第4話 一月三日 エスパー(疑)
星暦二千百十一年一月三日 土曜日
「
というユリカちゃんの提案に従い、現在居住エリアから中央エリアに向けての移動中。
「中央って、何があるの?」
私の疑問に、
「
距離、どのくらいあるんだろう?
とか考えていたら、
「ここからだと、北に直線で七十キロくらいかな。コミューターかチューブウエイで移動するから掛かっても一時間くらいだよ?」
と、教えてくれる。
え?考えてる事が
「考えてる事を読んでるわけじゃ無いからね? とーっても顔に出てるだけだからね?」
そう言われて慌てて顔を両手で
「そんなに判りやすい
指の隙間から覗きながら確認してみると、
「それはもう、言葉にするように。」
にんまり笑いながらお答えを
あれ~~~?中学まで、「無表情クイーン」で通ってたはずなんだけど?え~~?
「あはは、冗談。あたし
「よく言われる~」
いやね!頭の後ろで手を組んで私の前を先導しながら言われましてもね!!
「いやいやいや!やっぱ考えてる事読んでない?今こっち見てなかったじゃん!!」
思わず叫んじゃうよ。私! 結局
コミューターを拾って移動する事に。いわば無人のタクシー。この街、公共交通機関は全部自動運転なのだそうで。しかも
一般道では最高速度六十キロくらいだけどハイウエイに入ると最高二百キロで走るんだって。
チューブウエイと言ってたのは チューブ状の軌道内を走る列車。最高速度は三百キロ出るらしいけど超特急だけ。特急で二百キロ。それ以外は最高百五十キロだそうです。そっちも乗ってみたかったなとか思った
「帰りはチューブウエイにしようね?」
と 来たもんだ。どんどんテレパスではないかという疑いがですね。今後[エスパー(疑)]って呼んじゃうよ?観察眼?観察眼がすごいだけなの?
さて、移動中も色々お勉強。
この先 何回びっくり事案に遭遇する事になるんだろう。
なんでも、テラフォーミングが終わってまだ地面が安定していない時に 農地の開拓や都市開発なんかの道具とか資材を作る工場群の建設場所を選ぶのが面倒で、
「この円盤形宇宙船。解体して資材にするの面倒だし。でっかくて上面ほとんど平らだから、海に浮かべて安定させれば とっても安全な地面になるよね。」
と言い出した人がいて 、際に実行しちゃった。らしい。
さらに、さあ移住だという段になって、
「せっかく工場があるんだからここを工業区にしてしまえば地上はそれ以外に使えるよね」
ってことで色々手を加えながら続投が決まり、重要な施設は宇宙船の物をそのまま使えばいいやって事で行政区画は船内に。空いたところに学園でも作って人材確保と育成をすることになり、それに
と、
どんなところかというと、簡単にってしまえば 高さ一メートルくらいのフェンスに囲まれた 中央に巨大なお城が有るテーマパーク。
直径十キロの広大な範囲に、中心に高さ一千メートル、底辺の一辺が五百メートルのちょっと細長くて、色々飾りが付いたピラミッド型のお城。その周りに幅二百メートルくらいの緑地帯がぐるりと取り囲み、後 歩道・車道が少々。
その外側にピラミッドを囲んで放射状に工場や研究施設、後 ユリカちゃんが言ってた科学館・博物館・美術館・競技場・公園・病院・等など。
アミューズメントパークみたいな施設は
「あー、色々びっくりしてるみたいだけど 鹿乃子ちゃん。この星にいる人は基本 姫野グループの社員か関係者とその家族だからね?
と、エスパー(疑)が教えてくれる。
「この
なんか叫び声上げる回数がどんどん増えてるな。私。
やってきました科学館。先ずはこの街がどうなってるのか五万分の一の模型で確認。模型の直径 三メートル。
中心から南に七十キロの位置に学園があって、さらにその南側に生徒や教員の居住区が十区画。という事は飲み込めたけど、それ以上はキャパオーバーしました。
まあ、それが判っていれば今は大丈夫。後々ゆっくり覚えて下さいって事で次へ移動。
テラフォーミングに始まるこの星の成り立ちを映像で見て、様々なトンデモ技術に目を白黒させてただけなんだけれど 流れだけ分かってればいいからと
ファミリーレストランに移動してお昼。さすがに、
社員価格だそうです。
小一時間のんびりした後 次に行く場所を
「姫野の本部ビル。見学させてもらお?」
はい?入れるの?予約も無しで?
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。」
そう言って連れて行かれた先、細長いピラミッドみたいなビルなんだか、塔なんだか、城なんだか。ふつーに入り口から中に入れたね。止められることも無く。
そのまんま玄関ホールの受付らしき一角へ。
私たちとあんまり
ユリカちゃん。片手を上げると、
「やっほー。会長いる?」
とんでもないことを
「あぁ、いらっしゃい。自室にいるからどうぞ。多分 暇してるし。」
受付嬢!こいつの言動も普通じゃ無かった。
「この子、[
呆然としていると勝手に紹介された。
「あぁ、例の…私[
そして 自己紹介されて謝罪もされた。なんだこれ。頭が追いつかない。
「え?え?なにがなんだか?[さつき]ちゃんってだれ?えー?」
そしてまたまた、思考回路が止まっていたようです。気が付いたら「さつき」ちゃんの前でソファーに座っておりました。 目の前でかわいい手が振られています。
「あ、帰ってきた帰ってきた。今度は一時間でしたー」
ひどいこと言われてる?ここ、怒ってもいいところかな?私。
「改めて、これが[
ユリカちゃんが対面の少女を指さして言う。
なかなかひどい紹介を有り難う。これとか言うな! 後 人を指ささない。
「初めまして。姫野さつき いーます。よろしくねっ!」
にぱっと笑顔を見せながら
結構思い切り握ってない?ユリカちゃん悶絶してますよ?お怒り?指さしされてお怒りですか?
腰の辺りまでありそうな長く明るい金髪ストレートにちょっと垂れ目がち、緑がかった瞳。頭にはカチューシャ?いやリボンを巻いてサイドの髪が前に垂れないように抑えているらしい。後ろにリボンの端が覗いています。
純日本人な名前に真っ向からケンカを売っている容姿ですな。染めてる?カラーコンタクト?
「天然物ですよー」
にぱっと笑顔、片手は指を掴んだまま 即 お答えが。ここにもエスパー(疑)が?
「ごめん!ギブギブ!
もはや涙目のユリカちゃんが謝るとようやく握った指を放してくれるさつきちゃん。
どういった間柄?ユリカちゃんってそもそも何者?今更な疑問がムクムクとわいてきたところで、
「中等部で同級だったの!。卒業と同時のこんな仕事するなんて思ってなかったけどね!。」
ちょっとした話題作りのためのお飾りなのだとか。この会社の首脳部、考えていることが判らんと言うのが二人の結論。
学園の高等部には仕事しながら通うようで学園でも宜しくね等と話しながら資料室へ。グループの扱っている製品施設が
「扱っていないものは無いですね!」
と言い切っておられまして。
展示されているのはグループ全体の製品やらプラントやら。現物、写真、動画など、全部見て回るだけで数日掛かるとな?
「あー、鹿乃子ちゃん。煙吹き出してる?」
ユリカちゃんが心配しだした?そーかも。思考が正常に働かない。パンクする・・・
いつ来てもだいじょーぶだからまた来てね という事で、今日はお開きとなりました。
その後、希望通りチューブウエイでの帰宅となりましたが、ほぼ記憶に残っていません。
謎が謎を呼んで、判らないことや理解できないことが増えているだけなような…
明日は入学の準備。足らない物を教えてもらって用意する予定。
そしてわたしは頭の冷却中。
では、おやすみなさい。
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