第130話 千秋とディスコと、XS

XS750speialは、どちらかと言うとデートバイクの感じで

タンデムの方が、絵的に様になるタイプのようだ。


ひとりで乗っていると、なんとなく後ろが長く見える(^^)。


XV750Eは、ひとりでのっても様になるけど。


3気筒、2気筒。その前はSRで単気筒だったから

スムーズ・モーターじゃない感じのエンジンは、乗っていて面白いようだ。



俺たちは、XSでその後

海岸沿いにあるディスコ、CASA21に向かった。


使われなくなった倉庫の中で、レコードを掛ける。

そんな感じの素朴なお店。


駐車場、と言うか

となりの空き地にバイクが一杯置いてあるところに、俺はXSを止めた。

仁義がしっかりある時代だったので、バイクにいたずら、なんてのは

ガキのすることだったし、そんなことすれば

探し出されて袋叩きにあった。

ディスコの方でも、前に門番が立っていたから安心だった。


置いてあるバイクは、KH,Z、CB,GS,,とか、400か250が多かった。

土曜の夜は、だいたい・・・族は集会に行っていたので

ディスコに来るには、族ではない奴だった。




門で、俺たちはヘルメットを黒服に預けた。


入場料は1000円だったか、1500円だったか。


フリードリンク、食べ放題。



とはいえ、バイクで来てるから酒は飲まない。




黒服がドアを開けると、なーんとくタバコ臭い空気と冷房が混ざっていて

独特のディスコの雰囲気がした。



そんなに混んでいなかったようだ。



バリー・ホワイトの「白銀のテーマ」の、12インチ盤が流れていて

ヘタなDJが入っていて(笑)。


・・・・黙ってかけろよ。と思ったりした。



そこに、千秋と一緒に。



フロアと、回りにテーブルと椅子。


仕切りがあって、そこにキッチンみたいなものがあり

飲み物と、なんか、おつまみ系とか、スナックとか。

いろいろあった。



とりあえず、俺たちは

フロアにいって、踊ったりした。



薄暗いフロア、低音が響きすぎるオーディオ。

どこにでもあるディスコ。



千秋は楽しそうだ。笑顔である。


俺も、なんとなく楽しい。



そうして、しばらく踊って。



千秋は、どこかに消えたかと思うと


何か、飲み物を持ってきた。



近くにあるテーブルに置いて。




フライド・チキンとか、ポテトとか。


割と、美味しかった。熱くなっていて。



そこで、すこし座って。音楽を聴いていたり。



千秋は、レモンティのアイスだったようだ。


俺のも同じの、だったか。




千秋は「飲んじゃおうかな。送ってくれるもんね」と、にっこり。



俺は笑った。未成年じゃないのか?とか、そういう事は言わないのが

いい男(笑)。



未成年かどうかもわからないし。

18歳成年になる国もある(笑)。



なんとなく、静かなストリングスの音楽が掛かっている。

「ナンパタイム」なのだろうか(笑)。



俺たちは、まあ、カップルで来ているから。



千秋は「ひとりで来るのは怖かったから。あなたと来れてよかった」と。


どうやら、ディスコに来た事は無かったらしい。





ボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」が掛かった。




千秋は、俺の手を取って。


「この曲好き。踊ろ?」と。にっこり。



そばに来ると、ふんわり、いい香りがする。



田舎のディスコだと、この曲はステップが決まっていて

ふたりで踊ると、様になる。



それも、踊ってみたかったと千秋は、にっこり。

踊りながら言った。





ヴァン・マッコイの「ハッスル」とか。





10時くらいになっただろうか。千秋が「疲れちゃったなー。」と言うから


俺は「じゃ、帰る?」と。


千秋は、にっこり。

さっき、何か飲んでいたようで、上気していた。


くったり。


そんな感じ。



黒服にヘルメットを貰って。XSをパーキングから出して

跨る。



千秋はだいぶ、酔いが回ってるようで。俺にべったりと抱きついて

跨った。



大丈夫かな・・・・と、思いながら



XSをゆっくり・・・走り出した。




千秋は、寝ているみたいに静かだった。

背中に抱きついているので、柔らかな体の感触が愛らしくて

おちんちんが元気になってしまう(笑)。



夜の海辺をゆっくり走った。



よく晴れていて、星のきれいな夜だった。



XSの排気音は、低く、歯切れ良い。





千秋は、スタンド・ガールだけど

身持ち固い子だった。



軽そうに見えるけど。




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