第2話 ヒロインとの出逢い

 どれくらい時間が過ぎたのかわからないけど目を覚ました俺です。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 おはようございます。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ



 ちょっと、あの果実......アレあんな不味いのかよ!?食っただけで意識を刈り取るなんていうヤバい食べ物があるなんて......

 アレと比べるのなら、メシマズさんの作ったダークマターの方がまだマシな気がする位の何とも形容し難い味と食感でした......


 お、思い出したら...ウップ......



「口の中がひどい事になってやがる......うぅ......吐きそう......魔力増えるって言ってたようだし、ステータスを見てみよう」


 ▼NO NAME

 人族ㅤ21歳

 職業:召喚士


 レベル1ㅤ魔力1,200/1,200


 スキル:【鑑定】【闇魔法】【魔力感知Lv3】【魔力操作Lv5】【身体強化Lv5】【精神耐性】▼



 アレを半分食っただけなのに千も増えとる......そして生えていた精神耐性スキルさんこんちくわ。

 鑑定さん出番ですよ。お願いします。



 ▼精神耐性ㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 精神的な苦痛に対しての耐性

 気が狂うほどの苦痛を耐えきった者に与えられる▼



 ▼魔力感知ㅤㅤㅤㅤㅤ

 魔力を感知できる

 レベルが上がると体外の魔力も感知出来るようになる▼



 ▼魔力操作ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 魔力の操作が円滑になる

 レベルが上がると離れた位置の魔力も操れるようになる▼



 ▼身体強化ㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 魔力を使用して身体を強化する

 部分的、もしくは全身を強化できる

 レベルが上がれば上がるほど強力な身体強化ができるようになり、それにあわせて円滑に強化できるようになる▼




 ......うーん。鑑定さんが優しくなってる気がする。最初からそれくらいやってほしかった。

 それにしても精神耐性か......拷問されて耐えきったら生えそうなモンが生えてくるのか......え!?という事は......


 そんなレベルのブツなのか、あの似非青リンゴさんは。



 半分残っている食べかけのコイツどうしよう......


 不味い以外のデメリットが、今のところ全然見当たらないのがまたタチ悪いんだよなコイツ。




 うーん......あ!魔力が増えた今ならイケるかな?半分になった不味いモノは一旦放置しておいて、ちょっと召喚士さんを試してみよう!



 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

「召喚っ!」






 しかし なにも おこらなかった▽






 ......恥ずかしっ!!

 鑑定さーん助けてくださいよー。



 ▼召喚士ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 魔力を消費して、思い描いたもの、またはそれに近い結果になるものを召喚する

 召喚されたものは任意で送還できる

 生物を召喚した場合は同意があれば次回も召喚でき、信頼関係が構築されればパスが繋がり召喚魔法陣の構築のみで同個体を召喚できるようになる

 消費魔力は召喚したものの強さや難易度に比例する

 召喚士の知識にあるものを喚び出せる

 意志のあるものなら使役できるが、扱いが悪いと反逆される恐れアリ▼




 なんか急に詳しく、そして優しくなってきたなコイツ。レベル表記無いけど熟練度みたいなのでもあるのかい?

 そしてこの説明を読む限り......召喚士って万能すぎやしないか?




 よし、さっきの事は忘れて召喚を再度試してみよう。召喚獣とかめっちゃロマンあるよね!俺ワクワクしてきたぞ!

 説明を読む限り、こちらが送還しなければ喚びっぱなしに出来そう。

 それならば相棒を作れそうじゃん!喚んだ子に嫌われなければ。



 一緒にいるのならやっぱり水を使える子か、火を使える子がいいな。

 召喚って事だから、きっと魔物系がくるんだろう。

 どうせなら可愛いのが来て欲しいなぁ。


 人間はいらないけど......この何も知らない土地でソロで生活していくのは寂しいもの。

 魔力を千使って喚んでみよう!



「水か火を扱えて、ずっと一緒に居れるような子来てください......召喚!」



 そうイメージを伝えて召喚を開始する。

 光を放ちながら魔法陣が現れた。魔力をゴリゴリ消費している感覚がやってきているが、今はそれどころでない!




「ふぉぉぉぉぉ!!魔法陣だ!!光ってる!!ファンタジーすげえぇぇぇ!!!」




 ......テンション上がっちゃったのは仕方ないよね。男の子だもの。


 少しして光が収まった魔法陣から出てきたのは.........なんと!





 なんと!!ハスキーの子犬だったっっ......!!!!






 ふぉぉぉぉぉぉぉ!?

 わんこ!?わんこだぁぁぁぁぁぁ!!


 成犬のハスキーはかっこかわいいけど、子犬ハスキーだと愛らしさしかないよね?

 こう考えると大型犬ってお得感がすごい。成長するとどんどん変わっていく。大型犬特有のかっこよさと可愛さに加え、懐いたわんこの甘えんぼさが合わさるんだから無敵すぎる。



 なんか状況がよくわかっていないのかしらないけど首を傾げてこっちを見てるぅぅぅ!!!かーわーいーいー!!!





 .........テンション上がっちゃったのは仕方ないよね。男の子だもの。


 そりゃこの子も困惑するわな。全く知らない場所にテンションがブチ上がった変な人間がいれば。

 一旦落ち着こう。変な人間に認定されてしまって、この子に危険人物って判断されたら立ち直れる気がしない。



 お座りしてこっちを眺めてるハスキーたんがいる......

 かわいいです。そしてすげぇ大人しいなこの子。うん、かわいい。



 なんなんだろうこの気持ちは......

 この子を見ていると、母性?父性?俺の知らない感情が溢れてくる。




 そして、それよりも強い欲望が溢れてきて俺の体を支配している。



 さ、触ってもいいかな?飼育員さーん!触れ合いコーナーはここですかー?



 触れ合いたい欲求に負けた。呼んでみよう。来なかったらこっちから出向こう。





「ほらおいでーおいでー。怖くないよー」



 両手を広げ、地面に座り込み、わんこを呼んでみる。


 俺に呼ばれている事に気付いたわんこが、短い足でぽてぽて歩いてきたよ!この子とっても賢いよぉぉぉ!!可愛さが天元突破していますよ!!!



 ぴょんっと広げた俺の腕の中に飛び込んできたその子を優しく抱きしめる。愛らしすぎて意識トぶかと思った。



 ふわふわでもこもこな毛を撫でてあげると、しっぽをユラユラ揺らしながら目を細めて嬉しそうに撫でられている。


 ダメだ。我慢なんか出来ない......もっといっぱい触りたい!ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ



 も、もういいよね?僕は我慢しなくてもいいんだ!







 ~30分後~ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ




 どうやらハスキーちゃんは、慣れない環境にちょっとだけお疲れになられたようでございます。

 ウトウトしだしたから膝の上に乗せて優しく撫でるモードに切り替える。至福の時間でした。



 撫でている内にわかったんだけど、この子は女の子だったみたい。

 まろ眉でくりっくりの青目、そして毛並みが美しいもふもふの女の子。

 成長して大きくなったら凛々しい雰囲気の美人な子になるね絶対。


 ほんとさっきの触れ合いの時間は至福のひとときでしたよ。えぇ。



 すっかり寝てしまったし、この子の事を鑑定してみよう。



 ▼NO NAME

 幻獣ㅤ0歳


 レベル1ㅤ魔力500/500


 スキル:【氷魔法】【水魔法】


 備考:召喚士の魔力により浮遊精霊が変質し、幻獣に進化した

 姿形は召喚士の願望が反映された▼



 ......あれ?かなり優秀じゃないかこの子。


 今出た説明を読むかぎり、名実共にウチの子だよね。優秀で愛らしいこの子は、俺の魔力で生まれ変わってくれたみたいだし、俺にとっても懐いてくれてるし。





 うん。



 決めたわ。俺はこの子と一緒に、この訳わかんない世界を生きていくわ。


 わたくし、とてもチョロかったみたいです。守りたいこの寝顔。


 まずは成長が目に見えてわかる魔力を鍛えて、親?として恥ずかしくない力を手に入れてみましょうかね。





 そうと決まればこの程度の事で尻込みしてもしょうがない。


 精神耐性が生えたので、さっき食べた時よりは俄然マシになっている事だろう。きっと多分。

 それにこの子の為に強くなるんだろ俺よ!!



 という訳で気合いを入れ、口内などの魔力コーティングは完了させた......


 似非青リンゴの残り半分......いただきますっっ!!







 ──────身体強化の表記を読んだはずなのに、精神耐性の方に意識を持っていかれて、今回も同じ過ちを繰り返した。

 精神に耐性がついているので、普通に食べれば激マズの物を食べたくらいのダメージだったのだが、無駄に苦行を行う彼はこの先この身体強化が無駄な行為だったと気付く日は来るのだろうか。

 ......彼はMではなくSだという事を、彼の名誉のために記載しておく。


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