配ってほしい。
案の定ぜんっぜん進まねぇ!!どんな対応してんだよ。もっとサクサク出来るだろ?
身分不詳のヤツ相手ならパワーレベリングした鑑定持ちを配備しときゃ済む話だろうが!!
他は身分証見せて終わりじゃないんか?
あー待ち時間長すぎる。こんなに待たせるなら門番増やせや......
蟻VS列に並んだ俺だったら、きっと蟻さんが早く王都に入れるだろう。1.5倍の距離のハンデがあったとしても。
この国の王や、上層部は無能だわ......
結局それから三時間ほど待ち、やっと王都に入る事ができた。ほんっと無駄な時間だったわ。
夏に長時間立ちっぱなしとか虐待ですよ!アラクネローブで誤魔化せてる俺はまだマシなのだろうけどさ!!
......はぁ、まずは宿探しから始めなくてはならないのか、この下がりきったテンションで。
人の数が多すぎだと思うの......そして物や建物が多すぎる。ごちゃごちゃしすぎだ......
建物が多くて何処へ行けばいいのかが全然わからない。
区画整理や、案内図の設置、それかガイドラインをください。お願いします。
ダメだ。俺だけじゃいつまでたっても埒が明かない。
最終兵器を投入するしかない......こういう時はあんこサーチだ。
ねぇねぇ......今から適当に街の中をブラブラするから、気になった所や、良さそうな所があったらペチペチして教えて。
うん。そこに入って、泊まるところとか聞こうと思ってるからお願いね!と小声で伝える。
任せてっ!!と、頼もしいお言葉をいただけたのでお任せする事に。お言葉ではなく意思が伝わってきたのが正しいけど。
俺より感覚が鋭いから変なとこには入らなくていいだろうし。そこらへんは全幅の信頼を寄せております。
やっぱり俺から頼み事をされるのが嬉しいみたいで、鼻をフンフンさせている。そんな姿もとってもきゅーとですよ!
てくてくと街中を歩いてて思う。
人が多くて、建物が多いだけなんだよなぁ......と。最初に行った街が、ただサイズアップしただけみたいな感じ。
大した店が無いのか、阿漕な商売をしてるのかしらないけど、この子のサーチに何も引っかからないみたいでございます。
そのせいでうちのかわいい天使がしょぼんとしてんじゃねぇか!てめぇ責任取れや王都コノヤロー!!
怒りにまかせて王都を破壊するテロリストにはまだなりたくはないので、そこは我慢をする。あんこサーチに引っかかる所があるのを期待しながら街中をもう少し歩いてみる。
あーもう、ほらほらそんなにしょぼんってしないでいいんだよー。今からまた一緒にいいとこあるか探そうねー。
とか言って宥めたけど......んー......
俺とあんこのどちらにもピンと来る気配がない。
王都に入ってからそこまで時間経ってないんだけど嫌いになりそう。
ん?父さん、妖気を感じr......
ではなくあんこのサーチに何かしら引っかかったみたいであっち!あっち!って伝えてくる。
後ろ足でぺちぺち、しっぽがわさわさしてきて半端なく気待ちがいい。幸福感がオーバーフローしちゃうよ!
さぁ向かいましょう!教えてくれてありがとね!!
もふナビに従い進んでいくと一軒の定食屋?みたいのがあった。
朝以来何も食ってないのでそのまま入ってみる事にする。
看板にはドド〇ランゴみたいな絵が描いてあった。こんな生物もいるんだね。
店内にはそこそこの数の客が入っている。常連っぽい人や、従魔連れもいたので安心する。この子のサーチに掛かった時点でハズレはないと思うけどね。
ふわっとした雰囲気のおばちゃんに案内されて着席する。
メニューを見てみる......名前からはなんも想像出来ない。当たり前か。
日本にあったお店のメニューでも謎の言葉みたいのあったし。異文化にはなかなか慣れません。
メニューから選ぶのは諦め、本日のランチらしきのがあったのでそれを注文。この子の分も。合計銅貨八枚らしい。
五分ほどで料理がきた。思っていたよりも早い。
ペペロンチーノみたいな麺料理に肉団子が二つ添えてあるのとサラダ。麺の量は多めだ。
従魔用は肉団子のスープに、短めな太麺が入っている。
これはかなり美味しそうだな。にんにくっぽい香りが食欲をソソる。もっと量多く入れてもいいと思うよ。
味はニンニク感が少なめのペペロンチーノだった。
肉団子もいいな......食べ応えがある。
うちの天使に感謝を......天使も満足そうに食べてらっしゃる。
よかった......ここよかったよ!と感謝の撫でを捧げる。
よし、お会計のタイミングで情報を探ってみよう。
「美味しかったよ、これお代ね。
あーそのー......今日王都着いたばかりなんだけど従魔連れでも泊まれる宿とか知ってたら教えて欲しいんだけど......」
「あらあら、ありがとね。この店の隣に宿があるんだけど、息子たちがやってるのでよかったらそこに泊まってって。
宿は朝晩は出るけどお昼は出ないのよ、だから昼食は是非ウチでどうぞ」
あらやだ......宿をゲット。
このおばちゃん強かやで......
家族の宿紹介しながらリピーター確保しようとするは......まぁ行くけどね!
嫌味ったらしい感じはしなかったし、あんこサーチに掛かったなら問題ないっしょ。
「商売上手だなぁ。じゃあ宿と昼飯は安泰だね。次も美味しいの期待してるよ」
と無難な事を言った後に店を出て宿へ。
......こっちもドド〇ランゴだ。ここで間違いないだろう。
「いらっしゃいませ。ようこそ白猿の宿へ。お泊まりですか?」
うん。あの人の息子とその嫁だろう。息子は雰囲気が一緒だ。名前はまんまだな......絵はゴリラなのに。
「隣の店で飯を食べてたら、ここを勧められたんだけど、部屋は空いてるかな?」
「ははは。いつもそうなんですよ。銀貨三枚と銅貨十枚です」
王都なのに安いな。大したことなくてもあの宿くらいの値段くらいは覚悟してたのに。
「じゃあとりあえず二泊で」
と銀貨七枚を渡した。計算を間違えてたら泣く。
「ちょうどですね。ありがとうございます。
では部屋へご案内致します。お出かけの際は鍵をお預けください。
夕食は18時頃から、朝食は6時頃からご利用いただけます」
よかった合ってた。
二階建ての宿で、色無しゴリラが二体描かれたマークの部屋へ案内される。
きっと一階は色付きで、二階は色無しなんだろう。
絵の表記よりも数字でやってほしいわ。王都なんだから識字率高いはずだろうが!
いや最初は珍しかったけどさ......二回目はいらない。もう普通でいいよ。
今日は人の多さや、列を待つのに疲れたし、このまま部屋で過ごそうと思う。
一通り部屋の中を見渡してみる。居心地はこっちの方がいいけど、宿り木よりは設備は劣っている。
「あー疲れた......」
独り言をぼやきながら、ベッドへと倒れ込む。そして胸に、愛しのお姫様を抱きながらだらだら。
俺もう完全に野生化してるわ......人里にいるのが辛すぎるねん。
ダラダラしている今のうちに、明日やらなきゃいけない事を整理しておこう。
1、人が住めそうでいて、人里から離れている場所を調べる
2、ミートブルの生息地及び外見を調べる
3、解体技術の会得
4、闇魔法の扱いについて
5、スイーツ事情の調査
4、5は絶対ではないが、調べられたら調べよう。
面倒だけど、ギルドで調べてから足りない所を他で調べるしかないよなぁ。
今日はもういい何もしなくていいや。あーもふもふが気持ちいい。
明日からは目的の為に、ちゃんと頑張らなきゃいけないな......
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