第11話 ドリキンNし山(?

日記 [1985/10/x]



(N、それから。)





「わははぁ、じこってしまった。

ひまだよぁ〜..........(原文ママ)」





懲りない奴.....( 滝汗;;)



.... などと笑っていたが、このNは実際よく事故るな、と

仲間うちでも呆れられていた、んだ。


カワサキ・ニンジャはほぼ全損状態だったもの(エンジン以外のパーツで

交換してないのはチェーンくらいだろう、とT輪店の親父さんも呆れていた。



その辺はやっぱりガサツな性格のなせる技で、深く考えないから

借金が溜ろうがなんだろうがお構いなしにアクセル開ける。


(で、事故る^^;;;)



こいつがガサツなのは、無論オートバイだけじゃぁなくて....






ある日の事。

行きつけのサ店で、オーディオやヴィデオの話し(当時、流行っていた。)

を俺はこのNとしていたら..



N曰く。


「ソニーのデッキ、だめ。すぐ壊れるし、修理に出してもまたすぐ壊れるんだぜ!


なあ、Kさぁ(俺の事をこいつはななつも歳下のくせに呼び捨てにしようとする)。

あんたが勧めたデッキ、駄目だよぉ〜。」



「ったくぅ、タメ口利くなッてんだろ、馬鹿。どう壊れんだよ、ヴィデオ。

そんなに壊れやすいって聞いてねえぞ。」



N

「テープが出て来なくなるんだよ。デッキから。何回修理に出してもさ。」




「.... じゃぁ、見てやっか。ちょっと行こう、おまえん家。」




と、また行きたくもなかったが、Nの汚ねぇアパートに行くはめに...








N

「じゃあ、まあ上がってよ、汚いとこだけど。」



「ホントにきたねえなぁ、掃除しろよ、たまには。」





..半年前と変わらない位置に、同じ物がある。

動かしてはいない、のだろうが。

触ると、埃がごっそりと指にくっついてくるんだろう..と思い、

なるべくその辺に触らないように歩く。


薄暗いから汚いのが解らない、というのはまあ、バーなんかと一緒の理屈だ。




N「ちょっと待っててよ、お茶いれる」


と、一応気ィ使って、Nは笛吹きヤカン(ピーピーケトルってシールが貼ったまんまの)

に水いれて、湯湧かした。





数分。



ヤカンは笛吹きはじめる。


ピ〜.....。




Nは、じっとガスレンジの前で。



俺、「おい、早く止めろよ、ガス。吹いてるぞ。」





N「いいんだ、もうすぐ吹け切る...........。」


ヤカンは沸騰し、笛の音は高くなる...





N「よーし、吹け切ったぁ...(^^)。」




こいつは、いつもこうしてヤカンが「吹け切る」のを待っているらしい....

夜なんぞ、安アパートじゃ近所迷惑そのもの。




俺は、「........。」


返す言葉を失った。


それでも、ここに来た目的を思いだし、



「おい、ビデオ、デッキどこだ、何度直してもテープが出て来なくなるっての。」




N


「ああ、そこの『居間』のテレビんとこ。』




テレビ.......?。



"居間"(もなにもあったもんじゃないが)の隅には、21型重量級ステレオテレビ。


その真下に、ビデオデッキは、かあちゃんの尻に敷かれた亭主宜しく半分、潰れかけている....




....そりゃぁ、テープもでてこないだろうし、何度直しても壊れるわな..^^;;;;;





「おい、N、お前、こりゃ使い方の問題だよ(笑)。」





N怒る。


「なんで。説明書には上にテレビ載せるなって書いてなかったぞ!。」





-------絶句。-----------(笑)





この当時、PL法がなかった事は、ヴィデオのメーカーにとっては

幸運なことだった(のだろう。)






こういう男にナナハン免許を簡単に与える公安委員会は

問題だ。と俺は思った。(笑)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る