第11話
660階層のエリアボス部屋まで、とうとうきた。この世界に来てから、26階分クリアして、ここのボスを倒せば27階層分クリアだ。そろそろここから出してほしいなあ。
「ノア、心の準備はいいか?おそらくここのボスはSランクがSSランクだ。グリフォンよりもさらに強い敵だ。
でも、このダンジョンから脱出するには倒すしかない。
いいか?」
「ヒヒーンヒヒーン!」
ノアはいつも通り自信満々に、やる気満々で返事をする。
ノアも僕もここまででかなり強くなった。Aランクくらいの魔物なら1撃で倒せる。グリフォンだって、前ほど苦戦しないで倒せるだろう。
だから、ここの敵もきっと倒せる。
そう思ってドアに手をかざした。
いつも通り、その扉は開き、中に入ると自動で閉まる。
その広い部屋の中央に、魔物が現れた。
《ケルベロス》
Rank:SS
冥界の門の番人と言われる。頭が3つある犬の魔物。巨大な体でありながら、素早い動きをする。
おいおい、神の迷宮どころか地獄の迷宮じゃねえか!
でも、ランクSSはやっぱりって感じだな。これまで戦ってきたどの敵よりも強い。ノアよりもランクが高いしな。
そうだとしても、ノアと僕なら負ける気はしないけどね。
「ノア、行くぞ!」
「キュイーーーーン!!!!!」
「グウォーーー!!!!!」
ノアとケルベロスの威圧がぶつかる。どちらも凄まじい威圧で、両者の雄叫びが轟く。僕は叫びこそしないが、魔力で相手を威圧する。しかし、それらは全くと言っていいほど効果をなさない。
まあ、最初から威圧に頼るつもりなんてなかったけどね。
とりあえず、いつも通りにノアが遊撃で僕が前衛で斬りまくるって感じでいいか。
「遊撃は任せるぞノア!」
「キュイーーーン!」
ノアもやる気満々、さあ、やるか。
斬っても斬っても刃が通らない。もちろん、ダメージは蓄積している。だが、こちらも体力に限界がある。
魔法を撃っても、効いてはいるが決定打にはならない。
流石は番人ケルベロスだ。
待てよ、外側が硬いなら、内側から攻めるしかない。でもどうやって?
唯一可能なのは口だろう。だが、口の中などは入れない。入ろうとすれば噛み砕かれるか、入る前に叩き落とされるか。
「グウォーーー!!」ドゴン!
考え事をしていたらケルベロスの尻尾で叩き飛ばされた。
ノアも必死に反撃をしているがケルベロスの方が上手のようだ。何か考えないと。
その前に自分の回復を。
そうだ、透過すればいいわけだ。なら中性子線で殺せる。
中性子爆弾を相手の懐に投げ込む。
そして、こちらは水とコンクリートの結界を魔法で作る。
そうすれば、僕たちには攻撃は届かない。
そして、爆発と同時に中性子線が放射され、ケルベロスがそれに触れれば核まで侵入するだろう。そしてその核は中性子過剰となりベータ線やガンマ線を放出する。そこからはまさに地獄だ。細胞を、染色体を破壊し、ケルベロスは死に至るだろう。
しかし、これには準備が必要だ。
ノアと僕が、分厚いコンクリートや水で守られている必要がある。幸い、この部屋は途方もなく広い。
そして、規模をごくごく小さなものに調節する。これは魔法だからこそ出来ることだろう。アメリカなんかで開発される超小型でも2kmは離れなくてはならない。ならば、効果を1000分の1まで下げる。こっちはケルベロスが戦闘不能になればいい。被曝している部分は切り捨てるしかないだろう。
また、残留放射能だが、これも魔法で何とかしてみせる。〈クリーン〉とか〈スパティウムシュナイデン〉(空間を切り取る)とかで何とか出来る気がする。
「ノア!こっちに来い!」
「キュイーーーン!」
「〈コンクリウォール〉〈ウォーターウォール〉」
ノアを呼び、こちらまでくると、2人で部屋の隅っこにいて、壁を作る。
ただ作るのではなく、そこから爆弾を放つ。
「〈極小ニュートロンボム〉〈接着〉」
放った爆弾はケルベロスの後脚に張り付き、その後壁は完成された。
壁は数十mの厚さがあり、ごくごく小さな爆弾の音は一切聞こえなかった。
また、ケルベロスが攻撃している様子もない。
これは倒せたのだろうか。
いや、まだわからん。
「ノア、まだじっとしてような。」
「ヒヒーン」
数分たって、もう大丈夫なんじゃないかと思う。
ノアもちょっと暇そう。
「よし、出るぞ。
でも、飛び出すなよ。壁がなくなったらまず僕が魔法をかけるから。」
「ヒヒーン」
恐る恐る壁を開けると、そこには静かになったケルベロスの死体があった。
最後の仕上げだ。
「〈クリーン〉〈クリーン〉〈クリーン〉〈クリーン〉〈クリーン〉
ノア、大丈夫そうかな?」
「ヒヒーーン!」
ノアは楽観的な返事を返してきた。
でも一応鑑定。
《ケルベロス》
Rank:SS
死亡
うーむ、特に何か出ているわけではない。
まあ、とりあえずインベントリ行きだな。怖いから使わないでおこう。
できれば肉が食いたかったな。
「はあ、ノア次に行くか。」
『レッツゴー!』
え?
ナニ?
は?
『早く行こうよ!』
「え?ノア?」
『あ!僕喋れてるね!すごい!』
んーー、喋れてる。いや、喋ってはない、念話だ。
いや、ホントにノアか?
「ノア?聞こえてたら、"僕ノアだよ"って言ってくれるかな?」
『僕ノアだよ!ふざけないで!』
「やっぱりノアか!すごい!念話覚えたんだね!やったー!!」
『えへへ~、褒めて褒めて。』
「うんうん、すごいすごい。
じゃ、行くか。」
『え!?切り替え早いよ?!』
「えー、だっていつかは使えるようになる予定だったしね。」
『うわーん、子供はそういうところからグレるんだよ。』
「いや、お前は誰なんだよ。」
『ノアだよ!?ナオキがつけてくれたんだろ?!』
「いや知ってるよ。
僕が言いたいのは……
ま、いいか。とにかく行くぞ。」
『はーい。』
あ、そうだ。
心配だから僕とノアにはヒールとかクリーンとか色々かけておこうかな。
「ノア、こっちのおいで。
〈ハイヒール〉〈クリーン〉
よし、OK。
さあ、どんどん進むぞ。」
グーー『お腹すいた。』
もーー!雰囲気壊すやつだなあ。
まあ、たしかにお腹すいたな。
「飯にするか。」
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