第158話 夜の東名、アート・ファーマー

VFで、松田から高速に入って。

しばらくは2車線だけど・・・夜は空いている。


全開にしても、ヴァオー・・・・・って回るけど

なんか、尖がった感じが無い。

カーブを曲がって、アクセルを開けても踏ん張り感ものどか。


「なーんか、拍子抜け」と言う印象で・・・・。

宣伝は先鋭的なイメージだったけど。


この辺りは、L4の方が面白いな、と思った。

直線で飛ばしてもメーターの針は上がるけど・・・と言う感じ。



「疲れなくていいのかなー」なんて思いながら。



どちらかと言うと景色を楽しめる感じで・・・カーブが割りとある辺りで


遠くのビルの明かりとか、走り去っていく自動車のランプとか。


そういうものを楽しみながら走る感じ。



「都会的、なのかな」なんて思う。


ホンダって、なーんとなく・・・ハンドリングよりもエンジン。

そういうイメージがあったけど

VFもそういう感じ。で、そのエンジンもこのVFは、なーんとなく、ノレな


い。

速いんだけど、なーんか勝手に回ってる、って感じがして。

(まあ、理屈で言うとそうなるので・・・ホンダも後々は位相クランク、と


言って

クランクピン1本≠2気筒のV4を作ったけど。Vにするとエンジンが嵩


張るので

アレは、おそらく・・・Vの金型が勿体無いから(^^;と言う感じかな?)




厚木までの、ちょっとしたワインディング区間も。


ひら、ぺた。


と言う感じではなくて。


ころん


べたっ。


よっこらしょ。


みたいな(^^;


重たいものが高いとこにある、と言う感じ。(2020年のバイクは大体


そうだけど)。

寝かしこみは楽だけど、慣性が一緒についてくる。




それで、Yのお父さんは早々と売っちゃったらしい。

シフトの、リターンスプリングが折れると言うリコールが出たのもあっ


て。


「直すの面倒だから」って、売っちゃってXJにした、と言うワケ。




CBX1000みたいに、欠点だらけでも



6気筒サウンド



みたいな美点があれば、乗り続けたいと思うんだろうけど、ね。




ちなみに、YがCBX1000を買いに来て、バイク屋さんで俺はYと知り合


ったんだけど。






そんなことを考えながら、VFで厚木からのストレートを速度乗せて。


海老名SAに、やっぱり寄る。




ウインカーをひだり。

カウルの中のインパネ風メータパネルでも左のランプがついて

なーんとなくGTカーふう。



ひょろろろろ・・・・。と。面白い音を立てて走るVF。


海老名SAは大きい。結構な登り坂を上がって、大きなカーブ、右。


トラックがいっぱい停まっている。




そこを行き過ぎる。


なんか、お仕事モードの気分は避けたい。



乗用車が多いあたりもやり過ごす。



世帯臭いのも、神聖なナイト・ランにはゴメン蒙りたい。



子供を、こんな夜中につれて歩くなんて・・・とか思ったりもするから

気分を害する(笑)。




クルマのナイトランでも、ひとりならいいが

誰かを連れて行くと、世間話なんかされたら

なぜ、こんな人をつれてきたのかと後悔する(笑)。






オートバイで夜の高速って、なんとなく凛々しい気持で好きだったりす


る。




そういう使い方にはVFっていいのかな。そう思って

空いている、エリアの端っこのスペースにVFを止めて

エンジンを止めた。




電話ボックスの灯りが、ぼーっと光る。




きょうは、ウォークマンを持ってきたのでヘルメットにコードを挿して

ヘルメットに仕込んだスピーカーで、聞きながら歩いたり。


高速だと、風切り音で聞こえなかったり。



メイナード・ファーガソンとか、チャック・マンジョーネ。

アート・ファーマー。


この日は金管の曲を何故か聞いていた。



星空に似合うような、そんな気がして。



午前0時である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る