第131話 CB125JXと、スタンド・ガール

1981年辺りは、まだ日本は貧しかったので

女の子で、高校に行かない子は割りと居た。


俺のいた中学でも、女の子はクラスで数人くらいは

就職、とか

最初から定時制と言う子も居た。


なので、千秋のように

特に勉強が好きでもない、明るくていい子は

高校に行かない子も、居たりした。


また、企業でも学歴差別は無かった。

終身雇用の時代だったから、である。


人柄が良く、素直な子なら

会社でお金だして学校に進む、なんて制度もあった。


今でも、トヨタとか、そういう大きな会社にはあるが。





千秋の家は、ふつうの住宅である。

高級住宅地ではないけれど、こじんまりとした

品のいい、和風の家で。




・・・・なんで、ガソリンスタンドなんて仕事に?

とは思ったけど


現実的に、技能職ではない子だと

事務員か、作業員、営業。


スタンド・ガールは割りといい仕事かもしれない。


千秋の他にも、可愛い、若い子は一杯いたから

似たような境遇の子は多かったのかもしれない。

ひた向きに働く、まっすぐな子。

そういう子が楽しみにするオートバイ、なんてのもあったりする。



千秋は白いシャリイで、これは、お母さんのもの?かもしれないけど


他のスタンドでは、パッソルとか、ロードパルとか。

ちょっとお洒落な、可愛いバイクに乗ってくるスタンドガールも居たりして。




俺の仕事、配達は

もちろん、千秋のスタンドばかりではないから


そういうスタンドに行くと・・・・。


水が打ってある(当時は法令でそうなっていた)。コンクリートのスタンドの

塀のそばに、そうしたミニバイクがあったり。


時には、CB125JXとか、そういう、ちょっと大きめのバイクに乗っている子も居た。


当時の女の子は小柄だったので、125くらいが楽だったのだろう。

後々、RG250が出てからは、軽量250が増えて

そうした女の子も乗れるようになってきたりする。



そんなお店に750で行くと、やっぱり注目される。



「かっこいー!」とか。明るく、正直なので

俺も嬉しくなる。



時々、パッソルとかで追いかけて来たりする(笑)。


そのくらい750は珍しかった(から、売れないので俺は3年落ちのXSを

20万円で買えたワケ)。



「これ、スピード出るよねー」とか、寄って来て。

シートに跨らせてあげると「おおきいなー、すごいなー」とか。





かわいい女の子がいるスタンドには、客も増えたりして。





たまーに「うちのスタンドに来ない?給料いいよ」とか言う女の子もいるので



「俺とつきあってくれたら。」なんて冗談でそういうと、その子は


一瞬、マジメな顔をして。

「やだー、千秋とつきあってるくせにー。ウワキだめー」とか、ハハハと

陽気に笑ったり。



「別につきあってないけど」と、俺は言う(まあ、そうだ)。


スタンドガール同士、なんとなく知っているらしい(^^)。





このあたりは今も同じだけど(^^;





まあ、そういう事をしていると

モテナイ秋元とか、佐藤とか

正彦とか。


そういう連中の妬みがいろいろあったが・・・。

まあ、そんなのは書いても面白くないので(^^)。


やめておく(笑)。




まあ、秋元は締めてやったが(笑)。




そんな俺を、古株営業の片岡さんは微笑んで、見守ってくれたので

所長でも、妬みで采配をしなかった。


そういう、いい時代だった。



片岡さんは、昔、モテモテだったのだろう。(^^)。






そうそう、ガソリンスタンドの方が給料は良かった。

ガソリンが売れてたから。



俺のいた、タイヤディーラーでも

俺は配達と事務職だったから

7万5000円だったかな、初任給。

残業するから少しは増えるけど。


そんなもんだったから、XS750の中古が20万と言うのは・・・

今だったら40万くらいの価値なのだろう。

そんなもんだと思う。


新車のZ750が、46万くらいだった。(×2=92万くらい。そんなもんだね)。




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