第7話 一月六日 クラブ活動
星暦二千百十一年一月六日 火曜日
今日も登校日。学園(高等部)の案内と クラブ活動、生徒会の説明やらを午前中に行うらしい。
色々とあったあげく、いつの間にか入学が決まっていて放り込まれた形の学園なので、正直 校風、特徴、その他 皆目見当も付かない。
もっと言えば、住んでいた街どころか、日本はおろか地球から放り出されるとは夢にも思っていなかったわけで、成り行き任せの今日この頃。
以前のことを思えば、今の方が絶対面白いけどね。
「おはよう」
声を掛けながらホームルームに到着。まだ始業時間には余裕がある。
「「おはよう」ございます」
挨拶を返してくれたのが、昨日知り合った二人。「
他十数名はそれぞれのグループでおしゃべりに忙しく、
「鹿乃子、体格がいい。スポーツやってる?」
ルミが
「昔 護身用の格闘技を少し、、最近は全然だよ」
物心ついた頃から、なぜか普通に日課として
「運動系のクラブ。入る予定?」
また問いかけてくるので、
「そのつもりはないかな。集団行動って割と苦手」
そう告白する。
「クラブ活動自体やりたくない感じなのかしら?」
今度は かおり。茶髪のふわっとカールしたショート。眼はやや緑系。昨日見た感じ百五十センチくらいだった。
「集団行動を
「おっはよー」
答えるのと同時に元気な声。ユリカだ。
「「「おはよう」」ございます」
と、皆で。
「あー?もしかして勧誘してた?」
「その前。どうしたいのか訊いてた」
ユリカの問いにルミが答える
「勧誘だったんかい」
そう呟くと、
「ごめんなさい。嫌だった?」
顔の前で可愛らしく両手を合わせた かおり に謝られた。シャツの袖 長。指しか見えない。
慌てて、
「そっちへ話が進むと思ってなかったから。ごめん、声が出ちゃった。」
片手を上げて謝罪。袖の長さ?ぴったりですが何か?
「まあ、説明会訊いてから考えるよ」
取り合えず、と言うと
「ウチのクラブ説明会に出ないから。それに勧誘でしか入れないよ」
三人とも同じクラブ、しかも入会済みかい。それよりも、入会するの条件付き?しかも厳しくない?
「他のクラブと違って学部不問なんですよ。今は中等部から学院生まで十名ほど在籍してますね」
「わたし中等部から。ユリカは初等部から活動」
ユリカに続けて かおり とルミが説明してくれる。
「まあ、入るかどうかはおいといて…何をするクラブ?」
「行ってみれば判るって」
「「わかる?」かなあ?」
答えたユリカに続いて、顔を見合わせたルミと かおりの何やら不穏な
同時に始業時間の予鈴が鳴って、クラス担任が来た。
「皆さん揃ってますねー?これから高等部のクラブと生徒会活動について 説明と活動の紹介がありますからー 皆さんは至急大講堂に移動して下さーい」
とのこと。ノーブレスで言い切ったなあの先生。ホンワカした感じで
「さつきとユリアが来てない?」
ふと気が付いて周りを見るが、やはり姿が無い。
「あの二人は会社のお仕事です」
「なるほど」
ユリカが教えてくれて納得。そうすると、結構
人ごとながら心配になるっていると、ルミが
「だいじょーぶ。会社の仕事が単位。二人とも記憶力もいい。テストも一夜漬け」
なら安心だ。って、安心できない事案が! ここにも[エスパー(疑)]がですね。
「だから、
「えー?」
ユリカに非難の目を向けるわたし。横では吹き出して、肩をふるわせるルミと かおり。
講堂に到着し、指定された当たりに適当に座る。「大体この辺に固まって。」としか指示されなかったんだよ。
一年生全員来ているけれど、全高等部生徒五百四十人が余裕で入場出来るこの講堂。七割以上が空席だ。
途中小休憩を
ちょうどお昼。食事の後は各自 気になるクラブへ突撃せよとのクラス担任からの指示を最後に本日解散。
お昼を
「確保ー!」
というユリカの声と同時に かおりとルミに左右の腕を
地下です。それも地下十階。要するに浮島となっている宇宙船の中。
圧縮空気が抜ける音がかすかに聞こえてくると、目の前の扉が開く。一度奥に数㎝引っ込んでから横にスライド。
ものすごーく頑丈そうな扉ですね。
中には人影が二つ。ていうか、二人の先客が。
「はよー」
「おはよ」
「お早うございまーす」
「こ…こんにちは?」
順に ユリカ・ルミ・かおり・わたし。おはよう?でいいの?
「おはよ」
と返してきたのは高等部の制服に線2本。2年の男子生徒。明るい茶髪は
「お早うございます」
と、
「お早う」でいいみたいね。
「これが副会長の
といいながら男子生徒をビシッと指さすユリカ。はぁ、と
「こっちが会長のミュラ・セシリア・ミュウラァ。学院一回生」
今度は女性に向かって指をビシッと…あっ 指、
「ユリカちゃん?いつもいつも言ってるよね?人様を指さしたらいけませんって言ってるよね?ね?」
おお、後ろ頭にでっかい汗を浮かべながら、指を
ようやく解放されて、指を押さえつつ涙目で部屋の隅っこでうずくまるユリカを放置してクラブの説明
「というわけで、簡単に言うと、あっちこっちから来る依頼物件を必要な能力
とは、ユウジ副会長のお言葉。能力って何だ?[超]が付いたりするのか?[異]とか付いたりする?
「皆の特技の事ね。調べ物とか捜し物とか力仕事とか、わたしは電子機器類のプログラム全般が得意分野ですね。」
ミュラ会長。[エスパー(疑)]持ってませんか?[エスパー(疑)]
「あら?鹿乃子ちゃんが判りやすいだけだと思いますよ?あたし。」
「えー?」
部屋の隅っこで笑い転げているやつがですね。復活したのかい。
「今日は残念だけど見学できそうな依頼が無いんだ。」
「明日は一件有りますね。ユリカちゃん向きなのだけれど、お願いできる?」
副会長に続き会長から、
「やりまーす」
右手を
「元気なのは良いことだけど、内容を確認してからお返事してね?」
溜息を一つ。小さなカードを差し出すミュラ会長。
「は~い」
と、のんきな返事を返しながらカードを受け取るユリカ。自分の携帯端末にセットして何やらいじり出す。
「ぅげ!」
やや有って
なんとも可愛らしくもメカニカルなコスプレの女の子の写真が表示されており…
「止める?捕まえる?」
上目遣いにミュラ会長を伺うユリカ。
「止めてとしか訊いてないからいいんじゃないかしら?」
それを訊いてほっと一息吐き出すと、
「りょーかい。明日登校前で良い?」
と再度確認。
「大丈夫ですよ。必要な部署に連絡を回して、後 色々仕込んでおきますね。」
部屋の一面、入り口から見て左壁面を埋め
少々物騒なお言葉と共に、
「それじゃ、鹿乃子ちゃんと明日朝九時から始めて頂戴。鹿乃子ちゃんは見学でお願いしますね?」
操作を終えてから
「それじゃ、八時半にコミューター拾って迎えに行くねー。」
と続けるユリカ。
「はいはい」
拒否権がありませんか。そうですか。
まだ用事の残っている正副会長を残して帰宅となりました。
結局、人材派遣をするって事しか判らなかったんですけど。
それでは、おやすみなさい。
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