第3話 考察と決意、あと人物紹介

 人々は何故、無駄な争いを続けるのだろうか。

 殺伐とした世の中なんかより、優しい世界を目指した方が.........




 ......ハッ


 危ないところだった。変な悟りを開きかけちまったぜ......


 賢者タイムを拗らせたら、男はみんなこうなるのかな。

 あぁ口の中が気持ち悪い......ヴォエッ......


 とりあえずステータスの確認をしてみよう。


 ▼NO NAME

 人族 21歳

 職業:召喚士


 レベル1 魔力2,200/2,200


 スキル:【鑑定】【闇魔法】【魔力感知Lv3】【魔力操作Lv6】【身体強化Lv6】【精神耐性sp】▼



 なんか精神耐性さんに変な表記が追加されてる気がするけど......気のせいであろう。

ㅤ多分鑑定がミスって、ちょっとだけ誤表記されたんだ。



 ここまででわかったのは......



 1、この果実を食えば精神修行になる


 2、果実一つ食べれば俺の魔力が二千増加する


 3、あの果実は異常に腹持ちがいい


 という事だった。



 なので食料問題、栄養問題は解決。


 精神修行をしながらここで生活をして、やれる事と魔力の値を増やしてから外を目指した方がいいと思う。



 現時点での俺は、身体能力は未知数、魔法もどう使えばいいかわからない状態。


 そしてこの世界は殺らなきゃ殺られるような、そんな命が軽い世界の可能性が今のところ一番高いし。



 こう何か考え始めると疑問や、思うことが溢れてきて考えがぜんっぜん纏まらない......


 ナビゲーション持ち主人公や、スキルの創造、創造魔法持ちはチートだわ。すぐ強くなるのは納得ですよ。

 特にナビゲーション......アレは本当に反則だ。やらなきゃいけない事や疑問点を次々と解決してくれるんだもの。




 そこでふと思う......俺が召喚したこの子が殺られたらどんな扱いになるんだろう?

 また同じ個体を召喚出来るのだろうか?それとも同じ見た目だけど全くの別個体か?



 ......うん。絶対に死なせるワケにはいかないし、させたくない。

 ......思考するだけで辛すぎるもん......この子が死んだら核とかの大量破壊兵器を喚ぼう......

 鑑定の説明を見るかぎりではきっと呼べるはずだから。



 基本的に俺はネガティブ野郎なので、ネガティブな事考え始めると止まらなくなる。だから今はもうこれ以上この事を考えるのは止めて、別の事を考えよう。





 能力の事を把握するのなら、やっぱりトライアンドエラーで実験をしていくしかないのかなぁ......全くヒントがないのが現状だし、やるしかないかぁ。



 なので、やる事を心のメモ帳に記録しておこう......


 うーん。まずはこれが最優先だな。


 1、地球の物を喚べるか


 2、地球の食べ物は喚べるか


 3、それを喚べたとしても、それを食べても平気なのか


 4、同時に何体の召喚獣を喚べるか


 5、俺の闇魔法について



 ......あー結構あったな。



「こう、やんなきゃいけない事を箇条書きにしてみると気が引き締まるな。

 ......これを見るに一番いい案はナビ的な立ち位置の存在に来てもらうしかないけども......変に知恵あると無駄な諍いになりかねないかなぁ......あと人間関係とかめんどくさいし、関係構築とかダルいわ」



 独り言を言いながら考えた結果、ナビ的な存在を喚ぶのは諦めて、魔法の本でも喚んでみる事にした。



「闇魔法の教本を召喚!」



 結果は成功。

 消費魔力は50だった。かなりリーズナブルだったな。



 あれ?俺はこの世界の文字を読めるのか?と焦ったけれど、ちゃんと読めたので一安心。

 文字は全く見たことの無い文字だった。



 次は日本のビーフジャーキーを喚んでみる。

 なんで最初に喚ぶのがコレだったのかは謎だ。なんか頭に浮かんだのがコレだった。



 魔力は150程を消費したが喚べた。

 日本の物は値段相応の魔力消費なのか?と考察してみたけど多分違うだろう。

 次元を越えて喚ぶから消費魔力が多いんだろう。きっと難易度的な問題だ。



 喚べたビーフジャーキーを一つ摘んで食べてみると、ちゃんと日本で慣れ親しんだ味のジャーキーだったし、ちゃんと食べれるようで安心した。


 後は食後に異変が無ければあの子にも与えてみよう。




 あ、あの子が起きた!やっぱめちゃくちゃかわいい!寝てても起きててもかわいいわぁ......


 目が覚めて周りをクンクンした後にビーフジャーキーを目でロックオン!


 ジャーキーに興味津々なご様子のあの子......しっぽがやばい勢いで振られてる......かわいい。



 うん。他に召喚獣を喚ばなくてもいいや。

 この子だけいれば俺はこの世界を生きていけるだろうし、この子の安全や俺の事は、俺がきっちり守り通せるくらいにまで強くなれば問題ない。



 という訳で4は検証しなくていいわ。


 さて、現実に目を戻さなきゃ。キラッキラした目で見ているこの子に対応しよう。



「こ、コレを......食べたいのかな?」



「きゅーん」



 返事した!かわいい!!

 あ、俺とジャーキーを交互に見ながらヨダレ垂らしてる!!かわいいよぉぉぉ!!




 ......ちょっと待て、コレを本当に食べさせてもいいのかな?あ、今ちょっと大事なことを考えてるからそんな目で見ないで...



 ......生まれたばかりならミルクだよな?で、でもジャーキーを食べたがってるからもう食べれるのかな?



 あ、ちょっと前足でてしてしするのやめて、この幸せは思考中に味わいたくないの。







 もうあげちゃっていいか。

 この子幻獣らしいし、食べたがってるし。俺も食べてから異変起きないし。


 円なおめめがウルウルしてやがる......



「もうしょうがない子だねー君は♪」



 俺、陥落。

 抗えないよこんなん!

 あ、めっちゃ幸せそうにハグハグ食べてる......かわいい!

 よっしゃ!おじさん頑張っちゃうよ。ミルクとミルク皿も召喚しちゃえ!!




 ビーフジャーキーを食べ、ミルクを飲み終えた。俺は嬉しそうに食べて飲むわんこの様子をずっと眺めていた。

 あーお腹が膨れて満足したら眠くなったのかな?ウトウトしてる。子どもは眠るのがお仕事だからね。よーく眠るんだよ!



 しっかし日本の品を呼ぶには効率が......いや、燃費がかなり悪い......


 だけど異世界の品なんて全くわからないし、メイドインジャパンの品質は世界も認めている。

 安心と信頼のジャパニーズクオリティ以外の訳わからん物をこの子に与えたくない。




 これはそういう事だよな......



 うん、絶対にそういう事なのであろう。



 これは俺に対する挑戦だな!んもう!おにちくな世界め!!


 いいだろう!やってやんよ!!


 10個程食えばかなりいいモン喚べるな!ちくしょうめ!!


 とりあえず今は貧弱な俺の魔力で喚べるくらいのブランケットで我慢してね......

 おじさん頑張ってすぐに君にいいものあげられるようになるからね!


 さぁ召喚じゃい!!






 あの子が召喚したブランケットに包まれて寝たので、今度は俺の時間がきた。



 さぁ気合いを入れて食べよう。

 息止めてる間に1個口に詰め込めばいいんだ。あとは吸収されるはずだし。




 では逝ってきます!!







 ───────こうして彼のドーピングが本格的に始動した。












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 人物紹介


 桜井涼介

 21歳


 ・主人公。高校卒業後、関東のそこそこ大きい製鉄所に就職


 ・人付き合いが嫌いで、会話が成り立たない人間の事はGと思うようにしている


 ・人間関係は心を許せさえすればセキュリティは甘くなる、しかしそこにいくまでが長いので大抵の人は諦める


 ・女性関係は運が悪く、面倒な女が続き、欲を持て余した時にはそういうお店に行けばいいと思っている


 ・中学、高校と、周囲の人間関係や親との不和で疲れきっていた時に、公園で犬と触れ合って癒されてから動物に異常な愛情を抱く


 ・猫だけは決して懐いてくれないので諦めた


 ・引きこもり体質だが、癒しを求めて行動する時は夕方くらいから外には出る


 ・趣味は休日のペットショップ巡りと甘味処巡り


 好きな物:甘い物、タバコ、暗いとこ


 嫌いな物:人混み、騒音、日光、人


 備考:本来はもっと冷静だが、急に異世界に飛ばされて訳がわからずに情緒がかなり不安定

 内心かなり不安だったが、犬との出会いで吹っ切れた模様





 わんこ

 雌

 メインヒロイン


 ・主人公の事は優しくて大好きで、基本的にべったり


 ・たまに目がヤバくなる時は怖いと思っている


 ・主人公がくれるものは宝物


 ・ビーフジャーキーと主人公の魔力が好物


 備考:主人公がこの世界で生きる意味はこの子で、この子を失えば核をぶち込む覚悟でいる

 片時も離さず甘々に育てられる予定

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