第10話 戦力確認とリザルト

 さて、これから盗賊と戯れる訳なんだけど......コイツらどうしてやろうかしら。


 俺の近くにいる三人を残すのは確定として、残りの遠いヤツらには、叫び声を上げる暇がある程度に苦しんでから死んでもらいましょうか。


 生き残った盗賊側は恐怖心を煽られていき、俺は実戦経験が積めるwin-winの関係だろう。



 影でヤツらの位置はわかっているし、こっちからわざわざそっちの方まで出向くのはダルいので、闇糸を相手の影から出して足を拘束し、闇魔法で槍を作成。


 後はゆっくり串刺しになっていってもらいましょう。



 おっ、ちゃんと出来ているようだ。


 悲鳴が聞こえてくる。あんことの鬼ごっこでしか試せてなかったので若干不安があったけど、しっかり殺れてるみたいで安心。気分は串刺し公だ。



 俺の心は今のところ全く痛んでいない。

 初の実戦でアドレナリン出てるから......でもなさそうだな。

 ただコイツらを殺ることに対して何も感じていないだけだろう。



 現在の俺はこの世界の現金を持ってないので、倒した盗賊の死体を回収しておいて、後でそこから貰っておこうと思う。



 ここから遠い奴らは全て倒したので、残した三人の方へと意識を切り替えよう。

 もし逃げようとしたら......そん時ゃサクッと殺っちゃえばいいか。



 本当は向かってきてくれないと、直接向き合っても殺せるかの疑問解決と、骨喰さんの初陣が飾れないから困るけど。



 青褪めて震えているエドガー君に指示を出す。助けてくれって叫びなよ......と。


 君がさっき言った理論を、仲間はちゃんと実践してくれてきっと助けに来てくれるはずだから。



 あ、二人逃げだしやがった......くそがっ!




 さっき始末したヤツらと同じで、闇の槍を下からぐさー。



 残りは一人か......しょぼい初陣でごめんなさい。




 残った一人がちゃんと戦闘を仕掛けてきてくれないと困るからなぁ......


 死体を全部取り出しておいて、積み上げておいたら激昂して襲ってきてくれたりするかな?


 それとも絶望しちゃうかな?



 まぁいいや。出しておこう。


 エドガー君の横に13人分の死体を出して積みあげてみる。



 あー泣いちゃった......


 刺激が強すぎたようだけど、人の事をハメようとしていたんだから逆もまた然り。相手が悪かったんだろうけど、存分に絶望してくれたまえよ。



 そんな事をしていたら逃げなかった1人がやってきたので鑑定してみる。



 ▼ザック

 人族ㅤ37歳

 職業:盗賊▼


 相変わらず必要最低限の鑑定さん。



 あ、なんか興奮してる。ちゃんと人の言葉を喋ってくれよ。


 お前、一応だけど人の形をしてんだから。



 なんか無駄にでかい斧を振りかぶって襲いかかってきたけど、遅すぎるな。


 アラクネトレーニングのおかげだろうな。ありがとー助かってるよ!


 今まではただただ数の暴力で押し勝ってきたのか、悪い頭を絞って策を弄してきただけなのか、それとも運がよかっただけなのか。



 まぁいいや。そんな事。



 この世界のヤツらがどれくらいのもんなのかはある程度わかった。


 あとはエドガー君に、こいつらがどれくらいの強さだったのかを聞いてみれば、平均値がどれくらいかわかるだろう。




 バックステップで一旦距離を取った後、魔力を少し込めて骨喰さんを抜き、【空断】と【呪骨喰】を意識しながら、彼の右腕を狙い振る。



 見えない斬撃がザック君の右腕を吹き飛ばし、断面の骨が黒い蛇みたいなのに群がられた後、断面からソレらが侵入していく。



 アレが【呪骨喰】なのだろう。【空断】と併せて使えばえげつない能力を発揮するんだな骨喰さん。



 数秒でガクガクして動かなくなり、その場に崩れ落ちた後は、バキバキゴリゴリ音がして顔以外が軟体生物の死体になった。


 人は骨が無くなるとこうなるのか......



 骨喰さんに骨抜きにされちゃったね、お疲れ様。




 さて、戦利品を徴収しますかね。


 銀貨が26枚、銅貨が73枚出てきた......価値がわかんないからなんとも言えないけど現金は嬉しいぞ。

 後はコイツらのアジトから、襲撃された事に対する慰謝料をパチるとしよう。



「エドガー君、君にはこれからお前らのアジトに案内してもらう。逃げようとすれば爪の間に熱した釘をねじ込むから気をつけてね」



 もうちょい脅そう。



「嘘をついたら、嘘と判明した時に腹を開いて、そこへザック君の死体を詰めてから縫合してあげるよ」



 猟奇的な事を言ったあと、薄く笑いを浮かべながら続ける。



「さぁ早くアジトに案内しようか。めんどくさかったけど、襲いかかってきた君たちに対応してあげたんだから、責任を持って最期まで俺の事をもてなしてね。

 手足の拘束は解いておいたから」


 自分で言っててアレだけど最低だよね。完全に悪役。


 そして人を目の前で殺っても特に何も思わなかったし、何も感じなかった。

 金剛精神さんのおかげなのかな?それとも元々そんな気質だったのか。




 ガクブルなエドガー君は諦めたらしく、一言「こちらです」とだけ言い、アジトがあるであろう方向に歩き出した。


 こっそり腰に闇糸を付けておいたので、逃げようとしたら二分割される仕様になっている。



 定位置で寝てるあんこを撫でながらこいつらが、どの程度のもんだったのかわからないので尋ねてみた。



「君らの集団はどれくらい強かったの?」



「......罠に掛けてから襲うタイプの盗賊団なので戦闘力自体はそこまで高くないです。一番強かった人で中級冒険者くらいでした」



 なるほどねー......そうなると俺の力は上級クラスでもぶっちぎれそうだな。


 数分歩いたら中に人の反応がある洞窟みたいのが見えてきた。



「ここです...」



「案内ご苦労さま。なんか隠してる事とかはないかな?実はアジトが複数箇所あるとか......中で何人かが待ち伏せしてるとか」



 後半でビクッとした彼の反応から、アジトはここだけなのは確定したかな。

 トラップがあっても糸でどうにかなるだろうし、人は位置が既に割れてるから問題はない。



「じゃあお別れだね。最初に問答した時に素直に立ち去っていればよかったのに......まぁ運が悪かったね」



 糸で首を落とした。バイバイ。



 さてアジトの方に集中しようか。



 入口付近には見張りが二人いるのを見て、碌でもない策を思いつく。


 叫び声を出させる→ヤツら出てくる→出口に糸トラップ→分割される。



 よし、これで問題無いな。これで行こう!早速骨喰さんの【空断】で1人を遠隔狙撃。



 ヘッドショットが無事に決まって見張りの片割れを倒す。


 残った方は片割れの倒れた音で襲撃に気付いたようで、叫び声をあげはじめた。



 話しをしてる最中に、相手の頭がパッカーンして倒れたら叫ぶよね。俺でもそうなると思うよ。



 いい感じに叫んでくれたので両足を落として悲鳴を追加、洞窟の入口に人の胸元くらいの高さでトラップを設置。



 気配を探ると全員がこちらへ向かってきているようだ。捕まっていた人とかはいないらしい。



 数と策で勝ってきたヤツらだからかな?全員がなんの捻りもなく固まって向かってきてる......あ、増援と目が合った。



 誰が一等賞とかは決めないで、全員で仲良くゴールテープ切れる感動の瞬間を見守ってあげようじゃないか。



「テメェェェェ!!何してやがる!お前ら!!全員でかかr......」



 ボトボトと汚い音を立てて、ヤツらの上半分が落ちる。


 下半身は少しだけ、皆で一斉にゴールできた感慨に耽っているようでオーバーランした後に倒れていった。



 向かってくる途中に止まった気配が無いことからトラップは仕掛けられてないだろうと推測し、そのまま中に向かい部屋をひとつずつ探していく。





 ~1時間経過~


 あー疲れた。



 特に何も特殊効果が付いていない宝石やアクセが入った箱が1つ、それにおっきい金貨が1枚、金貨が25枚、銀貨が袋にパンパンなのが1つ。


 銅貨は......ありすぎて邪魔になりそうなので首を落とした盗賊達の死体と一緒に埋めておくとしよう。三途の川の渡し賃にしてくれ。


 ヤツらの首は街まで持っていけば、何かしらいい情報も手に入りそうだし収納しておく。



 めんどくさかっただけで、今回の件で結構な金額が手に入ったと思う。

 色々な疑問点が解消され、この世界で生きていく方向性も決めれたので結果的にはよかったと思える出来事だったな。




 洞窟を崩して死体を埋め、夜のうちに街まで近づいておこうと龍さんを顕現させて、それに乗って飛んでいく。黒いからいい感じに闇に紛れていると思っておこう。



 異世界人の名前は普通に外人みたいな名前だったので、明日は街につくまでにそれっぽい名前を考えておこう。





 考えを纏めながら、街まで2時間くらいの距離の場所で降り、木の根元に寄りかかって今日はこのまま休むことにした。


 あんこは最初に警戒した後はずっと寝ていた。この程度の事で、この子の睡眠時間が削られるなどあってはならない。



 しばらくあんこを撫でたあとは、おつかれって声をかけながら骨喰さんを拭いてその日はもう寝る事にした。



 明日はついに異世界の文化に遭遇できるので、ちょっとだけわくわくしている俺がいる。


 ではおやすみなさい。


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