第12話 入学試験②

 何もない広い校庭の中央には、既に一次試験の合格者が大勢集まっていた。

 合格者の大半は、豪華な生地に華やかな刺繍ししゅうを施した服を纏い、特徴的な装飾の髪飾りを付けた、貴族然として上品な風格をしている。彼らはみな東と同じくらい年若くありながら有無を言わせぬ貫録を備え持っていた。

 その集団の前方に、一人の背の高い女性が悠然と屹立きつりつしていた。黒く尖った帽子を被り、藍色のローブを着た黒髪の老婦人である。見たところかなり歳を取っているようだが、白磁のように白い肌は若々しさすら感じさせるほど気品に満ちている。

「二次試験の監督役を務めます。エクセリア・アークライトです。お見知り置きを」

 よくできた執事よろしく右手を胸に当て、恭しく一礼する。しかし、女性の目は口調とは裏腹に、底知れぬ威圧感を放っていた。

「ここエイト・プリンス魔法学校は最難関かつ最高峰の学び舎として、多くの優秀な人材を輩出してきました。この学園を卒業した暁には、政財界をはじめとした各界に名を馳せ、世界を導き動かしていくこととなるでしょう。故に……この学園に弱者は不要です。世界の担い手たる器を持たぬ生徒は速やかにこの場を去りなさい。二次試験は、貴方達の力量を試させてもらいます」

 その言圧を感じ取ったのか、受験生一同、息を呑んで粛然とする。

「これより、正面戦闘のテストを開始します。この私と戦っていただき、魔術の精度や体術の技量を測らせてもらいます。合格かどうかはこの場で判断しますので、合格を言い渡された生徒だけ、最終試験会場である三階の大講義室に移動してください」

 そう言うと、エクセリアは茶色の革で装幀そうていされた帳簿を取り出し、受験者を呼び込んでいった。

「それでは試験番号七番の方、前へ出なさい」

 呼ばれてでてきた青年は、長身でハリのある長い銀髪の美男子であった。透き通るような淡い髪色とは対照的に、黒く焼けた肌にたくましく大胆な肉体が服の袖から覗かせている。

 十メートル先のエクセリアをめつけるような目で見ると、ゆっくりと息を吐いて気を整える。そして背筋を伸ばし、がっしりとした身体を誇示しながら、戦闘の時を待っていた。

「試験番号七番、ライアン・アヴェノニクス。名門アヴェノニクス家の嫡子ちゃくしであり、秘門・魔力放出術の継承者。魔法修行歴は十年、魔術修行歴は五年」

 エクセリアが履歴書に書かれた経歴を粛々と読み上げる。どうやら、これがエイト・プリンス魔法学校の試験方式らしい。

「では、始めます」

 エクセリアの戦闘開始の宣言と同時に、ライアンの鋼鉄のような筋肉が倍以上に膨れ上がり、盛り上がるのが、服を通してでも感じられた。彼の沸き上がる闘志に呼応して、解放された魔力の渦が凄まじい唸りを上げた。強大な圧力が周囲に押し付けられ、受験者の何人かが、思わず後ずさった。

「ハァァァアアア————‼︎」

 裂帛れっぱくの気合いと共に、ライアンは決然と地面を蹴り上げると、凄まじい速さで疾駆する。

 次いで、ばん、と大気が破裂する音が轟いた。ライアンの背後から魔力がジェット機のように噴射され、彼の体を砲弾に変えていたのだ。空気を裂きながらさらに加速し、エクセリアに向かって流星のような速度で突進する。

 魔力を放出する一点特化型魔術、これがライアンの能力である。推進力を得た拳は、破壊的な速度のやじりとなって、エクセリアの顔を狙い撃つ。

 だが————

「失格です。お疲れ様でした」

 直前に来て、ライアンの体が止まった。彼の腹に空前絶後の衝撃がはしり、そのまま後ろへ吹き飛ばされたからだ。

 その動きを正確に捉えた者は数少なかったが、拳が顔面を撃つその刹那、エクセリアはライアンの腹部に渾身の拳撃を叩き込んでいたのだ。

 その後、ライアンは何メートルと吹き飛んで、背中から地面に落ちると、口端に泡を吹きながら白目を剥いて失神した。

「……」

 その光景を見て、一体何人がこの試験の辞退を決意しただろう。重苦しい沈黙がしばらく続いた後、エクセリアはライアンを医療班の元に運び、試験を再開した。受験者を一人ずつ呼び込んでは書類の内容と照らし合わせていき、魔法魔術を用いた決闘を行う。

 多くの受験者が存分に魔術の腕を振るい、その中の大半が為す術なく散っていった。二次試験の合格者は全体の三割といったところだろうか。それほどまでにエクセリアは容赦なく生徒たちを蹂躙していった。

「では次の方、前へ」

 そう呼ばれて皆の前に出てきた女性の容姿に、少なくとも男性全員が息を呑んだ。

 金髪の巻き毛と豊かすぎる胸、高い鼻梁びりょうと凛々しい眉の気品ある顔立ち。服装は、上は派手なフリルを鈴なりにさせたブラウスを身につけ、下はいささか気になるほど短いスカートを履いており、細長く健康的な脚が露わになっている。

 美人と形容するのになんら抵抗のない見目麗しい少女でありながら、貴族ならではの誇りと威厳を兼ね備えた清廉な人間であった。

「試験番号二百一番、アリア・アルブレイド。ソンブレロ大陸の王族、アルブレイド家の第七皇女。フォーマルハウト魔法学園初等部を首席で卒業、その後アヴィオール魔法学園中等部を二年飛び級で卒業し、世界中を渡り歩いて武者修行へ。世界屈指の大ギルド『OZ』に所属し、高難易度の魔物討伐ダンジョンへの参加経験あり……」

 未だ異世界に馴染みのない東が聞いても輝かしい経歴だった。彼女の峻烈な気風から察するに、幼い頃からあらゆる闘争に身を投じ、それら全てに勝利してきたに違いない。

 おそらく、艱難かんなん多き人生を過ごしてきたのだろう。そうやってめてきた辛酸を、全て誇りへと転換したかのような揺るぎない自負と威厳を兼ね備えた人間であると東は感じていた。

「魔法修行歴十二年、魔術修行歴十年」

 おぉ、と今度こそ周囲からどよめきが起こった。どうやら、魔術修行歴に皆は関心を示したらしい。

「六歳の頃から魔術を習っていたらしい……」

「天才だ……やっぱ俺たちとは住む世界が違うな」

 アリアの経歴の話題に、場が一時騒然となる。

 だが、当の本人は期待賛辞などどこ吹く風、服の内で筋肉質の体を引き締め、静かに戦いの時を待っていた。

「静粛に。では、始めます」

 厳かに戦いを宣言すると、相手の実力を測るように睨み合う。

 彼我ひがの距離は十メートル弱、両者互いに徒手空拳としゅくうけんである。

 否、先ほどまでは空手であった。アリアの両手には、魔法で編まれた二本の剣が握られていた。形は西洋刀のサーベルに近い。だが、三日月のように湾曲した刀身に、鋭く反った切っ先は日本刀のようである。

「……」

 油断なく双剣を構えるアリアに対して、エクセリアは緩やかな敵意を放ち、構えることなく直立している。その逸脱した無軌道に力量が測れない。

「……つかまつります」

 このまま睨み合ってもらちが明かないと判断したのだろう。アリアは身をひょうさながらのしなやかさで低く折り曲げ、全身のバネを利かせて勢いよく地面を蹴ると、エクセリアめがけて猛然と突進した。

 ———速い!

 誰もがそう思っただろう。しかし、ローブを纏った女教師、エクセリア・アークライトに限ってはそうではなかった。怯むことなく右手を前に出すと、呪文を詠唱し魔法を発動させた。

「———φως

 アリアを目掛けて一斉に光弾が放たれた。

 矢継ぎ早に放たれる魔力砲、それは一発一発が木を破裂させるほどの威力がある破壊の雫である。喰らえば致命傷にはならなくとも、数日はまともに動けなくなるだろう。

 だがアリアは両腕で頭をガードするだけで、避けようとすらしなかった。負傷を一切躊躇うことなく、半ば捨て身の勢いで突貫していく。無論、そのような無防備な獲物は的でしかなく、光弾が大挙してアリアに押し寄せる。

「——二重dual 強固block

 光弾が炸裂した。ついで閃光。

 大地を蹴散らす音が周囲に響き、衝撃で粉塵が巻き起こる。

 アリアは、哀れあの爆煙の中に巻き込まれて大怪我を負っていることだろう。あれほどの爆撃を喰らったとあれば、いくら強靭な肉体を持った武芸の達人でもひとたまりもあるまい。

 だが次の瞬間、その砂煙の中から出てきた影は、紛れもなくアリア・アルブレイド本人だった。破壊光弾が体を穿ったというのに、その疾走は一切止まらない。いのししもかくやという勢いでエクセリアに向かって驀進ばくしんする。

 そして一足一刀の間合いまで詰め、剣を大きく振り上げると、上方からエクセリアを袈裟斬りにした。

二倍double 強化enhance!」

 電光石火からの真っ向一閃。渾身の居合で袈裟に振り下ろされた刃はまるで雷のようにエクセリアのローブを斬り裂いた。

「あぁ……」

 生徒たちは呆然とその光景を眺めている。誰もがアリアの勝利を確信しただろう。

 だが、裂かれたローブからは肉の一片はおろか血の一滴すら出てこなかった。そも、ローブの中にはエクセリアがいなかった。剣が体を裂く瞬間、エクセリアの体は蜃気楼のように揺らめいた後、忽然と姿を消していたのだ。

「幻影魔術……」

 生徒の誰かが呟いた。

 幻影魔術とは、他人の眼球に干渉し、視神経を混乱させて幻を見せる魔術である。魔術の対象となるものが小さすぎる上に距離が離れているため、世界でも十人しか使い手がいないとされている上級魔術を、エクセリアは事もなげにやってのけた。

 予想外の反撃であったはずだが、アリアはさして驚いた風もなく、最初から幻影が効いていなかったように見えない敵、即ち虚空に向かって剣を放り投げた。双剣は空を裂き、回転しながら半円を描いて、エクセリアの首元で交差するように飛翔する。

 だがエクセリアは苦もなく刃を躱すと、幻影を解いて姿を現した。

「合格です。おめでとうございます」

 攻撃する側も、受ける側も、この結末を予想した上で立ち回っていたように感じるほど、よく出来た演劇のように、全てが予定調和で戦いが遂行していた。

 そのあまりに優雅で美しい戦闘に、受験者達はこの時、試験を忘れ熱烈な喝采を送った。王女アリアの勝利を誇り、偉名を讃えながら猛烈な勝鬨かちどきを上げた。それほどまでに、彼女の大立ち回りは生徒たちの心を釘付けにしたのだ。

「では最後です。二百七番のアズマ・シュウさん。前へ」

 いよいよ東の番となった。眼前で盛り上がっている人混みを掻き分け、校庭の中心に立つと、悠然とエクセリアに向かい合う。

 圧倒的強者を前にしても一切物怖じしない佇まいに、緊張とは無縁の脱力しきった表情、さらにどことなく異質な雰囲気を漂わせる白髪の少年に、多くの期待と注目が集まった。

 だが、会場の雰囲気とは裏腹に、エクセリアは訝しげに履歴書に目を通していた。

「アズマ・シュウ。出生不明、経歴不明、魔術修行歴……三ヵ月?」

 エクセリアはあり得ないものを見る眼差しで、履歴書に書かれた経歴欄をまじまじと見つめていた。

 受験者一同、エクセリアの発言を聞くと一瞬間を置いて爆笑した。

「おいおい、この由緒正しきエイト・プリンス魔法学校に三ヶ月しか修行してない素人が来ているぞ!」

「ははは、これは傑作だ。身の程知らずにもほどがある! きっと相当なバカなんだろうな!」

「いい土産話ができたものだ。親戚中に語り聞かそう。きっと呵々大笑してくれるに違いない。そうだ、いっそ我が一族専属の道化どうけとして彼を雇おうではないか。もし、そこの君。一体いくら払えばもう一度バカを見せてくれるのかい?」

 弾けるほどの哄笑こうしょうが学校中に轟く。貴族たるもの、品性を持って振舞うのが習わしであるが、この時ばかりは体裁を整えていられぬとばかりに、限りなく下品に、侮蔑を込めて貴族の子らは笑い転げた。

 元より、彼らは何かにつけて平民を見下し、それを興とする連中である。目の前で平民が愚かしさを見せたとあれば、嘲笑わずにはいられない性質タチなのだ。

 だが、貴族どころか王族の身でありながら、未だ一度として笑みを浮かべていない女が一人だけいた。

「貴方、その程度の実力でここに来るとはいい度胸しているわね」

 太陽のような金色の髪を揺らしながら、東の近くまで歩み寄り、憮然と言い放つ。声の主は、先ほど二次試験合格を勝ち取ったアリア・アルブレイドである。

「ここは神聖な学び舎なの。思い出受験をされるようでは迷惑極まりないのよ。貴方のような未熟者は目障めざわりだから、今すぐこの場を去って」

 沸き上がる怒りに任せて語気を荒げると、顔面を怒張させ、胸ぐらを掴まんとする勢いで詰め寄ってくる。

 そんなアリアの剣幕を見て、東はさも鬱陶しそうに目を眇めた。

「あー。分かった分かった、面倒くせぇな。俺だってこんなあばら屋にわざわざ足運ぶほど物好きじゃねぇよ。家主の言いつけで仕方なくここを受験させられたんだ。ただでさえ無駄な時間なのに、お前のありがたみの欠片もない説法なんぞに余計な時間を使いたくなんかねぇんだよ。こんなひなびた場所さっさとオサラバしたいから邪魔をするな」

 東が毅然きぜんと言い放つと、しばし場は静まり返った。

「おい、そこの試験官。何をほうけている。さっさと試験を始めろ」

「……分かりました。では、始めましょう」

 震える声で宣言すると、エクセリアの魔力が膨れ上がり、爆風となって周囲を逆巻き始める。心なしか、その身に纏う威圧感が先ほどよりもいっそう強大になっている気がした。

「あんな大口を叩くくらいですし、貴方はどんな偉大なる魔術を見せてくれるのかしら? 非常に楽しみですね」

 花のような笑顔とは裏腹に、その額や頬に青筋がいくつも浮かび、声に関しては半ば恫喝どうかつめいた含みさえあった。

 その様を見て、何人かの受験生が命の危機を感じていた。無論、その怒気は自分に向けられたものではないと分かってはいるのだが、今のエクセリアは見境いなく感情に任せた暴走が懸念されるほど危険な状態であった。

 だが、東はそんなエクセリアの怒りに露ほども関心がないらしい。平然と、悠然と自分の手の内をさらけ出した。

「あぁ、魔術は使わねぇよ。魔法・・だけで戦わせてくれ」

 今度こそ、東以外の時間が止まった。

 一瞬の沈黙の後、抑えきれぬとばかりに皆が東を笑い飛ばした。大胆に、下品に、限りなく東を蔑みながら大きく破顔する。

 若干二名、エクセリアとアリアだけは、抑えきれぬ屈辱のあまり、表情が怒気で染まっていた。歴戦の魔術師相手に、魔法でくみしようなどと放言するのは、もはや侮蔑と呼ぶにも度が過ぎる宣言である。言うなれば、プロの将棋士を相手に飛車角落ちで挑もうとするようなものである。

「あまり私を舐めないでほしいですね。こう見えても私はエイト・プリンス魔法学園で教鞭を執る傍ら、百人規模の大ギルド、『Brilliant Blue Arklight』のギルドマスターを務めています。腐っても鯛とはよく言ったものですよ」

「ケッ、腐った鯛が食えるか。ババア」

「バッ……ババアですって⁉」

 もはや殺意さえ抱きつつあるエクセリアを横目に、東は大きな欠伸あくびをすると、空手のままゆっくりと背を伸ばして脱力する。

 その隙を好機と取ったのか。エクセリアは右手を前にかざし、素早く呪文を詠唱すると、最大出力で光弾を放った。


「———φως των αστερων, ακτινοβολω!!」


 一秒にも満たぬ間に放った白色の光弾が、一斉に東の元へ殺到する。

 数も威力を先ほどとは比べものにならない破壊弾の群れ、喰らえば人間はおろか校舎すら半壊を免れないだろう。そんな規格外の攻撃を前にして、

「ほい」

 東は片手でそれらを制した。なんの変哲もない魔力の塊を壁状にして、それを目の前に展開するだけの術、もはや魔法と呼んでいいのかどうかすら怪しい基本中の基本レベルの魔力操作である。

 だが、莫大な量で編まれた魔力の壁は、破壊の雫から身を守る盾とするには充分すぎた。

「は……ぇ?」

 驚愕は誰のものだったのか。エクセリアか、アリアか、はたまたその場にいた全員のものか。最高学府の教職を務める魔術師の、全力攻撃を防御したことも瞠目どうもくに値するが、それが魔術によるものではなく、日常所作と同程度の魔法行使で完全に防ぎ切ったことに一同驚愕を禁じ得なかった。

 だが、真の驚愕はこれからであった。

「其は炎、星の命。濁世塵土だくせじんどに……なんだっけ? まぁいいやこれで」

 東の手のひらから、紅蓮の炎が迸った。

 それは東にとっては用意も工夫もない、ただの魔法・・である。だがその炎は、一直線にエクセリアの横を通り過ぎ、背後にあった旧校舎を煌々と紅蓮に染める。灼熱は舞い踊る炎の壁となって、蒸し返るほどの熱気を放った。

「火事だー‼︎」

「逃げろ、火傷するぞ‼︎」

 そして大火災が起こった。

 周囲は灼熱で満ち、天を焦がすほどの災の嵐に見舞われている。旧校舎は爆ぜ、地面は黒く焦げ始めている。踊る炎のとばりにれの木々を呑み込み、校庭の花壇すらも埋め込んでいく。

 やがて空気すらも燃え始め、息を吸っただけで喉が熱く焼けていった。肌を焦がすほどの猛熱に、本校舎の壁が飴のように溶け始めた頃、白目を剥いて脱魂しているエクセリアに向かって東は歩みを進めた。

「で? 俺は合格か?」

 轟然と荒れ狂う紅蓮の嵐を背後に、エクセリアは全ての気力を振り絞って頷いた。



 結局、試験官を含むその場にいた全員が避難を余儀なくされたため、最終試験は後日行われた。

 最終試験は筆記試験であったが、元より東は学業においての苦労とは一切無縁の実力者である。住む世界が変われど試験科目に数学や化学は存在し、それらはもといた世界と論理や法則がほとんど同じだったため、試験を受けるだけなら勉強の必要がなかった。歴史は目新しい内容ばかりであったが、人は金、宗教、復讐、名誉のために戦うという本質は変わりなく、暗記には時間を要したが、理解するのにはそれほど時間がかからなかった。故に東は、試験当日までには全教科で合格点を取れるレベルに知識を仕上げていた。

 仮に最終試験を辞退していても一次、二次試験の結果で合格は確実であったが、課された以上は最後まで試験をこなした。

 くして、異世界からの来訪者、東脩はエイト・プリンス魔法学校を首席で入学することとなった。


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