第6話 一月五日 入学式

 星暦二千百十一年一月五日 月曜日


 今日は入学式。


 制服に着替えて出かける準備。


 この街は人工島(宇宙船とも言う)の上に作られている。なので、本来は年間を通して一定の気温を維持いじできるらしいが、街を作った創始者の要望で、故郷である地球((仮)が付かない母性)の日本の気候を再現しているのだそうな。


 当然、今はまだ寒い冬期で、制服も冬服。臙脂えんじ色でホワイトカラーの変形セーラー型ベスト。丈は短め。。セーラーカラーの前は胸の上で左右に広がって肩に掛かり、背中側は「人」の字みたいに中央が切れ込んでいる変わった形。右の前後に斜めの一本ライン。学年が上がると一本ずつ増える。男子はえりの形が同じでブレザー。


 中には、ハイネックの白いシャツ。首の左から肩先に掛けてファスナー止め。合わせ部分に校章のバッジが付く。割と厚めの生地で暖かい。当然男子は右側に。上がブレザーなので女子と比べて生地も薄い。


 スカートはももの付け根当たりまでタイト型でその下がプリーツ。


 他にプリーツの部分がホットパンツに取り付けられたタイプと、キュロットになったタイプもあり、好きな物が選べる。動かなければ外見は全部同じ。男子と同じデザインのパンツも選択可。


 準備完了して初登校。登下校の時間帯はバス型コミューターが多めに走行しているのでそれを利用。校門前まで運んでくれます。




 入学式!は、無事終わりました。特に変わったことも無しという事で、サクッと割愛かつあい。 挨拶あいさつに立った学園長が異様に若かったと報告します。二十代真ん中くらい?



 クラス分けを見てホームルームへ。AからFの六クラス、わたしはF。何を基準に分けるんだろう?


 ユリカ、ユリア、さつき が同じクラスってところにかなり作為的な何かを感じるんですがー。


 クラス担任の二十代後半の女性。かなり美人系、が来て全員の自己紹介もごくふつーの光景。


 もっともクラスメンバーの九割六分は中等部からの持ち上がりだそうで、皆 顔なじみの模様。


 男女一五人ずつ三〇人の中のそれって私以外の全員じゃん。自己紹介いらないじゃん!


 と思っていたら、教員が中等部と高等部でまるまる変わるのでそのためなんだとは後でユリカから聞きました。



 今日はお昼で解散。各自 端末を高等部対応にアップデートするのが今日の課題。


 但し、わたしは 家にデスクトップ型の端末一式届いているはずなのでセットアップせよとのこと。


 そんな簡単にできる物なのかいと悩んでいると、ユリアが得意なんだそうで手伝ってくれるとのありがたいお言葉。


 是非お願い致します。



 せっかく高等部校舎にいるんでと、学食でお昼を取ることに。


 ぞろぞろと移動開始したところ、見知らぬ顔が約二名。いや、自己紹介してたな。


 確か「みさき かおり」ちゃんと「さかき ルミ」ちゃん。茶髪ショートと黒髪ショートのどっちも割と小柄な女の子。 但しわたし目線。


 無事、お二人のお友達枠に入れていただきまして、食後私の家に移動。


 家まで付いてきたのはユリカ、ユリア、さつき の三人。かおり とルミはアルバイトだとか。


 家に到着すると、部屋には端末セット一式がでーんと。


 本体にディスプレイ装置、入力デバイスやプリンタ、スキャナ、カメラ等の各種装置にそれらを配置するための机や棚。 梱包材に包まれて、六畳の部屋、三分の二を埋めておりました。


「では、早速」


 と言うが早いか、さっと机と棚を配置、各装置を並べてケーブルで接続。ものの五分と掛けずに設置終了。


 電源を投入すると初期設定もサクッと終了。


 三〇分掛からず使用可能となりました。


「相変わらず見事なお手前で!」


 私のもやってという さつき をまるっと無視して、


「パスワードは仮だから自分で決めてね?今とりあえず使ってるのはここにメモしといたから」


 と、机の上に一枚の付箋ふせん紙を指さすユリア。後ろでさつきが自分の鼻の先を指で押し上げてブーブーと言って騒いでますが?


「やり方、判らないんだけど…」


「そこからはお勉強しましょうね?鹿乃子ちゃん」


 やってもらおうかと思ったら笑っていない笑顔でダメ出しをいただきまして。


 ちょっとだけ怖かったです。


 結局ヒントを出してもらいつつパスワード変更のお勉強。初めて触ったバーチャルキーボードは キーボードの映像が空間に立体表示されていて触ると感触があるというとっても不思議な物。


 ディスプレイも空間投影で、ページをめくったりボタンを押したりタッチするとちゃんと感触がありまして。


 実は特殊な電磁波で神経信号を色々して視覚や触覚や筋肉の動きをだましているそうです。


 結局一時間近く掛かって、ようやくパスワード変更完了。忘れないようにメモして貼り付けようとしてダメ出しをいただきまして。


 笑い転げている娘が約一名。


「お約束はバッチリだね」

 とユリカに笑われるまでがセットだった模様。ユリカのスカートはホットパンツタイプでした。



「こういうのって、ワイヤレスで繋ぐんじゃないんだね」


 ちょっと疑問だったので聞いてみた。


「セキュリティの問題ね。ケーブル外せばワイヤレスでも使えるんだけどね」


「いちおー学園ではケーブル使うよーに指導されてるね」


 ユリア・ユリカが理由を教えてくれる。


「ネットワークにつながってる以上気休めでしか無いんだけどね!」


「繋がって無くてもどうにでもなるわよ?その気になれば。」


 さつき の注意にかぶせてさらっと恐ろしい情報が?


 ユリア、そんなことも出来るの?


「私の得意技」


 胸を張って怖いことを言うなっ。


「違法行為はしてないよ?ちゃんと依頼を受けてやってるから。」


 いや、依頼自体が犯罪行為だったらだめじゃん。


「大丈夫。警備部門からの依頼だし。」


 なんだかどんどん怖い話になっていくような気がするのは私だけなのか?


「ところでさ、結構遅くなったけどみんなは端末のセットアップは平気なの?」


 既に外は日が陰り始めているので心配に。


「あたしたちは中等部から使ってるからアップデート掛けるだけ。三十分もかかんないよー」


「ユリアがやってくれる「自分でやる!」…ないんだ。じゃぁ一時間ぐらい掛かるかなあ。」


「私はもう終わってる。」


 とは順に、ユリカ・さつき(一部ユリア割り込み)・ユリアのお答えでした。



 お礼を言いつつ皆で外へ。私はお見送り。


 さつきとユリアは今中央の姫野本部ビルで生活しているらしく、専用のコミュータが路上で出迎えてくれました。


 町中でよく見るコミューターの二倍弱くらいの大きさで、飛行可能とのこと。最高で七百キロくらい出るからユリカがここから歩いて自宅に帰るより早いと言われまして。


 結局ユリカを家まで送ってから帰る事になり、三人をお見送り。あっという間に見えなくなりました。加速でつぶれないのかな?



 後はふつーの日常を過ごして休むだけ。



 では、おやすみなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る