第15話 お勉強と果実黙示録

 こうして本を読んでいると、コーヒーとタバコが欲しくなってくる。


 お気に入りだったあの店のミルクレープとモンブランを食べたいなぁ。


 ......喚べるのかな?


 でも好きな店で食べてるっていう雰囲気補正もあるし、あの空間だからこその補正効果があるっぽいしなぁ。


 うん。まぁ資料室で何か食うのはダメそうだし、今度食べよう。




 さて、今俺がいるのが『ラース王国』という国。

 人間のテリトリーには五国と言われる大国があるんだってさ。


『ラース王国』

『クレイド帝国』

『ヤード連邦国』

『ハレプ皇国』

『エレシア教国』


 この五つがメインで、五大国と呼ばれている。傘下にはまぁ色々とあるらしいけど、覚える気は今のところ無い。


 この五国になってからは、特に争いもなく表面上では上手くやっている......との事。

 水面下ではドロッドロで足の引っ張り合いや嫌がらせ等は普通に行われているんだろうね。



 次に亜人の国で、エルフや獣人などのファンタジーお馴染み種族がいるらしい。

 かなり閉鎖的な種族が多く、なかなか表舞台に出てくるヤツはいないらしい。でも好奇心旺盛な種族は普通に外に出てるとの事。


 確かにまだ見たことはない。一度は見てみたいと思うのは仕方ないよね。

 エルフはちっぱいなのか、ダークエルフは巨乳なのか、獣人はどれくらいの獣度なのか、ドワーフは髭もじゃの樽体型なのか......等のファンタジーあるあるを、この目で見てみたいと思う俺はきっと正常なはずだ!



 最後に魔国になる。

 アラクネさん達や吸血鬼など多種多様なモンスター達がそれぞれ集まってるらしい。

 そんで全然資料が見当たらない......討伐用の資料はあるけど。人間よ......お前らよりよっぽど賢くて平和だぞ多分。



 それで歴史的には


 ・魔国に奪われたらしい領土に向けて積極的に仕掛けていた人間


 ・亜人は物珍しさや、見た目の美しさから攫われたりしていた過去があり、現在のように閉鎖的な種族になっていった


 ・魔物達は自分のナワバリを侵されたら徹底抗戦なスタイル


 大まかにそんな感じらしい。

 ここに書いてあるの......矛盾してますねぇ、やっぱ人間ってクソだわ。大義名分をでっちあげて、それらしい言い訳を用意してから侵攻していったんですね。



 こう見てみると、魔国だけが俺に合う。そんな気しかしない。


 亜人国も気にはなるけど、閉鎖的な種族相手に、他人嫌いな俺は馴染めないだろうな......


 人間国は......言うまでもない。

 一部のヤツらの行動や思考が一番モンスター染みてるんだよねぇ。



 しかし人間国家の情報ばかりで目が辛くなってきた。興味の無い情報は読むのは辛いわー......


 こんなんだとやっぱ予定通り王都方面へ行くしかないか......多分情報なら一番あるだろうし。この街から西へ向かえばいいみたい。


 ほんとは行きたくないけど......目的の為だ、しゃーない。


 王都へ行くと決まったけど......あと二泊分払ってある宿はどうしよう。

 返金対応あるかな?無くてもいいくらい今は金あるけどなんかもったいなく感じてしまう貧乏性。



 一度宿で確認しなきゃだし、今日はもうそのまま泊まろうか。




 さて、もうこの部屋にいる意味は無くなったからさっさと出よう。滞在時間は二時間くらいか。


 そして帰る前に生首ーズを処理だ。

 もしかしたらこれでランクが上がるかもだし、上がってた方が王都では楽かもしれないからね。



 あ、あのおばはんいない。


 おばはんが居た席には十代と思われる小柄な子がいたので、そのまま話しかける。



「資料室使い終えたんだけど、どうすればいいかな?

 あとここに来る前に盗賊団っぽいのを一つ殲滅してきたから報告しとくね。証拠欲しかったら首を出すから言ってほしい」



 前半に反応して返事しようとしてたけど、後半にびっくりしたのか唖然としてる。


 口の開いた子を見ると何か突っ込みたくなる。

 ......やめとこう。早く再起動して!



「あ......あとで鍵掛けるのでそのままでいいです。

 え、えーと、盗賊の殲滅ですか?名前とかわかりますか?く、首は......絶対に今は出さないでくださいっ!!」



 急におっきい声を出すのはやめよう。ビビるからね。


 あぁ......視線が集まってくる......こっち見んな。



「おっきい声はやめてよ、驚くから。

 盗賊で名前わかってるのは、ザックとエドガーって名前だったけど、他のは知らない。それで首はどこで出せばいいのかな?」



「そ、そのザックって人は斧を使っていませんでしたか?」



 んー......どうだっただろうか?思い出せない。

 使ってた気もするし、使ってなかった気もする。


「ごめん、思い出せないから首で判断してほしい。」



「うぅ、わかりました......

 こ、こちらが思っているザックでしたら、懸賞金が掛かっている盗賊団です。

 ギルドカードを出してください。盗賊を確認後に評価を付けますので」


 普通の人なら囲まれて、数で押されればキツいもんな。冒険者や騎士団みたいの頑張れよ。



「じゃあこれカードね。

 確認したら首出せるとこに案内よろしくね」


 カードを確認した後についてくるように促される。すっごい嫌そう......

 他に担当できる人を呼ばないのかな?


 サイ〇ントヒルの裏世界にありそうな解体場に連れてこられた。吊るしてある肉が雰囲気を出している。

 ムキムキなおっさんが返り血を浴びながら解体してる......ホラーだね。夜中には来たくない。



 女の子はすっごい嫌そうに言い出した。


「うぅぅぅ......ここに出してくださいぃぃ......」



 ......ホントに嫌そうだな。だけどお仕事なんだから頑張ってほしい。



「じゃあ出すね。ザックを出したあとに残りも出すから」



 出した。



 涙目になってる。


 構わずに残りの首も出して行った。


 三十以上の生首が転がる。キモいな......この光景見てもこんな風にしか思わない俺はやっぱ壊れてるわ。

 その事実を悲しいとも思えないし。



 ザック本人と確認出来たらしいので、他のヤツらの事も確認している。


 涙目で生首を手に持ち顔を確認していく少女......日本なら事案だろうなぁ。


 というかホント何故この子がずっと確認してるんだろう?そこそこ地位があるのだろうか?


 それとも話を持ちかけられたら、最後まで一人で対応しないといけないのか。

 ごめんね。気の強そうな人を選ぶね、今度からは。


 ここにはもう来ないから今回は事故ったとでも思って諦めてほしい。




 盗賊団潰しの依頼が出てたのと、懸賞金を合わせて金貨十枚になった。潰すのを依頼されるって......アンタら恨まれすぎやん。


 それとランクがDになった。中級冒険者程度のヤツらの集団をソロで殲滅したからだって。


 さて帰ろうか。あの子の名前は最後まで聞かなかったな。






 宿に着いて女将さんに明日出ていかなくちゃならなくなったと伝える。


 返金してくれるって言ったけど、返金はいいからちょっとだけ飯を豪華にしてと伝えて部屋に戻りダラける。

 盗賊で儲けたし、良い飯が食ってみたかった。迷惑だったかな?





 そんなこんなで飯の時間になった。



 ステーキが出てきたんだけど、これがまぁ凄かった。

 A5ランクの肉は数回食べた事あるけど、それ以上の衝撃を受けた。

 ミートブルと言う、名は体を現している牛で、全身どこでも美味いらしい。

 魔力が強い個体ほど、肉質や美味さがあがるとの事......



 ほぅ......


 俺に天啓が降りてきた。




 ......あの劇物を激ウマの肉へ錬金出来るかもという可能性ッッ!圧倒的閃きッッ!


 思わず鼻と顎が伸びてザワついてしまったが、コレはそういう事だろう。


 試せ......と。



 美味しくならなかったらきっと、ぐにゃぁぁぁとなってしまうけど、試す価値はアリだ。アリすぎる。





 王都に着いたら、牛の見た目や生息地調べ、あと解体の技術を身に付けなくては!



 大満足の夕食後はまったりと過ごした。

 明日からまた風呂に入れないだろうから、ゆっくりと浸かっていく。


 今日もあわもこになったあんこを堪能。

 今日はポメラニアンフォルムでした。もっこもこですよ!


 あー可愛い。超癒されるわ。



 そして再び天啓ッッ!

 お湯を収納しまくっておけば外でもお湯を浴びれるやんけ!と。

 今日の俺は寝る直前までずっと、お湯を収納するマシーンになろうと決める。



 出てくるお湯を貯めるだけで暇だけど、生活向上の為に頑張って溜めよう!










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 投稿を始めて一週間たちました。見てくれている方たちに感謝を。☆や♡などの評価を頂けている事も励みになっております。

 色々と拙い作品ですがこれからもよろしくお願いします。



 現時点での主人公たちの心境や設定を公開します。





 主人公ㅤシアン


 ・愛犬を一番に思っている。

 この子との生活を脅かすモノには、彼の人嫌いな面も相まって、後顧の憂いを断つ為に躊躇いなく排除するし、特に罪悪感も沸かない。


 ・愛犬>絶対に越えられない壁>知り合い>他人>敵対者


 ・いきなり知らない地に飛ばされ、何もわからない内に激マズな物と無機質な場所で心をヤられる。

 そんな中で召喚した愛犬に自分が甘えたり、甘えてもらってるうちに、愛犬の存在が太く堅固な心の支柱になり深く依存していった。


 ・人の体を持った魔力体となっており、その気になれば魔力体になり物理攻撃を無効化できるが詳細を鑑定できていないので、その事に気付いていない


 ・最早ストレスを貯めながらでないと人間社会には馴染めない異常者だが、愛犬が関わらなければある程度常識や理性は残っている。

 共存できる生物や自然は好き。



 あんこ


 ・召喚される時の『ずっと一緒にいれる子』という願望をとても嬉しく思っており、主人の事が大好き。


 ・自我を得てから関わった人が暫く主人公だけだったのと、深層心理が主人公と繋がってるせいで、他人に多少の興味はあるが深く関わろうとしない。


 ・主人、寝る事、主人の魔力が好きで、主人公から貰った物は宝物


 ・かなり万能で凶悪な能力と力があるが、今のところ発揮する事はない。


 ・主人公の気分次第でこの子の呼称が変化する。



 骨喰さん


 ・召喚された刀で、妖刀として薄くだが自我があった(※設定上)が、召喚されて魔力で進化。

 完全に自我を得て意志を伝えれるようになった。


 ・刀、龍、不動明王は別個体で皆主人公の事を孫みたいに思っている。


 ・闇の魔力が心地よくて好み、手入れ時の魔力を溜め込んでいる。


 ・気に入らないモノが近づいてきたりするとカタカタする。


 ・主人公とモンスターが遭遇しないのはバレないようにこの刀が威圧を出しているからで、主人公の力的に余計な戦闘はしなくても生きていけるから煩わしいと思ってそうしている。

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