第128話 スタンド・ガール 千秋
XSは、シャフトドライブだから
ゼロヨン、なんかをやると
派手にテールが滑った。
だから、ガソリンスタンドの
水撒いたコンクリートの上なんかだと
テールスライド、アクセルターン(w)。
なんかをやると、千秋は喜ぶ「すごーい!!」
そうしていつも、ターンして営業所に帰るのだ。
その頃、「港のヨーコ」が流行ってて・・・。
俺も、会社の制服、つなぎで乗っていたから
気分は「750ライダー」である(笑)。
営業所に帰ると、ひろみが「遅かったね」とか、訝しげに見る。
「ちょっと込んでて」とか、テキトーに誤魔化す。
なんでも仕切りたがるひろみは、なーんかママみたい(^^)。
けっこう乱れてる子で・・・・。
応接ソファに座ってると、隣に30くらいのおっさんセールス、秋元が来て
「いいか、女乗せたらな、こうして・・・」と、座ってるひろみの両腕を、自分の左腕でロックし
て。
「こうすりゃさわり放題」なんて行って、おっぱいとか触ったり
キスする格好したり。
そんなのを得意げに言う奴で。
顔は、まあ、ダリル・ホールに似てて。
白いカリーナGT(TA45)に乗ってたりして。
でも、背は低く、目つきが鋭い。
峠族の先祖、みたいな感じ。
妻帯者であるのに、そういう事を・・・・。平気。
「俺の女房は締めるんだぜ」なんて変な自慢をするバカで。
ひろみも、別に嫌がるでもなく触られてるから
こんな女はダメだ、と・・・・俺が事務所から出ると
営業の古株、片岡さんが「俺の娘があんな風になったら、俺なら殺す」と言っていた。
俺も、同感だった。
この片岡さんにはいろいろ世話になった。
それだけに、最後に「辞める」と最初に言った時
とてもがっかりしていたのを覚えている。
その秋元が、千秋を狙っていると言う事を
配達している時、千秋のスタンドの若いボーイに聞いた。
「なんで、俺にそんな事を?」と聞くと
彼は「兄貴はさ、北高で丸田さんの右腕だったし、頭も切れるって」
「誰に聞いたの?」と、俺は優しく聞くと
「稔さんです」
・・・稔ってのは、高校1年の時に北高を辞めた、俺の親友で
別のガソリンスタンドで働いていた。
(ほのぼの高校に書いたように(^^))。
丸田は、一年先輩の、番長グループの人間である。
俺は「わかったよ。でも、丸田さんはいい先輩なだけ。俺は右腕じゃないよ。」
思う。彼は・・・・千秋が好きなんじゃないかな?と。
また、メンドクサイ事になったなぁ(笑)。
と・・・・。
でもまあ、女の子を弄ぼうなんて秋元は許せなかった。
その次の土曜。
1981年は、ふつうの会社は土曜が仕事。
それで、土曜の夜のディスコがフィーバー(^^)するわけ。
まあ、誘われたから・・・・。俺はXSで、海岸沿いのディスコに行った。
あんまり、好きではないけれど・・・。
仕事が5時で終わり。
いそいそと、タイムカードを押して。
営業所には、この日はGRで来ていたので・・・・
かーん、かーん・・・・。と、すっ飛ばして帰って。
家に帰って、着替えてから
XSで出かけた。
ジーンズに、上はペイズリーが入っている濃紺のシャツ。
ガソリンスタンドの方が、終わるの遅いから
千秋を迎えに行った。
千秋は、いつになく上機嫌で「早かったねー」と、にこにこ。
まだ、スタンドの制服のまま。
ベージュの上下、赤いライン、帽子。
かわいい笑顔のスタンドガール。
千秋は50cc、白いシャリイで来ていて。
「前、走るから」と・・・・。にっこり。
あの「守ってくれ」の彼も、遠くで微笑んでいた。
「お願いします」とでもいいたげに。
俺は、XSで千秋の家まで一緒に走って。
「着替えてくるからー」と。弾むような笑顔の千秋を見送って。
XSに跨ったまま。
るるん、るるん・・・・と、XSのアイドリングがしていて。
エンジンを止めた。
「おまたせー」と、にこにこしてる千秋は
かわいらしい、ふんわりしたボトムスに
トップもふんわり。
オレンジ色のリップだった。
その頃流行っていたらしい。「オレンジガール」とか。
「オレンジ村から春へ」なんて歌があった。
自分のシャリイで行くのかと思ってたら、XSの後ろに跨るから
?
と、思ったけど、まあいいか(^^)。
XSのエンジンを掛けた。
どるん、るん、るん・・・・。独特の3気筒サウンド。
千秋は「いいねー。この音。低くて。」
ショート・メガホンマフラーである。
「なんか、食べていこうか」と、俺。
千秋「そうだね」と・・・。
クラッチを切って、少し間をおいてから1速へ。
シャフト・ドライブなので。
ショックなく、800rpmでクラッチをつなぐ。
どろど、どろど・・・・と、XSはゆっくり走り出す。
千秋は、バイクの後ろは慣れているようで
右手をタンデムグリップ。左手を俺の腰に回した。
XSは、シャフトドライブだしトルクがある。
ひょ
と、アクセルを開けると、千秋は前傾して
俺にくっついた。
左の肩で、千秋自身の体を支えているけど。
割と、ふんわりおっぱいである(笑)。
おちんちんが元気になってるのを、千秋に気づかれないように・・・と。
祈る(笑)。
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