異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
第1話 転移と生涯の敵
有給休暇って、ちゃんと消化しろって言われるけど、いざ使おうとするとゴネられるよね?︎︎ ︎︎
貯めたのなら貯めた分だけ、後々使えるのならまだしも、使わない、もしくは使い切れないとある日を境に一定値に戻される。そして、使い切っていないことに文句を言われるこの理不尽さよ。いざ使おうとするとその日はダメ、違う日にしてって言うクセに。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
今年こそは貯まっている有給を全て消化しなさいとのお達しがあった。ちょうど友人の結婚式の為に仙台へと行く予定があったので、これ幸いとソコに合わせて一気に使い切ろうと計画を立て、仙台旅行を兼ねての友人の結婚式へ出席という流れになった。
ㅤそして昨日、無事に予定を終えた。三次会まで出席し、ほろ酔い気分のままホテルに帰って就寝。
全ての予定を終え、ようやく今日!
ㅤ二ヶ月前からスケジュールの調整を重ねてやっと辿り着いた有給全消費、二週間丸々使った宮城一人旅を遂行となった。
特に予定も立ててない、行き当たりばったりの一人旅行。
急にやってみたい事を追加したとしても、誰にも邪魔をされない、口出しもされない、文句も言われない。
ソロってしゅてき!一人旅さいこー!
とりあえずソロ旅行初日は、鷲がマスコットキャラクターの球団のホームゲームを見に行く。デーゲームで酒を飲みながらスタ飯食べて応援するんや。
などと考えながら、ウッキウキで好きな選手のユニフォームと、応援時に振り回す用のタオルを買いにショップへ入った......はずだった。
ㅤそう......ショップに入ったはずだったんだよ。︎︎ ︎︎
なのに......何故でしょう。
ㅤ何故今わたくしめは森の中にいるのでしょうかね?
おーけー落ち着こう。これは夢だ。
ㅤほら、仙台って杜の都って言うじゃないですか。ちょっとだけ字が違うかもしれないけど、誤差の範囲内だよ。
実は今スタンドで応援してたけど、ファールボールが直撃して気を失っているんだ。
この現状は夢で確定だよね。うん、早く夢から醒めようか。
しかし、一向に夢から醒める気配が無いので致し方なし。頬をつねるというベタな事を試そうと思い......頬をギュッと抓った。
うん、痛かった......めっちゃ痛かった。
ㅤえぇぇぇ......
これは夢じゃないみたいですね。アハハ、こんな事現実に起こるのかよ......
現実から目を背けるのは終わりにして、そろそろ現実を見つめなきゃいけない頃合いなのですかね。
では、現実の俺にお返しします。以上、現実逃避していた俺がお送りしました。
「ここはどこやねん......」
とりあえずベタだろうけど、ツッコんでみたらちょっとスッキリした。
どこか遠くから聞こえてくる謎の鳴き声が怖いです。なのに近くには生物の気配は全然しない。
ここが日本じゃないって事しかわからない。なら何処なんだ? って言われても全然わからない......
ㅤだけど、不思議と一つだけ思い当たる事はある。
︎︎ ︎︎
だって周りの木が神社とかにある御神木くらいの大きさなんだもの。それが数え切れないくらい生えている。
それと、そんなバカデカい木に生っている青リンゴみたいな実。リンゴの木には全然見えないのに。
「......認めたくはないんだけど、これが噂の異世界転移ってヤツなんだろうか。実際自分自身にそんな事が起きてみるとヤバいな」
そう呟き、現状を嫌々だけど認め、本当に異世界なのか確かめてみようと思い、行動に移る。
こんな時にやってみる事は一つしかないだろう。むしろこれをやらない日本人はいるのだろうか?いや、居ないはずだ(適当)
んー......誰も見てないよね? これはドッキリじゃないんだよね? と周囲を確認。
もしドッキリだったとしたら黒歴史まっしぐらだ。周囲を注意深く観察してみるが、一応人の気配は感じられない。
覚悟を決めようか。この試みが成功してもしなくても、ココは俺の望んでいない現実なんだと。いっその事、これは本当に夢であって欲しい。
溜め息を一つ吐いてから、意を決して口を開く......でもやっぱり恥ずかしいので小声で。
「ステータスオープン」
............なんか出てきた。
そう、出てしまった。
そうかそうか......そうですか。
もういいや。脳がキャパオーバーしているのか、悲観的な気分よりも、ワクワクが勝っている自分がいる。
ㅤとりあえず出てきちゃったステータスを見てみようか。
▼NO NAME
人族ㅤ21歳
職業:召喚士
レベル1ㅤ魔力200/200
スキル:【鑑定】【闇魔法】▼
能力値とか見れないタイプの世界観ですかそうですか。
ㅤ......コレちょっと難易度高くないっすかね。
目を背けたい事が多すぎるけど......気にしないとダメだろうから、そこに向けて鑑定を使ってみる。多分詳細が見れるはず。
▼NO NAME
名前が設定されていません▼
.........アッハイ。どうやら俺は名前を失くしたみたいです。
名前なんてモンは現状で優先順位は低いだろう。まぁ後回しでいいか。
......一通り見てからよく考えよう。
▼召喚士
魔力を消費して召喚する
召喚されたものは任意で送還できる
消費魔力は召喚したものの強さや難易度に比例する▼
もうちょっと詳しく説明してくれてもいいと思うの。
ハイ次!
▼鑑定
鑑定できる▼
......知ってた。ネクストっ!
▼闇魔法
闇を操る魔法▼
......チッ......次ィ!
▼人族
人間と呼ばれる種族▼
......鑑定って普通はチートだよね?うちの子もっと頑張ってくださいお願いします。
とりあえず荒んできている心を落ち着ける為に、一旦別の物......あのデカい木を見てみようか。
▼魔樹
樹木が魔力をゆっくり長い間取り込み続け変質した
魔樹で作った家具は最高級品
果実は食べると魔力が増える高級品
しかし果実は恐ろしく不味い▼
......何気なく見てみたチートな樹だった。そして、鑑定さんはやれば出来る子なのがわかりました。
しかしあの実は不味いのか......よし、次は実の方も鑑定してみよう!
▼魔樹の実
栄養価が高く魔力増加も出来る万能果実
見た目は完璧、味は......▼
ねぇ、鑑定さぁぁぁん! 味は!? 味はどうなのよぉぉぉ!?
見た目は普通の青リンゴなのに......
さて......これで一通り見終わったな。これからどうしようか。
とりあえず名前でも設定してみるか?
でもなぁ......誰にも会っていない内から決めちゃうのはマズそう。どんな感じの名前が普通なのかわからないし。日本にいた頃の名前には特に愛着はない。
これは後で変更出来るのかな? もし変更不可だったのならば、今設定する訳にはいかないだろう。
鑑定さーん俺に優しくしてくださいね。本当にお願いします。
▼NO NAME
名前が設定されていません▼
ほら、頑張れよ。もっと熱くなれよ。君はやれば出来る子だよ! 鑑定さん!
▼NO NAME
名前が設定されていません
一度だけ設定可能、結婚や叙爵等で変わる場合はそのまま反映される▼
信じてた! あたい、あなたを信じてた!
こうなると、名前は今設定したらだめだな......外人の名前が普通な世界で、日本人の名前で生活するとか俺には無理だ。これは後回しにする事が確定。
それにしても、叙爵という単語が出てきたって事は......ラノベとかでよく見るタイプの世界観なのかな?
とりあえず唯一わかる魔力さんや、俺の身体能力をどうにかしないと速攻で死ぬ気がするから慣れないとだめだな。
はぁぁぁ......
よしっ! ラノベとかだと魔力感知や魔力操作から始めるよね。彼等の努力を真似させていただきます!
︎︎ ︎︎
~1時間経過~
胃のあたりにモヤモヤする感覚を発見。胃もたれする人は魔力持ちだったのかな?
集中力だけはそこそこあるので継続して他にも試そう。
【魔力感知】を獲得。
︎︎ ︎︎
~2時間経過~
血液に乗せて魔力を運ぶってのをよく見ていたのを思い出し、それを実際に試しみたらすんなり出来た。
慣れてないからかもだけど、血管内をナニかに這いずり回われてる気分......掻きむしりたい。ヤク中ってこんな感覚味わうのか?
ㅤヤク中も魔力持ち疑惑が浮上。
【魔力操作】を獲得。
︎︎ ︎︎
~3時間後~
悍ましい感覚に慣れたので、魔力操作をスムーズに出来るようになった。ラノベ主人公達は他には何をしていたかな?
......思い出せないし、とりあえず一旦休憩しようか。
【魔力感知】、【魔力操作】のレベルが上がった。
さて、ここでまた一つ問題が浮上。
腹が減ってきている。それに伴い喉も乾いている。
この謎の果物を食べれば両方が解決するんだろうけど、不味いのレベルにもよるんだよな......
それでも、空腹と喉の乾きに耐えられそうもない貧弱な現代日本人の俺。
背に腹はかえられないし、腹が減っては戦ができぬとも言う。食うしかないだろう。
でもなぁ......不味いってわかりきってるのは怖いんだよなぁ......優柔不断でさーせん。
見た目は普通の青リンゴなので余計に怖さが増している。
食うか......不味いだけで死にはしないだろう。多分。食えば魔力増えるし、栄養もあるんだし......
あっ、そうだ!!
ㅤ
魔力で鼻と口から胃までを覆えばイケるんじゃね? 薬を飲む時に、ゼリー状のを使って流し込むとかあるし!
部分的に魔力で膜を作るのをやってみると、簡単に魔力でコーティングする事ができた。
これで希望が見えてきたぞ! 魔力操作さん覚えてよかった!
......ここで【身体強化】を獲得していたのだが、俺はこの時にステータスを確認していなかった事を二ヶ月程後に後悔する事になる。
「似非青リンゴさん結構いい匂いがするんだな......異世界初の食事、いただきます」
───彼の読んだ物の中で魔力を目や耳に集め感覚を強化するといった事柄があったかなかったかは定かではないが、最初に見た時には感じなかった匂いを強く感じるほどに強化された鼻と口内で不味いと言われる物を食べたらどうなるかは火を見るより明らか。
約半分を強引に一口で食べ、悶える暇も与えられずに意識を手放した......
ㅤ──────────────────────────────
ㅤはじめまして。第一話をお読み下さり誠にありがとうございます。
ㅤ処女作なのでおかしい日本語、おかしい言い回し、おかしい設定や突っ込みどころ、誤字脱字等が多々あると思いますが、生暖かい目や長い目で見てもらえれば幸いです。
ㅤ☆や♡などの評価、コメント、フォロー等頂ければモチベーションになりますので、もしよかったらお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます