第4話 異世界③

 影が重く沈んだ、路地の奥。

 音も光も存在しない完全な闇。自分の足音だけが、恐ろしいほど空間を占めていく。先ほどの喧騒が嘘のように消え、虫の羽音や小動物の息遣い、そういった命の音も一切聞こえない。不気味なほどの静けさはまるで墓場のようだった。

「……………」

 こうも視覚と聴覚が用を成さないと、他の感覚が敏感になってしまう。

 腐臭とえた水気の臭い、冷たく湿った空気。

 床は泥のようにねっとりとしていて、酷く歩きづらい。しかも、歩みを進める度に、足の裏から、散乱した内臓を踏みつぶしたようなプチプチ、ぐちゃぐちゃとした感触が伝わってくる。

 足元から存在が腐っていくような気分、逃れられない死の気配。それらを何ら躊躇うことなく奥深くへと踏み込んでいく。何のために、ここまで来たかも分からずに。

「あーあ、澆季ぎょうきな世になったもんだよなァ」

 ふと、闇の奥から声が聞こえた。風に揺らぐように、影が動く。

 コツ、コツ、と単調ながらも闇にみるように響くその音は、抗いようもない圧倒的な力の持ち主が接近したことを如実に示していた。

「このままではいけない、どうにかしなければますます悪くなると分かっていながら、どうすることもできず、感情に任せて勝手気ままに行動するほど恐ろしいものはねぇぜ。最近そういう破滅の闇に進んで足を踏み入れる奴ほんとーによく見かける。末世のすがただ」

 闇に目が慣れてきた。影の正体がはっきりと見えてくる。ソレは、異形の怪物でなければ、悪鬼羅刹の類でもなかった。

「テメェのことだぞ、クソガキ」

 男だ。長身瘦躯で金髪の男が近づいてくる。

 飄々とした口ぶりに、離れていても伝わってくる殺気。闇に溶けそうな黒い気配は死を身近に感じさせる恐ろしさがある。魔術師が着そうな謎の黒いコートで身を包み、左手を包帯で縛られたその男は、この世界の市民と比べて何もかもが異質である。

 だが、そんなものよりもまず目を引いたのは、その容貌であった。

「綺麗だ……」

 自然とそんな言葉が出た。

 男は大変に美男子であった。夜明けの太陽を思わせる金色の髪に、磨き抜かれた宝玉を思わせる紺青の瞳は、この世に二つとない輝きを有している。滑らかな白肌に、鋭いラインはギリシャの彫刻のごとく整った造形である。

 美の結晶のような男であったが、その身から放たれる闘気は峻烈なもので、戦いしか知らぬという面魂をしている。その都雅こがな美しさすら武器にしてしまいそうな、そうすることで得られた強さを秘めているような恐ろしい人間であった。

「あん?」

 氷のような声に気圧される。端正な顔の隅々まで烈々たる殺気がみなぎっていく。

 何故かは分からないが、今の発言は男にとって禁句だったようだ。

「オレのことを綺麗とね……そんなに死にてぇのかクソガキ。オレをソルタ・アリオトだと知っての狼藉かァ?」

 ソルタと名乗る男の殺気は止まらない。だが、その殺気は決して私的な怨恨から来たものではなく、警戒心から来たものだと肌で感じた。

「答えろ。テメェ何モンだ? 誰の指示でここまで来た? 返答次第では————」

ソルタはそう言うと、中空に手をかざす。

 瞬間、周囲の空気がよどんだ。比喩ではなく、本当に淀み濁っていく。

 見ると、ソルタの体から歪で禍々しいオーラのようなものがあふれ出し、大気を侵していた。それは触れられないのに確かに存在し、一方的に周りに影響を及ぼす邪悪な力であり、毒を含んだ霧のようだと思った。

 魔力。直感的にこの名が浮かぶほど、不可思議で強大なエネルギーの渦である。茨のような悪寒が、空間を支配した。

「テメェを、ここで叩き切る」

 この言葉と同時に、ソルタは神秘を使った。

 空間を満たしていた禍々しい魔力の渦が、とてつもない勢いでソルタの手のひらに吸い上げられていく。収束した魔力の塊はゆらりと揺らぎ、どろりと濁り、徐々に姿を変えていき、

 次の瞬間、一本の剣になっていた。

「なっ……にぃ⁉︎」

 あまりの出来事に、思わず目を疑う。

 それは魔法、あるいは超能力といった神秘の力であった。

 ソルタは魔力でできた剣を握り締める。長さは二尺三寸九十センチほど。西洋剣のような構造だが、全体的に真っ黒で不気味な意匠が凝らしてある。刃は薄く、背筋が凍るほど鋭い。呪いでも込めてあるかのようにおぞましく、凶悪な魔剣であった。

「んで? 結局テメェは何者だ? 三秒くれてやる。その間にオレを納得させてみな。多少答えが拙くなっても構わんぞ。その時は、テメェが剣のさびになるだけだ」

 東の喉元に剣先が突き付けられる。恐怖で足が震え、心臓が早鐘を打つ。

 押し潰されそうな殺気を前に、身体中が痺れたが、なんとか口だけは動かした。

「怪しい者じゃない……俺は、異世界から来たんだ」

「……はぁ?」

 わけわからん、という感想を顔全体で表現するソルタ。端正な顔が盛大に歪んでいくのを見て東の頬が少し緩んだ。

「あのなぁ、異世界ってオマエなぁ……」

 ソルタは困ったような顔をしている。今まで殺人鬼のような気配を出していた男が、浮ついた伊達男のように剽軽ひょうきんな雰囲気を醸し出していた。

 もしかしたら、こっちが本性なのかもしれない。胸の中に温かい安堵が広がっていった、その時だった。

「もっとマシな言い訳しろよ。死ね」

 瞬間、ソルタの剣が一閃した。

 闇を切り裂く銀の光、稲穂を刈るが如き鋭さで剣が東の首筋を襲う。

「……‼︎」

 攻撃に気づいたのは早かった。素早く後ろに跳躍し、間一髪のところで剣撃を回避する。

 だが、刀身を避けた程度では攻撃を防げなかった。隼めいた一刀は空気を引き裂き、鋭利な一陣の風となって東の首元を掠めていた。

「ガァッ……! ァァァァア‼︎」

 ぱっくりと傷口が開く。大量の鮮血がだばだばと喉から溢れ出てくる。つけられた傷口はあまりに鋭利で、肌と肉が焼けているよう。首から露出した骨は、息を吸うたびにヒューヒューと鳴っている。

「チッ、外したか。控え雑魚の分際でオレの手をわずらわせやがって。こうなったらまぐれでも躱せないようにやる」

 手に持った剣を投げ捨て、再び中空に手をかざす。

 濃密な魔力が、今度はソルタの背後に集まっていく。膨大な魔力は瞬く間に収束し、ごうごうと渦巻き、姿を変異させていく。

 数秒後、ソルタの背後に八本の魔剣が現れた。八本全て規則正しく宙に浮かんでいる。

「これはな、硬いという概念を無効にする剣なんだぜ。どんなに重厚な鎧で身を覆っていても、豆腐やゼリーを裂くかのように容易く貫通する。それを八本、空間に装填した後、敵に向けて射出するんだ。さながら、刺突の雨といったところだな。オレが得意とする魔術の一つだ」

 ソルタが楽しそうに、自慢げにニヤリと笑うと、背後に控えた八本の剣の切っ先が一斉に東に向けられた。ぎちん、という音を立てて空間に装填された剣は数秒後、必殺の速度をもって撃ち出されるだろう。剣は静かに解放の時を待っていた。

「一度に出せるのは八本までなんだが、最大数には上限がない。ゆえに時間をかければ百本でも二百本でも作り出せる。敵が完全に息絶えるまで、永遠に串刺しにし続けるのさ」

 ソルタの右手が上がる。それが振り下ろされたとき、剣が発射されると確信した。

 ——血液が沸騰する。

 次の瞬間、東秀は死ぬ。避けられないが、避けるしかない運命。

 即座に、空中で静止した剣を凝視する。剣との距離は約五メートル。

 剣の動きを反応ではなく反射で捉え、剣先が当たる寸前、全体力を回避に費やす。それくらいしか生き延びる手段はない。

「異世界からのまれびとさん、テメェはここで終わりだ。死んだ後、元いた世界に転生できるよう今からお祈りしとけ」

 避けろ、避けろ、避けろ。

 避けろ、避けろ、避けろ、避けろ、避けろ、避けろ、避けろ、避けろ‼︎

 行動想定。まずは地面を舐めるように姿勢を低くして、カエルのように飛び跳ねて間合いを離し、転がるように着地した後、体勢を立て直しながら立ち上がり、脇目も振らずに後ろを向いて、尻に帆を掛けて逃げ————

「死ね」

 ソルタの手が振り下ろされ、棘の嵐が起こった。

「あ」

 死んだ、と一瞬で直感した。

 放たれた剣の雨は、東の予想をはるかに超える速度で飛来する。眼前に迫った剣先。意識が急激に凍っていき、マヒしたように体が動かなくなる。

 そもそも、何の力も持っていないただの人間が、魔術師相手にどうして逃げ切れると思ったのだろう。死を間近にして、そんな情けないことを今更のように考えていた。

「—————はは、ははは……」

 体がふわっと軽くなる。暖かい光に包まれたような優しい気持ちになる。

 東は今、無重力にいる。音も時間も止まった生と死の狭間、空の境界で揺蕩たゆたっている。

「あ、は、は—————」

 走馬灯を見ている。これまでの人生が光の中を流れていく。

 面倒なことがあった。面倒なことを押しつけられることもあった。けれど、振り返ってみればそう悪いことばかりではなかったと思う。

 大抵のことはなんの努力もせず成し遂げられた。努力しなくても結果を出せる才能は、面倒くさがり屋にとって都合が良かった。

 称号も、栄光も、実績も、実力も、欲しいものは何もかも当然のように手に入れてきた。当然のように手に入りすぎて、後々欲しいとすら思わなくなるほどに。

 加えて、異世界転生という貴重極まりない体験もできた。贅沢に過ぎる、理想的な人生であったと自負している。最後に少しだけドジを踏んだが、今ならば後悔なく死ぬことはできよう。ならば、それは東秀にふさわしい幕切れではないか。

 己が半生を垣間見て、納得したように目を閉じた、その時、

(東君)

 少女の幻が、微笑んだ気がした。

「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎」

 死ねない。あの少女のためにも、死んではならない。脳裏で警報が閃き、凍っていた意識が一気に覚醒する。

 緊張、恐怖、虚無感、湧き上がる全ての感情をただ避けるための力に変えると、一切の守りを捨て、勢いよく横に飛び込んだ。避けるというより、転がるといったような形であったが、間一髪、飛び退いた東の肩や足を、剣は掠めすぎるだけで仕留めるには至らなかった。

 東が立っていた場所には、八本の剣が針山のように突き刺さっている。

「チッ……クソが、生き汚いにもほどがあるぞ」

 僅かな抵抗すらも許さぬのか。ソルタは憎々しげに東を睨むと、再び中空に手をかざす。

 一瞬の空白の後、すぐさまそれは現れた。中空に浮かぶ剣の群れ。切っ先を東に向けて、主の命を待っている。

「この身を鋼に、血を鉄に。我が烈剣よ。時雨となりて不壊ふえなる魂を突き穿て!」

 闇がたかぶる。ソルタの呪文が咲きほこる。

 ソルタの背後に浮かぶ剣は、際限なく数を増やしていく。それぞれが必殺の威力を持つソレは次の瞬間、豪速を以って発射されるだろう。

 無数の凶器は視界を埋め尽くし、剣の壁となっていた。

「あ……ぁぁ」

 諦めと絶望が瞬時に去来する。

 宙に浮遊する五十以上の刃。あれだけの数があっては、偶然でも躱せない。避けた先にも剣が飛んでくるだろう。

 万が一、全ての剣先を回避したとしても、飛来した剣は檻のように東を囲み、逃げ道を塞ぐに違いない。そうなれば、動けなくなった東に向かって再び鏖殺おうさつの嵐が解き放たれ、その身を矢衾やぶすまのように刺し貫くだろう。

 今度こそ、自分は死ぬ。そんな覚悟とも諦観ともしれない感情を抱き、フッと目の輝きを失った、その時、

「くたばれ、≪黒鉄無双八重桜シュバルツキルシェ≫‼︎」

 号令一下、大量の剣先が東を襲った。

「あ———————」

 風を切る唸りとともに、無数の煌めく刃が東へと降りそそぐ。

 間断なく、容赦なく、衝撃が総身を蹂躙する。

「が———————」

 とめどなく攻め撃たれる鋼の矢。

 太ももを撃ち抜き、手の甲を突き穿ち、左肩を刺し貫かれる。無数の剣は肉を切り、骨を裂くのみならず、深々と地をも穿っていく。

 絶え間なく続いている衝撃はその繰り返しだ。中空に浮かぶ剣の群れはさらに数を増やしていき、矢継ぎ早に東を襲う。

 その度に、体の中からバキバキと枯木が折れたような音や、ぐちゃぐちゃとれた果実が潰れたような音が響いた。

「あ、ぁ」

 ———剣の雨が止んだ。

 際限なく続くと思われた惨劇は、真実わずか五秒にも満たない出来事であった。

「あ、ぁぁ——————、あ」

 東の体は惨憺さんたんたる有様だった。身体中至るところに刃が貫通しており、人体としての意味合いをうしなうほど肉体は崩れかかっている。側から見れば、奇怪なオブジェのような、あるいははりつけにされた虫のような姿をしていたことだろう。

 あまりの痛みに涙も出なかった。苦悶の声すら上げられなかった。

 貫かれた鋼の重み、刀身の冷えた感触を体の内側に感じる。斬り裂かれた腹からはどろりとした帯状の生肉が飛び出していたが、仕舞おうにも体が鋼に縫い付けられていて動かない。

 辺り一面は血の海だ。濃厚すぎる血の色に混じり、臓腑や骨、褐色の体液が撒き散らされ、酸鼻さんびな光景を成している。せ返るほどの臓物臭が霧のように充満した大気は猛毒の瘴気同然だった。

 これほどの殺戮を行ってなお、ソルタは眉一つ動かさずに東を見下ろしていた。

「ほう、これは驚いた。まだ息があんのか」

 それは如何いかなる奇跡であったか。全身をくまなく串刺しにした剣はことごとく急所を外しており、東はまだ呼吸を止めていなかった。

 だが、もうすぐ死ぬ。思考ではなく、本能の域から東は痛感した。

 傷口から熱いものが流れ出て、体は骸のように冷えていく。死ぬのは初めてのはずだが、自分の骸から生命いのちが抜け落ちていく感覚が、不思議と懐かしく感じられた。

「ま、あと数分もすれば死ぬんだ。どうせなら人体実験に利用するとしよう」

 そう言うと、ソルタは懐に手を忍ばせ、一つの小瓶を取り出した。中では、薬品めいた液体がタプタプと揺れている。

「これは、イクセイソウっていう植物の濃縮エキスだ。成長促進作用があって、育毛剤なんかによく使われるんだが……効果が強くてな。つけすぎると、あっという間に細胞が成長限界まで到達し、寿命を迎えちまう。要は、老化の劇薬だな」

 瓶の中の液体は、燐光を発するエメラルドのような色をしている。だが通常のエメラルドグリーンとは異なり、粘着力を帯びた不気味な色彩であった。

「なんせ数滴肌に触れただけで、寿命が十年は縮む代物だからな。対人用化学兵器として導入が期待されているんだ。実験対象が見つからなくて、なかなか実用化にこぎつけなかったんだが……」

 薬瓶のコルク栓を外すと、中から白い湯気が立ち上がり、盛んな異臭が放たれる。

 ソルタは東の体を起こすと、その頭上に瓶をかざし、

「ちょうどいい、兵器開発の尊い犠牲になれ」

 中の薬物を、全て垂らした。

「———————、———————————————」

 頭が白熱する。内側からじゅうじゅうと焼けていく。

 ひどい熱病に感染したように、視界がぐにゃぐにゃと曲がっていき、現実感が遠のいていく。

「——————————、————————————————-」

 感覚が全変する。声にならない叫びを上げる。

 視界は点滅を繰り返し、正体不明の激痛が全身を満たす。

 意識はグツグツと白ばんでいき、穴という穴から熱が噴き出した。

「——————————、———、————、—————————————」

 全身を火箸で刺される。熱した鉄を身体中に埋め込まれる。既に三十八時間、サウナに閉じ込められた。

 恐ろしい。こんな状態でまだ生きている自分が恐ろしい。肉体は焦げている、脳は沸騰している、魂は蒸発している。なのに、自我は此処からだにあると訴えている。まだ心は死んでないと叫んでいる。

 未体験の生き地獄。これが時間の流れに逆らうということ。身体を蝕むこの熱は体内時間を改竄した反動であり、自然の摂理をねじ曲げた代償である。

 もういい、こんな絶痛絶苦を味わいながら生きるのは面倒だ。

 自分の末路を認め、諦めたように目を閉じたその時、

「答えろ。テメェ……どうして年をとらねェんだ?」

 頭上から、戦慄に満ちた声が響いた。

「——————————————————————え、?」

 東は自分の身体に視線を下ろした。

 べっとりと真紅に濡れた肌に、刃物で滅多刺しにされた肉。

 数千年という時間を身体に刻まれ、急激に歳をとった東の身体は老人の姿に、いや、それこそ枯れ果てた木乃伊ミイラにでもなっているはずであった。

 しかし、柔らかい肌に、頑丈な骨、張りのある筋肉は十代半ばの少年のそれでしかない。体は依然としてみずみずしい存在感を放っている。

 ただ、頭髪は残らず白髪となっており、それだけが薬の効能を物語っていた。

「どうなってやがる……まさか、召喚術で呼ばれた人間なのか? オイ、楽に死にたきゃさっさと答えろ。テメェ、本当に何者だ?」

 剥き出しの殺意を放ちながらソルタは問い詰める。だが、その声には焦りや怒りといった感情が滲み出ており、その面持ちは静かながらも切迫したものであった。

「いせカイ、から来た……アズ……マ、しゅ……ウ」

 ありったけの力を込めて声を絞り出す。声とともに、肺から出された空気の残りが、弱々しく苦しげな喘鳴ぜんめいとなって喉から溢れてくる。

 そして倒れた。大量の血反吐が迸ると、意識がブツンと断線し、東の体は地面にぶちまけられた血の海の中に沈んだ。

「アズマ、シュウ……やはり、リチャード・アウェイクじゃなかったのか……」

 ソルタは持ち前の美貌を悲痛に歪ませる。ぎりっと切歯して、血に伏した骸を見据えるその表情は、東を襲撃した時よりも一段と険しいものであった。

「チッ、恨むなよ。アズマ」

 呟く声が、暗い闇に溶けていった。

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